誰に責任があったのか?「かぼちゃの馬車」騒動で見えたこと

2020年12月16日1,063

「かぼちゃの馬車」という女性向けシェアハウスをご存知だろうか。

「かぼちゃの馬車」とは、スマートデイズ社が販売する女性専用のシェアハウスのブランド名である。

先日、このシェアハウスを運営していたスマートデイズ社が経営破綻し、出資していた投資家たちが数億円規模の被害に合った。

「土地や資金がなくてもシェアハウスのオーナーになれる」「頭金なしで投資でき、約30年間家賃収入を保証する」そんな謳い文句に惹かれた投資家たちは、多額のローン返済の見通しが立たず、悲痛な声をあげている。

連日報道されるニュース番組などで、この話題を知り、「不動産投資は危険」「シェアハウスなどの不動産投資=危険な投資」と認識してしまった人も多いだろう。

確かに、不動産投資にはリスクが存在する。

しかし、注意すべきポイントを事前におさえておけば、トラブルに巻き込まれる可能性やリスクを最小限に抑えることが可能である。

今回は「かぼちゃの馬車」騒動を分かりやすく解説し、物件購入で失敗しないために気をつけておくべきポイントやトラブルに巻き込まれないための注意点を伝えたい。

「かぼちゃの馬車」のビジネスモデルとは

シェアハウスとは共有のリビングルームがあり入居者同士のコミュニケーションが図れることが大きな特徴である。

1人で部屋を借りるより安いこと、1人暮らしの寂しさがないことなどの理由から、ここ数年で広く知られるようになった。

それに比べ、「かぼちゃの馬車」のシェアハウスは地方から夢を追って上京してきた若い女性をメインターゲットとし、敷金礼金などの初期費用が1万円のみであること、個室には家具や家電がある程度揃っている(物件によって家具・家電料込みの場合と別途の場合がある)こと、共有のリビングスペースがなく、女性専用であることなどが大きな特長となっている。

賃料は場所によって異なるが、光熱費込みで5万円から9万円ぐらいまでで都内の比較的良い立地に安価で住むことができる。

だだし、個室の広さは約四畳半と狭く、トイレやキッチン、シャワールームは各階で共同である。

他にも「かぼちゃの馬車」は派遣会社とタッグを組んで入居者の就業斡旋(あっせん)も行うというコンセプトも掲げ、通常の賃貸物件とは異なり入居者の回転率をあげることで利益を得るという発想が注目されていた。

夢を乗せた「かぼちゃの馬車」はなぜ、破綻したのか

 「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズ社は2018年4月18日に民事再生の申し立てを棄却され、2018年5月15日には破産手続き開始決定を受けた。

入居率の高さや30年間の家賃保証をアピールし、こうしたコンセプトに惹かれた多くのサラリーマン投資家が「かぼちゃの馬車」に集まったが、実際には、シェアハウスに求められる入居者同士の交流や居住対象としての魅了に欠けるなどの理由から、入居率は約40%程度に留まっていた。

さらに、空室率の対策として掲げられていた人材斡旋料による収益もほとんど得られておらず、投資物件としてのビジネスモデルは成り立たなかったのである。

不動産投資における最大のリスクは空室率である。これはシェアハウス投資も同じだ。

上記の入居率では十分な賃料を得ることはできず、スマートデイズ社は、新たな物件を次々と建てて販売。オーナーへ支払う賃料は新たに確保したオーナーに高い物件(3~4千万円)を売りつけるという完全な自転車操業状態だった。

最終的に、既存オーナーへの賃料支払いのために増えていった「かぼちゃの馬車」オーナーは約800人にもおよんでいた。

スマートデイズ社側は入居者不足により、本来オーナーに支払うべき家賃保証分の収益を次第に捻出できなくなっていき、2018年1月に支払いを停止した。

オーナー側は、予定されていた賃料の入金がなくなり、当然ローン返済もままならなくなった。

浮き彫りになった「スルガ銀行」高額融資の実態とは!?

スルガ銀行は他の銀行では返済の可能性が低いために融資を行わないような債務者や法人にも高金利で積極的に融資を行い、利益を獲得していた。

「かぼちゃの馬車」問題を大きくした要因は、スマートデイズ社に融資を行なっていたスルガ銀行にもあると言われている。

そのスルガ銀行がスマートデイズ社への融資を止めたことが今回の事件が大きくなった発端だろう。

スマートデイズの提携金融機関もスルガ銀行で、シェアハウス建築の際に、会社員らの多くに1億円を超える融資を行っていたが、通常は高属性の会社員でも1億円という高額な融資は簡単には受けることは容易ではなく、無理に高金利かつ高額の融資したスルガ銀行の姿勢は問題視されている。

はっきりとは言えないが、一部では融資審査を通すために投資家の通帳の改ざん、融資を通した営業マンに不動産会社からキックバックがあったという話も出てきたことで金融庁も調査に乗り出し大問題になっている。

「サブリース」の穴にはまり、問題を見抜けなかったオーナー達

 「かぼちゃの馬車」問題を大きくしたもう一つの原因は「サブリース」だと言われている。

このサブリース契約は空室であっても賃料が支払われる「家賃保証」が魅力となっている。

入居者とはサブリース会社が転貸する形で契約が結ばれ、入退去の管理、空室の入居者募集などはサブリース会社が行い、大家の経験がない会社員など他の仕事がある方でも自身の物件管理に手間をかけることなく安定した家賃収入を得ることが出来る。

一見すれば、不動産オーナーが負うリスクの一部が排除されたように思えるが、サブリース契約はサブリース業者が何十年も一定の賃料を支払うようにはなっておらず、二年~五年程度で契約更新となるか、賃料の改定を定めることがほとんどである。

契約初期は契約時の賃料が支払われるかもしれないが、契約更新には賃料改定を含めた条件の見直しがあるだろう。

また、スマートデイズ社のように、支払い自体が不可能になる場合もある。

「かぼちゃの馬車」を買ってしまったオーナー達の間違いは、このサブリース契約が収入を保証する契約だと信じてしまったからだろう。

 結局、誰が悪いのか?トラブルに巻き込まれないために

 スマートデイズ社の過剰な利益追求姿勢、スルガ銀行のコンプライアンスに対する意識の欠如などが今回のかぼちゃの馬車事件であらわになった。

たしかに、「かぼちゃの馬車」には上記のような問題が運営会社・融資銀行にあったことは間違いない。しかし、冷静になって考えれば、単純に投資物件として「かぼちゃの馬車」のシェアハウスを見た場合、そもそもかなり無理のある投資であったことは明らかである。

投資をする以上、責任は最終的な判断をした投資家が取ることになる

騙す方が悪いのは確かだが、しっかりと下調べを行わなかった投資家側に責任があることは間違いない

「かぼちゃの馬車」はシェアハウスとしては「魅力がない」と言われているにもかかわらず、実際に完成済みの物件を見ずに購入したオーナーがほとんどであった。

投資物件を決める際、判断基準として重要なのは収益性を計る表面利回りだが、それよりも気にしなければいけないのは入居率(空室率)の方である。

高利回り、高入居率をうたう物件であるほど、入居率(空室率)を見定めるのが重要になってくる。

一度でも自分の足で物件を見に行っていれば、この家賃で入居者が集まるのか、狭い間取りを集めた物件に一億円以上の価値があるのか、同じ広さのアパートが半額程度で買えるのは何故なのか?などの点につついて不審に思うことが出来たはずだ。高額な物件の購入を勧められるがまま決断する前に、自分の目で見て自分で計算して判断することが大切である。

また、サブリース契約の内容は、10年20年先を見通した上で収益性だけではなく、リスク対策も細かくチェックすることも重要である。

不動産投資は多額の借り入れを伴う「事業」である。それが会社員向けの投資であれ、失敗すると致命的な損害につながることは何年も不動産投資に従事していれば誰もが知っていることだ。

時には信頼と実績のあるパートナーの意見を求めながら、必ず自分が納得するまで確認を行い、事業者、投資家として追うべき責任とリスクを理解して最終的な判断をするべきであると言える。

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この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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