悪質な罠!「かぼちゃの馬車」被害者を狙う二重詐欺の卑劣な実態

2020年12月16日1,705

約800人ものオーナーが1億円前後を投資していた女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズ社が経営破綻した。

多額の借金返済に窮するオーナーたちが続出し、オーナーに融資をしたスルガ銀行への責任も問われるなど、騒動はいまだ解決の糸口が見えていない。そんな中、「かぼちゃの馬車」事件で被害に合ったオーナーに対して、さらに詐欺をはたらく二重詐欺事件が起きていたという。

世の中には、多くの「詐欺被害」が存在する。今回は、「かぼちゃの馬車」問題にともなう二重詐欺について紐解きながら、被害に合わない為のポイントを伝えたい。

「かぼちゃの馬車」二重詐欺の手口とは

「かぼちゃの馬車」問題を利用した二重詐欺とはどんなものなのであったのか。その手口は以下である。

まず、「被害者救済」「問題解決のプロ」などと謳う団体が、被害にあったオーナー達に対して、ホームページやダイレクトメールなどで、投資金を回収するなどと持ちかけてくる。

団体側はオーナーに対して自分達も「かぼちゃの馬車」の被害者だと名乗るなど、一見、親身に相談にのるように装うが、団体側の本来の目的はオーナーから「コンサルト契約料」の名目でお金を得ることである。

そうとは知らないオーナー達は、藁にもすがる思いで団体側に50万円~300万円程度の契約料を支払ってしまう。

しかし、オーナー達がいくらスマートデイズ社やスルガ銀行への交渉を求めても団体が問題解決に対して積極的に動くことはなく、団体との契約解除を求めても次第に担当者と連絡が取れなくなり、音信不通になっていったという。

また、のちにわかったことだが、英国ロイヤルベビー記念コイン(Bコイン)と称する架空のコイン販売事業で高齢者から約10億9,000万円を詐取した貴金属販売会社の社長ら関係者と、かぼちゃの馬車で二重詐欺を図った団体は同じ人物だったようだ。

 詐欺に合えばまた詐欺に合う!?なぜオーナー達は二度も詐欺にあってしまったのか

よくある話だが、一度詐欺に合うと、被害に合った人の氏名や電話番号などのリストが詐欺グループの中で出回り、何度も詐欺に合うことがある。

この「かぼちゃの馬車」問題の二重詐欺に関しても、「かぼちゃの馬車」へ投資をした人のリストが回っていたからこそ成し得た手口だといえる。

一度被害に合った人は疑い深くなる反面、「再び騙されることはないだろう」「損失を何とか取り戻したい」という心理も働くため、詐欺師にとっては「いいカモ」にされやすい。

また、被害者の気を緩めることに長けた彼らは善人を装い、「取り戻すには早い方が良い」「あなたはツイている」などと、被害者が心を開くと同時にあの手この手でたたみかけてくる。

これは「かぼちゃの馬車」の二重詐欺に限ったことではないが、こうして一度でも詐欺に合うと詐欺師に狙われやすくなるので注意が必要である。

「自分は絶対に騙されない」と思わない!詐欺被害にあわないために気をつけるべきこと

今回の二重詐欺は未然に防げないほどのものだったのだろうか。

まず、上記団体のホームページと思われるWebサイトだが、運営している人物の氏名が性のみ、連絡先が固定電話ではなく携帯の電話番号、サイト内に記載されている情報が簡易的すぎるなど、ざっと見ただけでも不審な点が多々目立った。

インターネット上で連絡をとったり契約をしたりする際には、こうした不審な点がないかよく確認し、怪しいホームページや不審なダイレクトメールには十分気をつけなければならない。

そのほか、不動産投資を行う上で詐欺を疑ったほうがいい例としては、「やたらと高利回りを謳われる」、「マンションを運営していく上で欠かせない支出の存在を隠される」、「虚偽の広告を出している」、「クーリングオフや契約の解約に応じない」「しつこく、強引な勧誘」などと、あらゆるパターンが考えられる。

詐欺業者の誘い文句としての共通点は、「普通の投資では実現できない利回り」、「意図的に詳細な説明をしない」、「強引な勧誘」である。

これだけを見ると自分は絶対に騙されないと思うだろう。しかし、当事者になってみると実際はわからないものである。

「自分は絶対に騙されない」「引っかからない」と切り捨てずに、詐欺に合うリスクや対策について、今一度、考えてみて欲しい。

詐欺師達は巧妙に法律の抜け穴をかいくぐって騙してくる場合もあり、被害を受けたとしても返金を求めることが非常に難しく、膨大な手間がかかるケースも少なくない。

では、詐欺にあわないためにはどうすればいいのか。

住所や電話番号などの連絡先がきちんと明記されているか、電話番号は固定電話か、アドレスは独自ドメインかなど、連絡先をしっかりとチェックすることが大切である。

また、代表者や担当者の名前は必ず控えておいてほしい。そして、万が一詐欺被害にあってしまった場合、国土交通省は「免許行政庁」に相談することを推奨している。

現在はセミナーやSNSなど、業界で成功している人とも簡単に繋がれる時代であるからこそ、これを生かさない手はない。また、悪質な不動産投資詐欺の手口や被害事例を知っておくことも非常に重要なことである。

自分の身は自分で守る。確実に言えるのは、不動産投資でもその他の投資でも、事前にしっかりと学ぶことで詐欺の被害にあうリスクは軽減できるということだ。

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この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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