不動産投資で役立つ資格や勉強法は?

2020年12月16日11,215

不動産投資に関する資格は数多く存在する。なかには一般的には知られていない資格や、取得してもアパート経営には役立たない資格もある。不動産投資でより多くの利益をあげるために資格を取りたいと思ったら、なにが実用的な資格なのかを知っておくべきだ。

ここでは不動産投資に関する資格の種類と勉強法をくわしく説明していく。

不動産投資に関する資格9つとその特徴

不動産投資に関わる資格はたくさんあるが、すべての資格を取得するにはかなりの時間を要するため現実的ではない。そもそも、「資格の取得=不動産投資の成功」とはならないことを念頭においたうえで、不動産投資に有利に働く資格を取捨選択すべきだ。

ここでは、不動産投資に関わる資格9つとその特徴を説明していく。

資格1:不動産投資に役立つ可能性のある「宅地建物取引士(宅建士)」

まず初めに紹介する資格は、不動産投資をするうえで取っておいて損がない「宅地建物取引士」、いわゆる「宅建」だ。

宅地建物取引士(通称:宅建士)は不動産取引に関する資格で、国内で毎年20万人前後の受験者数を誇る最大規模の国家資格である。試験は年に1回、合格率は15%~18%程度だ。国家資格ということもあり難易度が高く、最低でも200時間は勉強をしないと合格は厳しいだろう。

宅地建物取引士(宅建士)の資格内容と特徴

宅建士は、土地や建物を売買・賃貸する仲介の際、不当な契約を結んでしまわないように、重要事項をお客さんに説明する役割がある。不動産契約に関わる「重要事項の説明」「重要事項の説明書面への記名と押印」「契約書への記名と押印」は宅建士しかできない仕事であり、不動産業界ではかなり重宝される資格だ。

宅建業者(不動産会社)は事務所に勤務する職員のうち、5人に1人の割合で宅地建物取引士を設置しなくてはならないとされている。不動産仲介会社を始めるには最低でも1人宅地建物取引士が必要なので、一人で独立したい場合は必ず宅建を取得する必要がある。そのため、多くの不動産会社では宅建の有資格者に月1〜4万円程度の手当を出していることもめずらしくない。

ただし、これらはあくまで不動産業界で働く場合の話であり、個人で不動産投資を行うために宅建士の資格は必須ではない。

宅建の資格取得のための勉強が、不動産投資に直接役立つかというと、その限りではない。

しかし、宅建士の資格を持っていることで、不動産会社からは「不動産の専門的な知識がある人」と思われるため、悪徳不動産会社に騙されたり粗悪な物件を掴まされたりすることはほぼなくなるだろう。

資格2:不動産を含めた資産全般に強くなる「ファイナンシャルプランナー(FP)」

次に紹介する資格は、ファイナンシャルプランナー(通称:FP)だ。

FPは、お金に関する6つの分野(税金・投資・住宅ローン・不動産・教育・老後・相続)の問題を取り扱うお金に関する資格で、国家資格と民間資格の2種類がある。

国家資格「FP技能士」3級~1級

国家資格にあたるFP技能士は、個人や中小企業などの顧客のライフプランやニーズに合った「貯蓄」「投資」「保険」「税制」「不動産」「相続」「事業承継」についてのプランを立案しアドバイスを行う、資産相談に関する資格である。

資産に関する知識を幅広く取り扱うため、不動産の知識だけではなく総合的な勉強が必要とされる。

試験は年に3回で、3級の合格率は、62.17%、2級の合格率は23.5%(過去15回合格率平均)。

金融財政事情研究会日本FP協会

3級であれば比較的簡単に取得できる資格であり、勉強時間は80~100時間程度で合格に近づくだろう。

民間資格「AFP」「CFP®」

民間資格であるAFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)は、2級FP技能検定の合格とAFP認定協会の終了の両方の条件を満たさなければ取得できない資格だ。

CFP®(サーティファイド ファイナンシャル プランナー®)は、ファイナンシャルについて世界水準のサービスを提供できるプロフェッショナルであることを証明する資格である。

「AFP」「CFP®」ともに2年ごとの資格更新と継続教育が義務付けられていて、民間資格ではあるが、FPの中でもより専門的な資格だといえる。

ファイナンシャル・プランナー(FP)の資格内容と特徴

FPは、ライフプランにまつわる貯蓄、投資、保険、税務、不動産、相続などさまざまな知識を得られる資格だ。

長期的な資産形成であり、未来を見通して計画を立てることが重要な不動産投資において、FPの資格で勉強するライフプランニングの知識はとても役立つだろう。

ただし、不動産や税金のことだけでなく相続や保険のことも学ぶ必要があり、自身のお金に関する総合的な知識の底上げにはなるものの、不動産投資を始めるにあたってすぐに必要な資格ではない。

資格3:不動産投資全般の知識が習得できる「不動産実務検定(旧大家検定)」

不動産実務検定は不動産運用に関する実践知識を体系的に網羅した民間資格である。

2級認定、1級認定、マスター認定と3段階あり、不動産投資に直結する知識を得ることができる。試験日程は開催地によって異なるため、最寄りの試験会場を調べて日程を確認する必要がある。合格率は正式に発表はされていないが、約7割の正回答が合格ラインの目安だ。勉強時間は2級・1級は約12時間、マスター認定は約20時間の勉強時間が必要とされている。

不動産実務検定(旧大家検定)の資格内容と特徴

不動産実務検定は、賃貸住宅の経営に必要な知識を勉強できる資格だ。

2級、1級では日常的な賃貸経営で直面する課題に的確に対処する方法を勉強でき、不動産投資における基礎から応用まで実践的な知識を学ぶことができる。

マスター認定では総合的な不動産コンサルティングに関する知識を学び、資格を取得すると「J-REC公認不動産コンサルタント」と称することが可能になる。

資格4:不動産物件の状態を判断できる「公認ホームインスペクター」

公認ホームインスペクターは「住宅の劣化状況」や「欠陥の有無」等を第三者的な立場から見極めることができる平成21年に始まった比較的新しい建築不動産系の民間資格だ。

試験は年に1回、合格率は30%程度だ。その他の国家資格ほど難しい資格ではないが、最低でも150時間程度は勉強をしないと合格は難しいだろう。

公認ホームインスペクターの資格内容と特徴

公認ホームインスペクターは、住宅診断に関する知識を主に勉強する。住宅診断の方法として、基本的に目視で屋根・外壁・室内・小屋裏・床下などの劣化状態を診断する。

機材を使用して詳細に診断することもあり、不動産仲介業者が消費者に物件のコンディションを明らかにするために利用するケースが増えてきている。

自分で物件状態の判断ができるようになると、インスペクション結果で見つかった問題を指値交渉の材料にできるなど不動産投資を行ううえで役立つ場面があるかもしれない。

しかし、ホームインスぺクション(住宅診断)は5~6万円前後で依頼することができるため、わざわざ自分で資格を取得するより外部に頼んでしまった方が効率的だろう。

資格5:土地や建物の価格を評価する「不動産鑑定士」

不動産鑑定士は「土地や建物の価格を評価する不動産鑑定評価」を行う資格で、弁護士・税理士と並ぶ文系最難関の国家資格の1つだ。試験は年1回、短答試験に合格したら論文式へ進むという2段階構成になっている。国家資格ということもあり試験は難しく平成30年の筆記の合格率は33.4%、論文の合格率は14.8%だ。

勉強時間は最低でも2,000時間ほど必要で、短答試験は独学でも通過が可能だが、論文はとても難しく、専門のスクールに通う必要があるだろう。

不動産鑑定士の資格内容と特徴

不動産鑑定士は、地域環境などの諸条件を考慮して適正な地価、適正な土地利用など不動産を担保にお金を借りる場合や遺産相続などで不動産の情報が必要な場合に鑑定を行う役割がある。

あらゆる側面から不動産の価値を測り、不動産業者にどのくらいの金額で売買できるかを判断する。また、銀行から融資を受けるための担保物件の鑑定評価や公共用地などを取得あるいは処分する際にも不動産鑑定士が評価を行う。

不動産鑑定士の知識があれば物件購入や売却時に適正な価格がわかるため、不当な金額でないか自分で判断することが可能だ。しかし、勉強時間は最低でも2,000時間ほど必要といわれていて、不動産投資の知識を得るために取得する資格と考えると難度が高すぎるだろう。

資格6:不動産投資の税金対策に役立つ「税理士」

税理士は、個人や中小企業の税金が円滑に納められるようにサポートするための税金に関する国家資格だ。

税理士の試験は必須科目、選択必須科目、選択科目から5科目の筆記試験に合格しなければならない。しかし、1科目あたりの平均勉強量が150時間~600時間(科目により平均勉強時間が異なる)とかなりの時間を必要とする。さらに、独学での合格は難しいため専門学校や資格スクールに通う必要があるだろう。

税理士の資格内容と特徴

税理士は税務書類の作成や、税金の申請・申告ができる。また、所得税や相続税の対策などにもくわしくなるため、不動産投資に関わる税金対策を自分で行うことができるようになる。

しかし、資格取得のための勉強量や金額を考慮すると、不動産投資に役立てるために取得する資格向きではない。

資格7:不動産の登記を業務にすることができる「司法書士」

司法書士は、個人や企業の依頼によって法律に関する書類の作成や法律上の手続きを代行する国家資格である。

合格率はわずか3%前後で、勉強時間は最低でも3,000時間は必要とされていて、資格取得の難度はかなり高い。資格取得の方法は試験だけではなく、10年以上裁判所の事務官や検事の事務官を務め、法務大臣の認定を得ることでも可能だ。

司法書士の資格内容と特徴

不動産の登記を業務にすることができるのは司法書士の資格を保有している人だけだ。また、司法書士は簡易裁判に限り弁護士と同等に訴訟代理業務が行える。

個人で不動産投資を行ううえでの不動産登記は司法書士の資格がなくてもできるため、不動産投資の勉強のためだけに難関試験を受ける必要はない。

資格8:不動産の設計やデザインを行う「建築士」

建築士は、建築物の設計および監理を行う建物設計の国家資格である。

指定科目を修めている、または実務経験を有する者など受験資格の条件がいくつかあり、誰でも受験できるわけではない。合格率は1級12.6%、2級24.3%、木造40%、勉強時間は最低でも1,000時間は必要だろう。指定科目の修了が受験条件となるため、建築学部や建築学科のある学校に通う必要がある。

建築士の資格内容と特徴

建築士は、新築で物件を建てたり大規模なリフォームをしたりする際、建物全体のデザインやどのような内装にしていくのか考える役割がある。不動産投資をしていくうえで外観や内装は入居率が左右される要因となるため、役に立つ可能性がある資格といえるだろう。

しかし、だれでも受験ができる資格ではないことや、取得のための勉強時間と費用を考慮すると、不動産投資について学びたい人向けの資格ではない。

資格9:不動産投資に役立つ可能性のある「土地家屋調査士」

土地家屋調査士は、土地の測量および登記記録に関する国家資格である。

不動産がどこにどのような形状で存在し、何に利用されているのかを明確にする役割がある。

誰でも受験可能だが、専門的な分野の勉強になるため独学では合格が難しく、合格率は約8.5%程度である。勉強時間は最低でも1,000時間必要とされていて難度が高い資格といえる。

土地家屋調査士の資格内容と特徴

土地家屋調査士は、法務局に登録されている不動産の場所や広さ、用途などの情報を登録するための知識や測量の技術が必要な資格だ。表題登記を行えるのは土地家屋調査士のみであり、不動産業界ではなくてはならない資格である。

不動産投資では、新築物件を建てる際、不適合接道・再建築不可物件を再建築可能物件にするために合筆する場合などに、不動産登記の変更が必要となる。合筆は資格がなくとも行えるが、手続きが複雑なため、土地家屋調査士の知識が役に立つ可能性がある。

しかし、不動産投資で新築物件を建てる予定のない人は、土地家屋調査士の知識が必要になる機会はあまりないだろう。

不動産投資に役立つ資格はどれ?種類と勉強法を紹介

不動産投資家は資格がなくても始められるが、もし資格取得にチャレンジするのであれば、「宅地建物取引士(宅建士)」「不動産実務検定」「公認ホームインスペクター」がおすすめである。

ここではそれぞれの資格が不動産投資に有利な理由や勉強法をくわしく説明する。

1.「宅地建物取引士(宅建士)」は不動産投資にどう役立つ?

宅建士は、土地や建物を売買・賃貸する不動産取引の際に必要な資格である。

宅建士を取得する過程で不動産取引の専門知識を学ぶことができ、全体的な知識の底上げになる。また、宅建士の資格をもっていることで「不動産に関する専門的な知識がある人」と思われるため、悪徳な不動産業者から損をする提案を受けにくくなるといったメリットもある。

宅建士は、不動産投資に役立つ資格の取得を考えているのであれば、はじめに検討すべき資格だ。

「宅地建物取引士(宅建士)」資格取得のための勉強法

受験回数:年1回 合格率:15~18% 勉強時間:最低200時間

費用 テキスト代 受験料 実務講習 登録料 合計
10,000円 7,000円 25,000円 37,000円 79,000円

+スクール代:100,000円~150,000円

宅建士の資格取得の勉強は独学でも可能だが、効率を重視するのであれば通信講座やスクールに通う方法がある。勉強時間は最低200時間ほど必要とされていて、合格率も15〜18%と簡単な試験ではない。宅建士の試験の出題範囲はかなり広いため、効率よく試験に受かるには満点を目指さないのが基本だ。

出題科目 出題数 出題範囲
民法等 14問

民法(10問)

借地借家法(2問)

区分所有法(1問)

不動産登記法(1問)

法令上の制限 8問

都市計画法(2問)

建築基準法(2問)

国土利用計画法、その他制限法令(1問)

農地法(1問)

宅地造成等規制法(1問)

土地区画整理法(1問)

宅建業法 20問

宅建業法(19問)

住宅瑕疵担保履行法(1問)

その他

関連知識

8問

不動産鑑定評価基準、地価公示法(1問)

税法(2問)

住宅金融支援機構(1問)

景品表示法(公正競争規約)(1問)

宅建試験の出題数は全部で50問あり、そのうち「民法等」が14問、「宅建業法」が20問で合わせて34問だ。宅建の合格点数は35点前後のため、満点は目指さずに35問を確実にとれるようにするとよいだろう。

10年分の過去問を全問正解できるまで何度も繰り返し、自宅で勉強できない時間は宅建アプリなどを利用してすきま時間を有効に使うと合格に近づくことができる。

2.「不動産実務検定」は不動産投資にどう役立つ?

不動産実務検定は2級、1級、マイスターの3種類あり、資格を取得するには「賃貸経営の概要」「取引実務」「ライフプランニング」「税務」「建築」など大家に必要となる知識が全般的に必要となる。

これから不動産投資を始める人にとって、実用的な知識を得られる資格であり評判も良い。不動産投資において必要な知識が全て網羅されているわけではないが、不動産経営の方法を具体的に学べる資格だといえる。大家になるために、賃貸経営全般について学んでおきたい人にはおすすめの資格だ。

「不動産実務検定」資格取得のための勉強法

費用 2級 1級 マスター
39,720円 94,800円 216,840円

不動産実務検定の資格取得のための勉強は独学でも十分可能だ。

合格率は明らかにされていないが、それぞれの試験で7割の正回答で合格となる。

また、一般財団法人「日本不動産コミュニティー」で認定講座の受講をすれば、講座終了後に5問免除となる制度もあるので参考にしてほしい。

(引用:一般財団法人日本不動産コミュニティー)

2級、1級はどちらからでも取得することが可能だが、マスター認定を取得するためには、両方を取得している必要がある。

2級は、「賃貸管理や運営に関する知識と技能」、1級は、「不動産投資、税務、土地活用に関する知識と技能」、マスター認定は「不動産運用設計に関する専門的かつ実務的な知識と技能」を学ぶことができる。

不動産実務検定の主な勉強方法として、通学講座ホームスタディ講座がある。

通学講座は希望の開催地域から開講中の講座を申し込み受講する形式だ。公認インストラクターから直に講義を受けられ、その場で質問ができるメリットもある。また、不動産投資を学ぶ受講者同士の繋がりができ、今後の情報共有もできるだろう。

一方、通学が難しい人向けにはホームスタディ講座があり、DVD視聴とテキストで自宅学習ができるため好きな時間に自分のペースで学習可能だ。ただし、ホームスタディ講座での自習のみでは試験の際の5問免除は受けられない。それらの点をふまえて通学講座とホームスタディ講座どちらを選ぶか決める必要がある。

3.「公認ホームインスペクター」は不動産投資にどう役立つ?

公認ホームインスペクターの資格取得では、建物・住宅の欠陥や修繕についての知識を勉強する。そのため、ホームインスペクターの資格を取得することで、物件調査の精度があがる見込みがある。

また、個人で対処できる欠陥か、業者への依頼が必要な欠陥かの見分けが付くようになるため、修繕内容を自分で判断し必要な部分のみ業者に頼むことができ、出費が抑えられることも期待できる。

あまり勉強する機会のない「給排水」「衛生」「空調」「電気設備等」の設備全般の知識も備わるため、中古の物件を購入した際や所有物件が老朽化した際に役立つ可能性もあるだろう。

「公認ホームインスペクター」資格取得のための勉強法

費用 テキスト代 有料イーラーニング 受験料 入会金 年会費 合計
10,000円 12,800円 14,000円 13,000円 12,000円 61,800円

公認ホームインスペクターの資格を取得するためには、日本ホームインスペクター協会が出している公式テキストや、ネットで受講可能なイーラーニング講座などで勉強するのがいいだろう。

協会推奨の「参考図書」から多くの問題が出題される傾向があり、何度も繰り返し読むことが合格への一歩である。しかし、参考図書に書かれていない経験上の判断問題も出題されるため建築知識だけでなく不動産取引や倫理など網羅的な知識が必要となる。

独学でも合格は十分可能だが、有料イーラーニングはホームインスペクター協会の理事が解説しているため、勉強方法としてとてもおすすめである。有料イーラーニングは「建築編(9,800円)」「不動産取引編(4,800円)」と2つに分かれたものと、両方を収録した「フルセット(12,800円)」がある。

結局、不動産投資に資格は役立つのか?取得のメリットとは

結論から言うと、不動産投資において資格の取得は必須ではない。

不動産投資家はアパート経営において、ひとつの分野に特化した専門家になるより、全体を統括する総合プロデューサー的な立ち位置にあるべきだ。それぞれの専門知識は自分ですべて勉強するより各専門家に聞くのがもっとも効率が良い。もちろん資格をもっていて不利になることはない。ただ、これから膨大な時間をかけて資格を取得するとなると話は別だ。なぜ不動産投資に資格が必要ないのか、主な理由は次の3つだ。

1.不動産購入のための時間と資金が減る

第一に、資格を取得することで、不動産投資に使える時間と資金が減ってしまうということだ。どんな資格でも、取得にはそれなりの時間と資金が必要となる。

勉強にあてる200時間があれば、物件の下見が50件以上可能であり、不動産投資家としてアパート経営をするのであれば、大切な時間と資金は資格の取得に使うのではなく物件購入のために使うべきだ。

2.「役立つ」が「必要」ではない

資格はもちろんあれば役に立つ。ただし、必ずしも必要ではないのだ。

「いつか役に立つかもしれない」といった予測だけでチャレンジするには、資格の取得はあまりにも時間と資金がかかりすぎる。

特に不動産投資の初期のステージであれば、成功するために必要な物件調査や不動産会社とのコネクション作りに時間や資金を割いた方が圧倒的に成功への道は近い。

3.不動産投資に専門知識は必要ない

不動産投資家はアパート経営に関する総合プロデューサーだ。専門的な知識を自分ですべてもっている必要はない。ただし、「誰に何を聞けばよいか」を知っておくことに加えて、それらを教えてくれる人脈作りは不動産投資において大切なことの1つである。

自分で専門知識をもつのではなく、専門知識をもった人に質問できる環境を作ることが大事なのだ。

不動産投資で「成功」するには「実践」による経験値をあげるべき

不動産投資には資格が役立つが、必要ではないということを紹介してきた。「宅建士」「不動産実務検定」「公認ホームインスペクター」など、不動産投資を後押ししてくれる資格はあるものの、それらをもっているからといって成功できるわけではない。

これから資格を取得しようとしている人に考えてほしいのは、何のために資格を取得するのかということだ。不動産投資家になって成功することが目的なのであれば、まず不動産投資家になってしまうのが一番だ。

知識が足りず不安な部分や、資格が必要なほどの専門知識は各専門家に聞き、自らは本やセミナーで勉強したうえで規模の小さな物件から購入し実践を積むやり方をおすすめしたい。

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この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
詳細プロフィール

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