融資金融機関の特性を把握して、不動産融資を有利に進めるための方法

2020年12月17日1,026

不動産の購入時は金融機関からの融資を利用する場合が大部分だ。

融資を受けられなければ融資特約で契約解除となってしまう場合もあるので、売主との交渉権を得たらすぐに融資獲得についても動いて金融機関を探そう。

融資特約による契約解除を避けるため、金融機関と事前にある程度の交渉をしておき、自分の信用力や不動産投資に対する各金融機関の考え方などを最低限把握した上で買付証明書の提出に入るという上級者向けテクニックがある。

こうした上級者向けのテクニックも利用するためのノウハウの一つとして、各種金融機関の特徴についても押さえておこう。

金融機関にも様々な種類があり、不動産投資を法人事業としてするか、個人としてするかなどの状況による適性がある。

現実的に不動産投資で利用可能な金融機関は、概ね

  1. 都市銀行(メガバンク)、
  2. 地方銀行
  3. 信用金庫・信用組合
  4. ノンバンク
  5. 日本政策金融公庫

この5種類に絞られる。

以下で各金融機関の特徴を押さえておこう。

①都市銀行(メガバンク)の特徴

都市銀行の代表的なものは、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行の5行だ。

都市銀行は資産家や優良企業を主な顧客としており、他の金融機関と比較すると頭金要求額が多めであるなど融資の敷居は高いが貸付金利は一般に低めだ。

融資対象エリアは全国に及び、融資金額が大きくても対応可能である。

また、同じ銀行であっても不動産投資への積極性が時期や支店によって大きく異なるという特徴を有している。

これは、ある程度の権限を持つ支店長などの考え方によるところが大きい。

最初に挙げた5行のなかでは、三井住友銀行とりそな銀行が専用部署を設け、不動産投資事業への融資には比較的積極的だ。

低金利で融資を受けられればそれだけ最終的に手元に残るキャッシュフローが多くなり有利に投資を進められるので、敷居は高いが長期的視点を持って早いうちから融資の可能性を聞いていこう。

②地方銀行の特徴

地方銀行は地域密着型で、都市銀行に比べると敷居が低い。

地域密着型であるため融資対象のエリアがある程度限定される。

エリアは金融機関ごとのルールで融資利用者の居住地や勤務地周辺に限る、物件の所在地周辺に限るなどとされているため、どの地方銀行が使えるのか確認することから始めると効率的だ。

また、地方銀行は不動産投資に対する融資に積極的かそうでないかはっきりと分かれる。

粘り強く交渉することで不動産投資に対して消極的な銀行から融資を引き出せる場合もあるが、可能性がないと考えたら早めに別の金融機関を探す方が賢明な場合もある。

エリアを確認したら実際に各銀行で担当者の話を聞き、不動産投資に対する考え方や法人融資の可能性などを確認していこう。

金利は都市銀行より多少高めだがノンバンクなどに比較すると低いので、不動産投資事業において最初に主力とすべきだ。

尚、スルガ銀行は地方銀行であるが不動産投資に対してかなり積極的だ。

スルガ銀行の融資対象エリアは全国に及び、原則として個人向け融資のみという経営を行っている。

金利は他の地方銀行に比べるとやや高めだが、候補の一つとして考えておこう。

③信用金庫・信用組合の特徴

信用金庫・信用組合は不動産投資に対する融資に積極的かそうでないかはっきり分かれる点、地方銀行と同様だ。

融資対象エリアが地方銀行以上に限定されている場合も多く、融資に積極的なところは限定されたエリアでの需要に応えるため審査基準が独自のものであることが多い。

その基準にうまく対応できるようであれば使い勝手が非常に良い場合もある

信用金庫・信用組合は融資の敷居は地方銀行と同じく低いほか、既に取引している人からの紹介を受けられると特に有利だ。

金利はやや高めだが、貸出残高の上限に関して地方銀行より高いところもあるので選択肢に入れておくと良い。

④ノンバンク

ノンバンクは通常個人向けの融資に限られており、法人向け融資は対応していないことが多い。

融資の敷居は低く、共同担保を提供すれば担保価値を超えた金額の融資を受けられたり、耐用年数を超えた返済期間の融資を行うこともできる金融機関だ。

更に融資判断もとても早い。

そのため不動産投資の初心者でも使いやすいが、金利が中程度~かなり高い範囲であるため信用棄損につながりやすいのでその点は注意が必要だ。

ノンバンクを利用するのであれば、最初の物件購入時に融資を受け、物件購入後、タイミングを見計らって他の金融機関の融資に借り換えることも考えておこう。

⑤日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、かつての国民生活金融公庫であり国が100%出資している公的な金融機関だ。

融資への敷居や金利が低いのがメリットだが、融資金額が3千万円~7千万円程度しか認められず、返済期間も最大10年間となっている。

このため特に金額の大きい1棟もの高層マンション投資などでは使いにくい。

信用力などの観点から他の金融機関の利用が難しい場合のアパートへの投資用資金、大規模修繕などのリフォーム資金など、それほど大きい融資金額を必要としない場合に利用するのが適しているだろう。


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この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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