「不動産投資は低リスク」ってウソ?失敗する人があとをたたない理由
不動産投資は、株式投資やFXなどほかの投資と比べて「低リスク」だといわれている。しかし、「不動産投資で失敗した」「儲けがでなかった」などと聞いたこともあるだろう。
実際に、不動産投資を始めたものの儲けがでていない人は数多く存在し、失敗する人があとをたたない。不動産投資は「低リスク」というわけではなく、リスクが高くて危険な投資なのだろうか。
今回は、不動産投資のリスクの種類と、リスクが高くて危険な人の特徴について紹介していく。
目次
不動産投資は多額の借金をするからリスクが高くて怖い?
投資用の物件は、安いものでも数百万円が必要になる。そのため、銀行から物件購入用のお金を借り入れて物件を購入する人がほとんどだ。
では、多額の借金をしなければならない不動産投資はリスクが高く危険な投資なのだろうか?
「借金」と聞くと、ネガティブなイメージを抱く人がほとんどだろう。それは、「借金=お金のない人が借りるもの、返済に苦労する」という印象が先行し、借金というものを正しく理解していないからだ。
借金と一口にいっても、「しないほうがいい」「してもいい」「したほうがいい」3種類の借金がある。
「しないほうがいい借金」は、ギャンブルなどの浪費に使うため返すあてもなく借りる借金だ。これがいわゆる世間一般の借金のイメージだろう。
「してもいい借金」は、マイホームや自家用車購入など目的ある消費目的の借金だ。これらの借金は、消費のためとはいえ目的があり返済の計画も立てているため、してもいい借金といえる。
最後に、「したほうがいい借金」だ。進んですべき借金ともいえる。借金をすることによって利益が生みだされる場合で、不動産投資や事業経営がこれにあたる。不動産投資では、借金によって購入した不動産が「家賃」というお金を生み出す。
不動産投資では、生みだされた家賃の中から借金を返済し、残った差額は自分の利益にすることができる。借金をすることでお金を借りる前より豊かになることができるのだ。
そう考えると、借金のイメージは変わるのではないだろうか。
不動産投資において、「借金=リスク」ではない。借金をすることに対して漠然とした恐怖を抱くのではなく、リスクをしっかり把握し適切な対処をすることが大切である。
[関連記事] 不動産投資で何億円も借金している人は危険なのか?不動産投資のリスクとは
不動産投資は、数万円で始められる株やFXなどの投資と比べて多額の資金が必要である。そのためリスク(危険度)が高いと考えられがちだ。しかし、投下資金の大きさと投資リスクの大きさは必ずしもイコールではない。
なぜなら、成功する予測が立てづらい投資は数万円であっても危険であり、数千万円の収益物件を購入する場合でも、安定的に運用できるのならば失敗する可能性は少ないからだ。
ただし、投資額が大きいことで一度の失敗が致命傷になるという危険性もある。不動産投資では、より安全性を重視した物件を購入し、致命傷を避けるような取り組み方をするべきだ。
不動産投資は、「ミドルリスク・ミドルリターンの投資」といわれている。不動産投資のリスクは、株やFXなどほかの投資とくらべてどのような違いがあるのだろうか。
入居需要減によるリスク(収入減のリスク)
まずは、入居需要が減ることで起こる収入源のリスクだ。これは入居需要の減少によって空室率が高くなったり、家賃を下げないと空室がうまらなくなったりすることに対するリスクである。
不動産投資では、利回りの良い物件を購入することができたとしても、入居者がいなければ家賃は入ってこないのだ。
入居者が減ってしまう理由としては、建物や設備の老朽化などが原因としてあげられる。これらは基本的に予測することが可能だ。
経年にともなう建物の劣化により家賃が徐々に下がっていくのは不可抗力な面がある。そのため物件を購入する際は家賃下落をしっかりと織り込むことが大切だ。
少なくとも、10年以上など長期にわたって銀行への返済額が、必ず下落後の家賃を下回るぐらいの収益性の高い物件をはじめから購入するべきである。
災害など外部要因によるリスク(出費増のリスク)
つぎに、災害など外部要因によるリスクも考えなければならない。
地震や津波などによる建物の倒壊、火災による建物の焼失、洪水や積雪などオーナー自身でコントロールすることができない天災は不動産投資にも大きなダメージをおよぼす。
天災への対策として、行政が発行しているハザードマップなどで災害の危険性が高いエリアを事前に確認することはできる。しかし、天災によるリスクは完全に予測することはできず、被害を100%未然に防ぐことはほとんど不可能だ。
天災によるリスクは、火災保険や地震保険に加入をするなどで対処する必要がある。
保険の約款に記載してある事項であれば、災害により被った被害に対して、損害保険会社が保険金を出ししぶることはない。損害保険を十分に活用すれば、天災によるリスクへの心配はそれほどないといえる。
金利上昇によるリスク(出費増のリスク)
さらに考えるべきが、金利上昇による出費増のリスクだ。
不動産投資でローンを組むと、ローンの返済は数十年におよぶ。そのため金利の上昇が将来の出費増加へ直接的につながる。
不動産投資におけるローン金利には、大きくわけて変動金利と固定金利の2種類ある。
変動金利は、景気の変動にともない金利が上下し、固定金利は、景気が変動してもローン期間中の金利に変わりはない。一般的に変動金利より固定金利の方が金利は高くなるため、変動金利を利用した方がトータルの支払額は少なくてすむ。
不動産投資を行う場合の借り入れは、変動金利または期間限定の固定金利を利用することがほとんどだ。しかし、変動金利は金利の上昇によってローンの返済額が増加してしまう可能性があることも頭に入れておこう。
たとえば、5千万円の借り入れで30年間のローンを組んでいた場合は、金利が1%から2%に上昇すると年間で28万円分多く支払うことになる。
ローンの返済額が増えると、手取りの収入が減ってしまい最悪の場合赤字になってしまう。融資をうける前には、金利が上がった際のシミュレーションをしておくことが重要だ。
もし、金利上昇が本当に心配なら10年間など期間を限定して固定金利で融資をひけるプランを活用するのも一つの手だ。
[関連記事] 知らないと危険!アパート経営のリスクの種類不動産投資とその他投資のリスクの違い
不動産投資には、ほかの投資とくらべてリスクが軽減される点がある。それぞれみていこう。
不動産投資は収益が急激に変化することがない
株式や金、為替などの投資は、景気など外的要因を受けやすい。企業が不祥事を起こしたり風評被害にあったりした場合は、株価が大きく上下することがかなり頻繁に起きる。
対して不動産投資の場合は、景気などの外的要因に左右されることはほとんどない。
家賃相場や不動産の価格が急激に半減したり2倍になったりすることはほとんどなく、収益に影響する変化は数年がかりでゆるやかに進んでいく。
外的要因が顕在化したあとも適切なリフォームを行ったり、募集家賃の見直しを行ったりするなど対策を立てるための十分な時間があることが多い。
不動産投資は投資家が自分で投資効率をコントロールできる
価格変動を予測することができたとしても、外的要因を受けやすい投資を投資家がコントロールすることは不可能だ。
それに比べて、不動産投資は、投資家自身が自分の判断でリフォームをしたり、最新の設備を加えたりするなどの対応をすることにより投資効率を上げることができる。
地震などの災害や滞納などに関するリスクについても、損害保険に加入したり、保証会社をつけたりすることにより、大部分を投資家側でコントロールすることができる。
不動産投資は現物資産として残すことができる
会社の倒産などにより投資資本が消えてしまう恐れがある株式投資などの商品と比べて、不動産投資では購入した一棟アパートやマンションを現物資産として残すことができる。
老朽化などによって不動産の価値は下がっていくが、土地がなくなることはない。価値がゼロになることはないため、損失によるリスクが小さいといえる。
不動産投資以外の投資のリスク
上記でもふれたように不動産投資以外の投資では、金融商品に投資をする必要があり、さまざまなリスク・リターンが存在する。
不動産投資以外の投資にはどんなものがあって、それぞれどのようなリスクがあるのか。不動産投資以外の投資のリスクについてリスク・リターンの高低別に紹介していく。
ハイリスク・ハイリターン型の投資
FX
FX (外国為替証拠金取引)とは、日本円と米ドルなどの異なった通貨を交換することによる取引のことをいう。
FXの特徴は、少額から投資可能でレバレッジをかけることで大きな利益を狙うことができるところだ。しかし急激な為替変動が起こった場合は高レバレッジによって大きな損失がでてしまうリスクがある。
先物取引
先物取引とは、前もって大豆やコーン、金、ガソリンや灯油などの売買価格や数量を約束しておき、将来の約束の日が来た時点で売買を行う取引だ。
前もって売買の価格を決めておくことができるため、商品の売買につきものの価格変動リスクを回避することができる。
しかし、取引期間が決められているため決済をしたくない時にも決済をしなければならずレバレッジをかけて取引していると預けた金額以上の損失がでるリスクがある。
株式投資
株式投資は、一般的に企業の株式を価格が安い時に購入し、価格があがった際に株式を売却して利益を得る投資方法である。
株式投資は売買のタイミングによっては高い利益を得ることができる。株主になると配当金や株主優待を得られるという特徴もある。
しかし、売買のタイミングによっては損失が生じる可能性があり、株主となった企業が経営不振などで倒産した場合は投資資金をすべて失ってしまうリスクもある。
株式投資の中でも、マザーズなどの新興市場に上場している会社の株は変動幅が大きくリスクも高い。その分、大化けして高い値上がり益を得られる場合もありハイリスク・ハイリターンな投資だといえる。
逆に東証一部に上場している大型銘柄(銀行、商社など)はミドルリスク・ミドルリターンに分類される銘柄もある。
ミドルリスク・ミドルリターン型の投資
REIT(不動産投資信託)
REIT(リート)とは、投資者から集めた資金で不動産への投資を行い、賃貸料収入や不動産の売買益を原資として投資者に分配する金融商品のことである。
REITは少額で実物の不動産に投資をすることができるのが大きな特徴だ。しかしREITは「金融商品」であるため、不動産を所持して自分の資産にすることはできない。
REITは証券取引所で取引する必要があり、証券取引所が定める上場基準に抵触し上場廃止となった場合は、取引が困難になるといったリスクもある。
ローリスク・ローリターン型の投資
個人向け国債
個人向け国債とは、国が発行している個人しか買い付けができない債権のことである。発行後1年が経過すれば1万円単位から換金することができる。個人向け国籍は国が発行しているため安全性が高いのが特徴である。
しかし、個人向け国籍には国の財政が立ち行かなくなると発行体である国自体が破綻して、元本が返ってこなくなるリスクも存在する。
外貨預金
外貨預金とは、日本の通貨を外国の通貨に交換して預金し、外国通貨を日本円に交換して払い戻す取引のことである。
外貨預金は、為替変動(外貨を円に交換する際に交換レートである為替相場が変わること)による利益が狙えることと、金利を受けとれることが特徴である。しかし為替変動による損失をかぶるリスクもある。
[関連記事] 不労所得だけで生活したい!月10〜50万円以上稼ぐ方法と種類大全集不動産投資で失敗するリスクが高い人の特徴3つ
一般的なリスクとされる「空室」や「災害」などは、ある程度の回避策がある。それにもかかわらず失敗してしまう人には、次のような特徴がみられる。これらにあてはまる人は余計なリスクを高めているため、失敗する可能性が高くなる。
リスクが高い取り組み1.不動産投資を「事業」だと思っていない
不動産投資は「投資」に分類されることが多い。しかし実際は「事業」の側面が強い。なぜなら不動産投資は、物件購入前の事業計画で収益が大きく変わってくるからだ。
不動産投資をはじめる前には「どんな物件を、どんな目的で購入するのか」「どの金融機関から融資を受けるか」「初期費用はどのくらいかかるか」など、さまざまな計画を行い、購入した物件が収益を生み出すかどうかのリサーチが必要になる。
不動産投資は他の金融商品と比べて、物件を購入して終わりではなく運用しながら収益を上げていくことになるため、物件を買ってからが本当のスタートなのだ。
物件を購入すれば収益が自動的に上がるようなイメージで説明する不動産会社も少なからずいるが、物件をただもっているだけで安定的な運営ができるわけではない。
不動産投資では、売買益よりも購入した物件を第三者に貸しだすことで得られる家賃収入がメインの収益となる。そのため、オーナーは物件購入後もクリーニングやリフォームなどで空室率を減らす努力をしなければならない。
このように、投資家であるオーナーは購入、融資、管理・運営など多岐に渡る知識・ノウハウを得る必要がある。
事業家としての視点がないとリスクを高めるばかりで、成功するのはむずかしいだろう。
[関連記事] アパート経営で失敗する人の特徴7つと回避法リスクが高い取り組み2.プロに任せない
不動産投資のいところは、集金管理や問い合わせ対応、清掃などの日常業務を他の人に任せられるところである。このメリットを享受せず、経費を安くするためにプロに任せずなんでも自分で行おうとする人がいる。
こうした運営の仕方は本末転倒であり、リスクを高めるためおすすめできない。
地域のことをよく知っている管理会社に任せず自分で管理や入居者募集を行おうとすると、物件を満室稼働させることはむずかしい。また、税に理解のない人が税の計算をするのも無理がある。
なんでも1人で行おうとせず、管理会社や税理士には適切な費用を支払い、彼らの知識を利用しながら任せるという姿勢が大切だ。
[関連記事] アパートの空室対策は、管理会社選定が重要リスクが高い取り組み3.シミュレーションが甘い
不動産投資では、物件購入後の収支や経費などのシミュレーションをあらかじめ行うべきだ。物件購入前のシミュレーションが甘い人は失敗するリスクが高くなる。
物件を選ぶ際に注目するのは、満室想定の「表面利回り」だろう。しかし表面利回りだけでは最終的な判断を下すのに十分とはいえない。
表面利回りが同じでも、金利や減価償却の水準、空室率によって、得られるキャッシュフローは大きく異なる。そのため投資家個人の状況に合わせて物件を分析しなければならない。
事前のシミュレーションがしっかりしていれば、大きな失敗は防ぐことができる。物件購入前はさまざまなパターンを想定してシミュレーションを行うことが大切である。
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不動産投資は投資のためリスクはつきものであり、投資家がおかれる状況によってそれぞれリスクは異なる。そのため、一概に「不動産投資は低リスク」だとはいえない。
しかし、不動産投資は投資家自身でリスクをコントロールすることができる投資なのもたしかだ。
リスクについての対応策をしっかりと考えていれば、不動産投資で大失敗する可能性はグンと下がる。大切なのは、投資家がリスクについてしっかりと理解したうえで、適切な対処をすることである。
不動産投資はさまざまな知識が必要なため、楽をして稼ぐことはできない。不動産投資で失敗をする多くの人は、知識やノウハウが足りていないことがほとんどだ。
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この記事の監修者
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