【10分でわかる】不動産経営の基本のキを専門家が解説します
相続予定の土地の有効活用、資産運用として不動産投資を検討している方も多いのではないだろうか。とはいえ、「どのようなものかイメージわかない」「何をすればいいんだろう」「よくわからないけど怖い」という初心者の方に向けて不動産経営の基本のキとしてこの記事を作成した。
投資や資産運用の一つとして不動産経営がにわかに注目を浴びている。不動産経営はアパートなどの不動産を購入して、それを賃貸に回すことにより家賃収入を得る投資だが、軌道に乗ればリスクなく安定的に利益を得られることが一番の魅力だ。
目次
不動産経営とは何なのか?
「不動産経営」とは建物の1部屋ないしは建物1棟を保有し、入居者から家賃を得る活動のことを指す。
対象はアパート、マンション、区分物件、戸建て、商業ビルなど様々だが、居住用の物件からまずは取り組むことが多い。
また株や為替などの投資と異なり自らコントロール出来る事が多いため、本記事では不動産投資でなく「不動産経営」と表現する。
それでは不動産経営はどのようなものか、次の項でメリットとデメリットを説明していくことにしよう。
不動産経営のメリット、デメリット
不動産経営は大きな金額を投資して行うことになるので、特にリスク面の管理が重要だと言える。発生するメリット・デメリットを知ることでリスクへの対策を講じることが出来る。
メリット
1.毎月安定した収入を得やすい
収入源である家賃はある月突然多くなったり、突然ゼロになったりすることはなく、安定的に収入を得ることが可能だ。入居者は年単位で借りてくれることが多く一度優良な入居者が入れば、長期で安定して収入が入り続けることになる。また、家賃収入は景気の変動にも左右されにくいこともメリットとして挙げられる。
2.土地が資産として残る
不動産を一棟保有する場合、物件価格は土地値+建物の価格の合計となる。ローンを完済した後も家賃は入り続けるが、土地も建物も購入者のものとなり借り入れがない資産となる。
3.レバレッジ効果(銀行からの融資を使える)
他の投資手法と大きな違いが借り入れを行うことによるレバレッジ効果である。物件を購入する際に銀行から融資を受けることで自己資金が少なくとも投資効果を上げることが出来る。
例えば自己資金が500万円あった場合。
・年間50万円の家賃収入が見込める500万円の物件を購入した場合
・融資を使って年間500万円の家賃収入が見込める5,000万円(借入:4,500万)の物件を購入した場合
どちらも物件価格あたりの家賃収入の割合(これを利回りと呼ぶ)は10%と同じであるが、銀行への返済や税金を考慮しても後者の方が手残りは多くなる事が多い。(以下の場合はレバレッジを利用した場合手手残りは約5倍になる)これがアパート経営における最大の強みである。
4.インフレ・デフレ対策になる
インフレ(インフレーション)が進むと物価も上がり土地の価格も上がる事がある。デフレ(デフレーション)になるとモノの価値が下がることがあっても家賃が下がることは少ない。このようにインフレ、デフレにも強い現物資産の不動産を持っていると強くなる。
5.節税につながる
個人で物件を取得した場合、確定申告が必要になる。給与所得との通算が認められるため、アパート経営に伴う各種必要経費を計上することで、所得税の控除が受けられるケースが多くなる。
デメリット
1.天災や事故などリスク
地震や台風などの天災で物件に被害が出るということがある。投資対象とする立地を地盤が強い場所や水害が起こりにくい場所にする、保険への加入することでリスク対策になる。
2.家賃滞納や空室リスク
入居者が退室した場合、次の入居者が決まるまで収入が0になる。また家賃滞納をする入居者がいた場合も収入が0になる。入居状況に関わらずに家賃設定の7~9割が保証される家賃保証(サブリース)と呼ばれるものや、家賃保証会社を利用した家賃滞納への対策などで対策は可能である。
3.金利上昇
ローンを利用し変動金利を選択した場合、金利が上昇すると返済額が増えるリスクがある。金利への対策としては固定金利で返済する、返済方法を元金均等返済にするなど対策はある。
4.建物の老朽化対策などメンテナンス
時が経つことに建物は老朽化していくので、定期的にメンテナンスや修繕が必要になる。これらは中古物件購入時に特に注意が必要なので、事前にシミュレーションをすることが大切だ。
5.流動性が低い
株など金融商品と違って売却しようとしてもすぐに売却できるかわからない。そのため中長期的で運営することを前提で購入検討をすることが大切だ。
不動産経営で大家がすべきこと
大家と聞くと何もしなくても家賃収入があって悠々自適なイメージを持つ方も多いと思うが実際に大家がすべきことを以下紹介する。
1.物件の管理
物件の清掃、電球など備品の点検、消防点検、退去時のクリーニング等がある。
2.入居者への対応
入居者の募集/部屋の案内、部屋の引き渡し、家賃入金の確認、入居者からの問い合わせ対応などがある。
3.保有物件の費用関係
家賃の徴収、ローンの返済、納税、確定申告の対応、修繕や清掃など臨時の出費対応、契約書など書類管理
このように不動産経営にあたり必要な対応は多岐にわたる。しかしこれらの多くは管理会社や税理士など外注が出来るため、自らは最小限の対応をするなど仕組み化するとことも可能である。
10ステップ!不動産経営のはじめ方
この項目ではアパート経営の始め方を紹介しよう。
1.不動産経営について勉強をする
まずはしっかりと不動産経営について学ぶことが大切だ。ネットや書籍など簡単に沢山の情報が得られるので、専門用語を正しく把握すること、不動産経営にはどのような手法があるのか、自身が取り組むにあたり何が最適なのか学んで欲しい。実際に不動産会社が実施している無料セミナーなどに参加することも良いかもしれない。
2.自身の経営戦略、目標を決める
次に行うことは既に所有している土地を有効活用するのか、不動産経営を拡大して脱サラを目指すなど自身の方針を決めることが大切だ。
3.物件に関する情報収集
不動産投資のポータルサイト(楽待や健美家)や収益用の不動産物件を取り扱っている不動産会社に問い合わせて、希望する物件を探す。必要に応じて現地調査や物件の内覧なども実施する。
4.シミュレーションを行う
候補となる物件を見つけたら、想定の家賃収入などから不動産経営に関する費用の見積もりシミュレーションを行う。不動産業者が準備してくれることもあるが、自身の基準に合致した物件かを数字で再確認することは大切である。
5.物件の購入意思表示をする
購入したい物件が見つかったら、不動産会社に買付申込書と呼ばれる購入意思を示す書類を提出する。この書類は契約書とは異なり法的拘束力はないため、この書類を提出したから必ず購入できる訳ではない点は注意が必要である。
6.ローン契約
ほとんどの人は融資を利用してアパート経営を開始する。そのため銀行へ融資の依頼をする必要がある。不動産会社や知人を介して紹介してもらう、自身で銀行へ融資依頼をするなど必要がある。銀行では融資に対して審査が行われ、審査で承認されると銀行とローン契約を結ぶ。
7.物件の売買契約の締結
物件の売買契約を締結する。融資を利用する場合、融資特約*を必ず契約の中に盛り込むでき点は注意が必要である。
*金融機関で融資が承認されなかった場合に、買い主が契約を白紙に戻すことができる契約内容
8.引き渡し
銀行からの融資が実行され(決済)、登記手続きが完了次第、売主から買主に鍵など引き渡されその物件の引き渡しが完了となる。
9.管理会社の選定
管理を委託する場合、新規で管理会社を選定することや中古物件の場合は売主から引き継ぐケースもある。
10.不動産経営開始
空室がある場合は入居者募集、既に入居者がいる場合は家賃収入が発生する。
不動産経営で成功する3つのポイント
1.物件の選定基準の明確化
購入する物件の構造、築年数、収益性、駅からの距離など必ず自分なりの基準を持つことが必要である。また上記を踏まえた上でしっかりとシミュレーションを行い、自身方針と合致しているか確認することが大切だ。
2.チーム作り
不動産会社、銀行、管理会社、リフォーム業者、税理士など多くの方のサポートがなければ不動産経営はうまくいかない。多くのことを外注できることも不動産経営の強みであるので、各分野のプロに頼りながら経営するすることが大切だ。
3.リスク対応をする
デメリットで紹介した災害に対しては保険、家賃滞納に対しては保証会社を利用するなど不動産経営する上で予測できるリスクの多くは事前に対策が可能であるため、自身のリスク許容度を考慮した対応をすべきである。
まとめ
人口減少、超高齢社会、終身雇用制度崩壊、新型コロナウィルスと将来への漠然たる不安がある中、収入源の複線化を考えている人も多いのではないだろうか。不動産経営はしっかりと知識をつけた上で開始することで失敗する可能性を減らす事が出来る。また多くの業務を外注できることから一度仕組みを構築することで、本業に影響を与えずに始めることも可能である。
不動産経営の対象は区分、アパート/マンションなどの一棟など多岐にわたるが、どの手法でも再現性はあり成功者もいる。大切なことは自身が経営者として経営戦略を明確にした上で行動することである。ご自身の目標や現在の状況に応じた戦略を立てて投資方針を確立した上で行動して欲しい。
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この記事の監修者
37歳の会社員が
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