アパートローンは住宅ローンとどう違う?失敗しない融資の受け方とは

公開:2013/03/08 | 更新:2018/10/29426

物件を買う際に「アパートローン」を使うか「住宅ローン」を使うかを悩む人は多いだろう。ただし、この2つのローンは、使用目的も金利も融資対象となる人も異なるので注意が必要だ。不動産投資を行う人がそれぞれの違いを理解せず、安易に勧められるがまま決めてしまうと痛い目をみることになる。

今回は、目的に合ったローンを選択するためのポイント、アパート経営・不動産投資においてアパートローンの融資を受けやすい金融機関、融資を継続して受ける方法などを紹介していこう。

アパートローンと住宅ローンでは融資対象や目的が違う!

アパートローンと住宅ローンはどちらとも金融機関が提供する融資商品だが、金利や対象となる物件が異なる。

厳密にいえば、アパートローンと住宅ローンの違いは、はっきりと線引きしていない金融機関も多くある。審査条件や融資条件、金利なども各金融機関によって異なり、ローンの種類を区分けする統一的な基準などは存在しないため、さらに細かく分類されている場合もある。

アパートローンとは?

アパートローンとは、主にアパートやマンションなど賃貸用の収益物件を購入するための金融商品だ。不動産投資ローンやマンションローンともよばれる。

基本的に、投資用不動産に対してのみ融資が受けられるため、収益物件の家賃収入をもとにした事業計画によって金融機関が融資審査を進める。「アパート投資専用ローン」のようなパッケージ商品を用意している金融機関もあるが、そのような商品がない金融機関も多い。その場合は後述する「プロパーローン」を利用することになる。

アパートローンの返済金額の他に、収益物件運営に必要となる管理費や税金などすべて、家賃収入の範囲内で収まるような収支を想定できないと融資は受けられない。アパートローンは、ほとんどの場合「物件の収益性・資産性 + 本人の属性」で融資を受けられるかどうかが決まる。

アパートローンを利用できる人

アパートローンを利用できる人は、次の条件を満たす個人だ。ただし、実質的に個人への融資とみなされる不動産管理会社を介した借り入れも可能である。

  • 満20歳以上
  • 安定した収入があり、前年度税込み年収200万以上

アパートローンの使用目的

アパートローンは、主に次の目的に使用できる。

  • アパート・マンションなど賃貸用住宅の建築・購入・リフォーム資金など
  • 他行のアパートローンの借り換え資金

具体的には、賃貸用土地や建物の購入資金や増改築などのリフォーム資金、火災保険料、解体工事費用、近隣対策費、仲介手数料、印紙税、水道加入金など幅広く使用できる。ただし、銀行によっては、土地の購入が対象外となることもある。

融資の上限額は住宅ローンよりも高いことが多く、複数の金融機関を利用すれば会社員でも3億円以上の融資を受けることも可能だ。

融資額は頭金として2割程度の自己資金を求められることが多いが、住宅ローンと違い物件の収益性や担保評価も見られるので、物件評価が高ければ頭金ゼロでも購入できる場合がある。

[関連記事] 年収別!不動産投資ローンの融資を受けられる金融機関一覧

住宅ローンとは?

住宅ローンとは、主に自分と家族が居住する住宅の建築費や購入資金のための金融商品だ。住宅ローンでは、アパートローンより金利が低めに設定されていて、ローン返済は基本的に居住している人の給与から行うのが大きな特徴である。

アパートローンが物件の収益性・資産性と本人の属性を合わせて融資審査されるのに対して、住宅ローンは物件の価値はほとんど考慮されず、ローンを組む本人に返済能力があるかどうかが重視される。ゆえに、給料が高く安定しているとみなされる弁護士や医者、公務員、大企業会社員などは、住宅ローンとして多くのお金を借りることができるのだ。

住宅ローンを利用できる人

住宅ローンを利用できる人は、次の条件を満たす個人である。

  • 給与所得者であり、職場の健康保険や社会保険の被保険者
  • 自営業の場合は、3年以上継続して現在の仕事をしている人

なお、会社に属する給与所得者であっても、3年以上勤続している方が融資を受けるには有利となる。

住宅ローンの使用目的

住宅ローンは、主に次の目的に使用できる。

  • 自分や家族が居住する住宅を購入するための資金、またはリフォーム費用
  • 賃貸併用住宅を購入するための資金
  • セカンドハウスや別荘を購入するための資金

具体的には、本人居住用の土地や住宅の購入資金、建築費用、底地買取資金、火災保険料、仲介手数料、担保関連費用、印紙税、引っ越し費用、修繕積立金、付帯工事費用、管理準備金、水道加入金などが対象となる。

融資の上限額は年収の8倍程度となることが多く、年収500万円であれば4,000万円程度が目安となる。頭金がゼロ(金利1%想定)だと毎月の返済は11万円強となるので、アパートローンと違い購入者本人の給与が返済の原資となるため、これ以上毎月の返済額が増えると厳しいといえる。

プロパーローンとは?

プロパーローンとは、事業の開業資金や運転資金などのための事業用融資全般をさすが、不動産購入に対しても融資が受けられる。不動産に的をしぼった商品であるアパートローンや住宅ローンと違い、事業性融資として個別に審査を行う形になり、金利も個別の事情を勘案されて設定される。

プロパーローンを利用できる人

プロパーローンを利用できるのは、次の条件を満たす人である。

  • 事業者(事業としての不動産投資を含む)

基本的には企業の運転資金や設備投資のために必要となる費用が融資の対象となる。事業としての不動産購入時にプロパーローンを使う場合、金利は比較的低めだが、既成のアパートローンより審査期間が長くなるケースが多い。

プロパーローンは事業を行うためのローンなので、自分が居住するための住宅資金には原則的に利用できない。

プロパーローンの使用目的

プロパーローンは、主に次の目的に使用できる。

  • 不動産購入資金(自分が居住用するための住宅は原則不可)
  • 事業の運転資金、設備投資資金

収益物件の購入に、アパートローンでなく住宅ローンは使える?

家賃収入を目的としたアパートやマンションなどの収益物件を運営する際、低金利の住宅ローンで融資を受けて物件を購入し、それを賃貸することができれば、金利が高いアパートローンを組む必要がないのでは?と考えたことはないだろうか。

この考えは、半分正しいが半分間違っている。

住宅ローンは、一般的にアパートローンよりも金利が0%台や1%台などかなり低いため、金利が2%を超えることもあるアパートローンの代わりに使うことができれば投資におけるメリットは大きい。

しかし、住宅ローンは基本的に自分や家族が住む住居のためのローンなので、複数戸あり賃借人がすでに存在しているアパートに対しては金融機関から融資がおりない。銀行は、あくまでも本人が住むための居住地を買う前提で低金利にしているため、転貸はNGとなる。

ただし、現実問題として、住宅ローンを組んで購入したマンションを他の人に貸し、自分は別の場所に住んだことが発覚しても、銀行が資金を引き上げることはまずない。自分が住むための家を東京で購入した直後に、関西に転勤になったというような話はよくあるからだ。

では、何が問題なのか。それは、住宅ローンを使って収益物件を購入することが、不動産投資拡大の足かせになる可能性があるということだ。

不動産投資は、金融機関から融資を受けて収益物件を増やしていくことになるが、住宅ローンを組んでいると、新たな融資を受ける際に審査が通りにくくなる懸念がある。

不動産投資によって、資産を拡大していきたいと考えるのであれば、短期的にみた住宅ローンを使うメリットより、中長期的にみた住宅ローンを使うデメリットを理解し、アパートローンを選ぶのが賢い選択といえる。

[関連記事] 不動産投資において自宅の住宅ローンは不利になるのか?

アパートローンの金利はどれくらい?

アパートローン金利の目安はどれくらい?

アパートローンで融資を受ける際、金利は約1.5〜5%の範囲で設定されていることが多い。金融機関によって金利設定が異なり、アパートローンの金利が低い順に金融機関を並べると次のようになる。

  • メガバンク(1%〜)
  • 地方銀行(1%後半〜2%後半)
  • 信用金庫、日本政策金融公庫、商工中金(3%台)
  • ノンバンク(4%〜)

金利が低い金融機関ほどローンの審査は厳しくなる傾向にあるが、融資に対する金融機関の姿勢や個人に対する評価はタイミングによっても変わってくるため、数値はあくまで目安となる。また、アパートローンの金利や融資の審査結果は、同じ金融機関でも支店や担当者によって変わる場合がある。

金利方式の種類

アパートローンの金利は短期プライムレートに連動する変動金利や固定金利などの方式があり、代表的なメガバンクのアパートローンの金利方式は次のとおりである。

連動金利方式:短期プライムレート連動長期貸出の金利方式。短期プライムレートの変動によって、アパートローンの金利も適宜変更される。

固定金利選択方式:固定金利適用期間中は一定金利で固定となり、適用期間は2年、3年、5年、10年、20年などから選択することができる。

全期間固定金利方式:借入時の適用金利がアパートローンのローン期限まで固定で適用され、借入期間中に金利の見直しや変更が発生しない。

[関連記事] 金融機関ごとのアパートローン審査基準とは?

[関連記事] 不動産投資家は金利上昇にどう備えるべき?

アパートローンは減速中?融資を継続して受ける方法とは?

金融庁や日銀が、加熱する不動産投資市場に対して、金融レポートなどで警戒感を強めたこともあり、昨今ではアパートローンなどの融資が受けにくくなったといわれる。だが、完全に融資がされなくなったわけではなく、金融機関や個別の案件ごとで、まだまだ融資を受けることは可能だ。

たとえアパートローンの借り入れが3億円を超えた場合でも、継続的に融資を受けることはできる。ポイントは、本人の属性ではなく、これまで物件を運営した不動産賃貸の実績を評価してくれる金融機関に融資を打診することだ。

このような融資を「事業性融資(プロパーローン)」という。事業性融資は、広義にはアパートローンに分類されることが多いが、中小企業が設備投資や運転資金を調達するために行う融資と違いはない。

継続して融資を受けるためには、先にあげたむやみに住宅ローンを組まないというのも大きなポイントとなる。

[関連記事] 不動産投資の最初のローン金利が、次の融資に与える影響とは?

アパートローンの融資を受けやすい金融機関は?

同じアパートローンでも、金融機関によって融資の受けやすさに差がある。それぞれ金融機関の特徴をみていこう。

メガバンク(三井住友銀行・みずほ銀行・三菱東京UFJ銀行・りそな銀行)

メガバンクは、地方銀行や信用金庫と比べてアパートローンの金利が低く、優遇金利の適用により0%台で融資が受けられる場合もある。支店が全国にあり、融資エリアが広いことも特徴だ。

しかし、メガバンクは金融機関の中でもっともアパートローン融資基準が厳しく、審査にも時間がかかる。顧客は富裕層が多いため、収益物件へのアパートローン融資についても年収や自己資金などの属性ハードルが高く、年収1,000万円前後・自己資金数千万円で、やっと融資審査の土台にあがれる。一定の属性以上でなければ、メガバンクでアパートローン融資を受けるのは難しいだろう。

地方銀行(スルガ銀行・静岡銀行・千葉銀行・横浜銀行など)

地方銀行は、融資などによる企業の資金調達を通じて、その地域の経済発展に寄与することを目的とした金融機関だ。そのため、一部の銀行(スルガ銀行本店など)をのぞいて、融資申し込みを行う本人の居住地に支店があることが求められる。

金利は、1%後半~2%後半で、アパート経営向けの金利でパッケージローンを作っている地方銀行もいくつかある。融資を受けたい銀行の支店が居住地にあれば、メガバンクと比べアパートローンで融資を受けられる可能性は高まるだろう。

信用金庫・信用組合(西武信用金庫・大阪厚生信用組合など)

信用金庫や信用組合は、信金法・協同組合法によって、該当エリアの居住者しか会員になることができず、パッケージングされた金利のアパートローン商品もない。そのため、融資審査は基本的にすべて事業性融資(プロパーローン)として扱われる。

金利は3%台など比較的高いことが多いが、付き合いが深まると金利水準も柔軟に対応してくれるケースがある。信用金庫や信用組合では、オーナーの人物面や信用度を重視する傾向が強く、新規開拓や融資申し込みの際は、できるだけ紹介者を伴って行ったほうがよいだろう。

ノンバンク(ジャックス・アプラス・三井住友トラストL&Fなど)

ノンバンクは、不動産に対する融資姿勢が積極的で、融資審査も比較的早い。年収が低く自己資金が少ない人にも貸し出すため、アパートローンの融資は受けやすいといえるが、金利は4%以上とかなり高めである。

また、他の金融機関で融資を受けようとした際に、金利の高いノンバンクから借り入れをしていることをよく思われないこともあるため融資を受ける際には注意が必要だ。

政府系金融機関(日本政策金融公庫・商工中金など)

政府系金融機関は、不動産にも積極的に融資をしていて、金利も比較的低い。日本政策金融公庫は、物件評価に独自の計算式を使うため築20年超などの築古の木造にも融資を行うが、10〜15年程度の融資期間になる場合が多く、かなり高利回りな物件でなければキャッシュフローがでない。商工中金は、耐用年数を厳しく評価するため、築浅物件の融資を受けるのに適している。

[関連記事] メガバンクの融資を使い金利1%台で収益物件を買うための方法

収益物件を購入するなら、アパートローンを利用しよう!

アパートローンと住宅ローンは、「借りた資金の使用目的」と「返済のための財源」が違うということを紹介してきた。アパートローンは投資用物件のための融資、住宅ローンは住居用物件のための融資であり、金利も異なる。

アパートローンと比べて金利の低い住宅ローンは、不動産投資においても活用できそうな気がしてしまうが、安易に手を出すと投資拡大の足かせになるということを覚えておこう。

さらに、融資を継続して受けて不動産投資の拡大をはかるなら、アパートローンよりも金利が低く融資金額を増やすことが可能なプロパーローンの活用を検討してみるのもよいだろう。

アパートローンにせよプロパーローンにせよ、融資を受けて収益物件を購入するためには金融機関を積極的に開拓することが重要である。金融機関の開拓は収益物件購入のチャンスを増やすことに繋がるのだ。

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