不動産投資のキャッシュフローの計算方法
不動産投資のキャッシュフローの計算方法・利用方法について解説を行おうと思う。
不動産投資で、何故キャッシュフローに重きを置く投資をするべきなかについてはマンションオーナーがキャッシュフローを重視するべき理由を参照して貰いたい。
家賃収入○千万円ですということを自慢している人がたまに居るが、家賃収入は売上であり利益ではない。
重要なのは決算書上の営業利益・経常利益であり、実務的にはフリーキャッシュフローの多寡が重視される。
キャッシュフローの定義は様々だが、以下が良く使われる不動産投資におけるキャッシュフローの計算方法だ。
1.満室時家賃収入-銀行返済
2.満室時家賃収入-(銀行返済・金利+固都税)
3.満室時家賃収入-(銀行返済・金利+固都税+管理費+空室家賃)
この項では、一番実際の手残りの金額に近い、3の計算方法について説明する。
キャッシュフローの計算方法
何故キャッシュフローを計算をする必要があるのかというと、物件価格と利回りしか載っていない概要資料を見ただけでは、正確な手残りの額がわからないからだ。
また、物件同士の収益性の比較も出来ない。
詳細な計算をしてみたら、意外と収益性が低い物件と言うのはあるのだ。
概要資料を何千枚以上見て慣れてくれば、物件の大体のキャッシュフローの目安は掴めるようになる。
しかし物件の詳細な検討をする段階になったら、やはりエクセルを使ってしっかりと数値を確認するべきだろう。
キャッシュフロー計算で必要な項目を以下に記載する。
項目(単位:万円) | 計算式 | 例 |
---|---|---|
躯体構造 | RC | |
法定耐用年数 | A | 47年 |
築年数 | B | 20年 |
物件価格 | C | 5,000万円 |
満室時収入 | D | 600万円 |
表面利回り | E=D/C | 12.00% |
諸費用+頭金 | F=C×0.07 | 350万円 |
貸出金額 | G | 5,000万円 |
貸出金利 | H | 3.00% |
融資期間 | I | 27万円 |
返済金額 | J=PMT((H/12,I*12,G)*12)*-1 | 270万円 |
入居率85%時収入 | K=D×0.85 | 510万円 |
経費20% | L=D×0.2 | 120万円 |
満室時キャッシュフロー | M=D-J-L | 210万円 |
入居率85%時キャッシュフロー | N=K-J-L | 120万円 |
CCR(Cash on Cash Return) | O=N/F | 34.17% |
一億円当たりキャッシュフロー | N/(C/10000) | 239万円 |
銀行支払総額 | G×I | 7,301万円 |
この表で最終的に見るべきなのは、入居率85%時のキャッシュフローだ。
空室率15%と管理費・固都税20%も加味してあるので、検討段階では十分利用できる精度のキャッシュフローが確認可能となる。
投資効率を評価するCCR
CCR(キャッシュ・オン・キャッシュリターン)も、不動産投資ではキャッシュフローと並んで重要な項目だ。
これは自己資金の投資効率を見るための指標で、頭金+諸費用をどのくらいの期間で回収できるかがわかる。
この例の場合、5000万円の物件をフルローンで買っているので頭金はない。諸費用には、登記費用、不動産取得税、火災保険、仲介手数料などが含まれ、通常は物件価格の7%程度が掛かる。
5,000万円の7%は350万円なので、この350万円を何年で回収できるかを確認するのがCCRという指標だ。
CCRは、100%の時を投資回収期間がゼロ年(=持ち出しなし)と解釈する。
利回りが高くても、頭金を沢山出して購入している物件はCCRが低く、投資効率が悪いとみなされる。
今回の例の場合、CCRは34.17%なので、100%の3分の1ほどの数値だ。投資資金の回収まで、3年程度かかることがわかる。CCRが10%の場合100%の10分の1なので、投資回収まで10年かかることになる。
CCRが100%を超えているとするとそれはオーバーローンで融資を引いたケースだ。その場合、決済終了の段階で手残りが発生することになる。
詳しい内容は別項「ROIよりもCCRを重視した投資を行う」を見てほしい。
1億円当たりキャッシュフローで物件を横比較する
もう一つ重要な項目が、表中の1億円当たりのキャッシュフローだ。
これは、異なる金額の物件を横比較する時に使う。
不動産投資でキャッシュフローの詳細な計算を行う必要があるのは、この1億円当たりのキャッシュフローを確認したいからだと言っても過言ではない。
目安として、1億円当たりのキャッシュフローが、都心部では50万円、地方では100万円を超えていれば収益性は悪くない案件だと言える。
自分の中で物件選定の数値基準を持つと、物件を選ぶ際の検討がスムーズになって取捨選択がもの凄く効率的に速くなる。
上記の計算式を作る上で一番難しいのは、返済金額を計算する部分だ。ここでは、EXCELのPMT関数を使い、元利均等返済の返済金額を計算している。
関数を調べながら、使いやすい表を自分で作ってみることをお勧めする。
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この記事の監修者
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