アパートローンの借り換えはお得?成功のカギを解説!

2021年02月17日793

アパートローンは他の金融機関に「借り換え」をすることにより金利を引き下げることが可能にとなる場合がある。上手く借り換え先が見つかり金利が下がれば、毎年の利益がかなり増加することもある。

本記事ではアパートローン借り換えの「仕組み」「判断基準」「具体的な方法」について解説する。

もし保有物件の金利が少し高いかもしれないと思っているのであれば、戦略的にアパートローンの借り換えを検討することによって利益が増える可能性が大いにあることを理解してもらえるだろう。

アパートローンの借り換えとは?

アパートローンの借り換えとは、保有物件の融資を受けている既存の金融機関から新たな金融機関に乗り換えてローンを組み直すことである。

既存の金融機関の融資は借り換え実行時に一括返済することになり、翌月からは新規の金融機関へローンの返済をしていくことになる。

これにより既存の金融機関とは繋がりがなくなり、新しい金融機関と付き合いが生まれることになる。

アパートローンの借り換えの一番の狙いは「金利の引き下げ」

借り換えがうまく行くと収益性が大きく向上することも多い。

たとえば、融資残高が1億円、返済期間が20年、金利が3%である場合、金利が1%下がることで返済金額は毎月約5万円、返済期間全体で約1,100万円も抑えられる。手元に残せる資金が多くなる分、修繕費や次の収益物件購入に備えることができ不動産経営がより安定性を増すことになる。

アパートローンの金利は金融機関によって違いはあるものの、1%台だと低く3%以上だと高い部類に入る。

もし金利が高い部類の金融機関から融資を引いており、その物件を1%台など低い金利の金融機関が借り換えをしてくれそうな場合は借り換えの検討を始めても良いだろう。

一方で、アパートローンの借り換えには検討する上で注意すべき以下の点がある。

  • 既存の金融機関との信頼関係が崩れる可能性がある
  • 手数料や違約金等のコストがかかる場合がある
  • 期間が短くなると毎月の返済金額が逆に増える場合がある

次項よりひとつずつ解説をしていく。

金利が1%以上下がる見込みがあるなら借り換えは検討していいと思います。ただし自分が融資を受けられる金融機関が一つ減ることになるので、その点をどう考えるかが重要になります。

借り換え時に既存の金融機関との信頼関係が崩れる可能性がある

アパートローンの借り換えは、金融機関の融資残高を減らすことになるので言葉を選ばずに言えば既存の金融機関に対する裏切り行為とも言える。

数千万円の融資残高が減ることは融資担当者や支店全体への影響も小さくなく、決して心証が良い取り組みにはならないことは想像が出来ると思う。

今後も収益物件の買い増しを検討していう場合は既存の融資先をひとつ失うことにもなる可能性が高く、今後の投資計画と含めて慎重に検討するべきだ。

ただし、今後不動産投資の規模拡大の予定がない人は、特に気にする必要はないだろう。

手数料や違約金等のコストがかかる場合がある

アパートローンの借り換えをおこなうと利用していた金融機関に違約金を支払う義務が生じることがある。これは繰上げ返済によって生じる返済違約金の支払いであり、その金額は金融機関と締結している金銭消費貸借契約書に記載がある。

違約金の額は数百万円以上の額になる場合もあり、金額によっては借り換えで得た利益分が帳消しになる可能性もあるので確認が必要だ。

また、違約金の他にも「抵当権の設定費用」「印紙代」などの費用がかかる。抵当権設定費用は融資額の0.1%掛かるので、5,000万円の物件だと5万円ほどになる。

金利が引くなっても毎月の返済額が増える場合がある

アパートローンの借り換えは金利を低くするために行われることが多いが、条件次第では毎月の返済金額が増え資金繰りが悪くなることもある。

例えば、残り返済期間20年のアパートローンを返済期間を15年の融資条件で借り換えをした場合、金利が1%程度低くなっても月々の返済金額が増える。

返済期間が短くなると残債が早く減ることになるので悪いことではないが、金利見直しによって投資期間全体での利益が増えたとしても、毎月の資金繰りが悪くなってしまう場合もあるので注意が必要だ。

借り換えの際は以上の3点について検討が必要であるが、一番のポイントは違約金や手数料を加味しても借り換えのメリットがあるかである。

目安として、同じ融資期間で金利が1%以上低くなるのであれば借り換えを検討してもいいと言えるだろう。

借り換えられるのを嫌がる金融機関がほとんどである一方、政府系金融機関である公庫やノンバンク各社は借り換えをしてもまったく嫌がられず、借り換えた後の追加の融資にも応じてくれます。これは融資に対するスタンスの違いによるものです。

アパートローンの借り換えに必要な条件とは?

保有物件のアパートローンの借り換えを検討する場合、以下の3つの条件を満たしておく必要がある。

借り換え先の金融機関がある

まず借り換えをするにあたり、借り換え先の金融機関を見つける必要がある。

物件のエリア内に金融機関の支店があるかどうか、その金融機関の融資条件が保有物件と合致しているかを確認する必要がある。

当サイトで提供している無料PDF「失敗しないための金融機関選び25選」を参照すると金融機関ごとの最新の融資状況を確認することができる。

目星がついたら金融機関の代表窓口に直接電話をして借り換えを検討している旨について伝えるとよいだろう。

満室で運営出来ている

現在のアパート経営が安定し運営出来ているかどうかも借り換えをする際に金融機関がチェックする重要なポイントだ。

満室か最低でも入居率が90%以上で定期的に賃料が入っている状態にしておく必要がある。

※もし、入居率の低下に困っている場合はこちらの記事も参考にしてほしい。

なぜ空室率が高い地域でも満室でアパート経営が出来るのか

返済の延滞がない

他の保有物件も含めてアパートローンの延滞や差し押さえの記録があると、新規金融機関の融資審査が通らないので借り換えができないない。

過去にアパートローンの支払いの延滞があったかどうかは各金融機関がCICやJICCなどの信用情報機関に問い合わせることにより可能で、借り換えの融資審査を行う際に必ず確認される。

アパートローン借り換え検討の有無にかかわらず、支払いが滞ることないよう注意することは大切だが、万が一アパート経営に行き詰り返済が難しくなった際は、延滞する前に金融機関にリスケジュールなどについて相談する必要がある。

借り換えの手順

1.既存の金融機関に連絡する

 既存の金融機関に借り換えを検討している旨を伝えよう。借り換えには労力も手数料などのコストもかかるが、もし、既存の金融機関が金利引き下げに応じてくれれば借り換えのコストを削減してメリットのみを享受できることとなる。

交渉の際には、新規の金融機関と既存の金融機関の条件を比較提示する形が良いだろう。

新規の金融機関も複数の機関を開拓して条件を比較しながら最善の融資条件を選ぼう。

2.借り換え審査の申込

既存の金融機関ではなく新規の金融機関を使うことになった場合、借り換えの申込をすることになる。審査前までに下記の書類を準備しておこう。

(1)売買契約書

(2)重要事項説明書

(3)登記簿謄本・公図

(4)レントロール

(5)源泉徴収票と確定申告書(3期分)

(6) 資産のエビデンス(通帳のコピーなど)

(7)返済予定表

(8)本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)

借り換えの審査が通り新規でアパートローンの融資が受けられることが決まったら。既存の金融機関には一括返済(全額繰り上げ返済)の申し出をする必要がある。抵当権の抹消等の手続きがあるのでなるべく早めに連絡をしよう。

3.借り換えの実行

新規のアパートローンが実行され融資資金が振り込まれたら、その資金を使って既存のアパートローンを一括返済することになる。また同時に抵当権の抹消・設定の手続きが必要になるので、あかじめ司法書士から連絡がある。

司法書士は金融機関側で指定があることが多いので、指示に従おう。

まとめ

アパートローンの借り換えはメリットが大きいものの既存の金融機関との関係性が悪くなる可能性が高く、どうするべきかは経済的なメリットの比較だけではなく投資戦略をどう考えるかによって変わってくる。

一度融資を受けた金融機関と良好な関係を築くことができれば追加の物件の相談もしやすくなるだろう。

一方で、金利引き下げにより大幅な利益増が見込める場合や、既存金融機関で金利の改善が望めない場合などは借り換えを実行することは投資家として正しい選択である。

不動産投資ユニバーシティでは「失敗しない不動産投資の実現」をモットーに正しい金融機関選びや着実に資産を増やしていけるアパート運営の方法など、不動産投資に関わるさまざまな知識を提供している。

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借り換えをする前にまずは既存の金融機関に「他行はもっと安い金利なので下げてもらえないか?」と問い合わせることは非常に重要です。その際に「金利引き下げにより修繕の積み立てを増やしてして安定的な賃貸経営をしたい」など金融機関だけが損をする形ではなくお互いのメリットが出せるような提案の仕方をするとよいと思います。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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