物件を上手に運営するための管理会社選びとは

2026年03月22日5

不動産投資には、物件を購入して終わりという発想は通用しない。

物件を管理し、賃借人を募集し、入居者対応を行い、収益を安定させていくという、れっきとした事業経営の側面があるからだ。

当然ながら、経営である以上は費用対効果を考えなければならない。無駄なコストを抑えながら、いかに収益を最大化するかを常に意識する必要がある。

その中で、管理会社をうまく活用できるかどうかは、物件運営の成否を大きく左右する。

管理会社選びを間違えれば、空室が埋まらず、クレーム対応も不十分になり、オーナー自身の手間も増える。

逆に、適切な管理会社を選べば、投資家は半自動的に家賃収入を得ることが可能になり、次の物件への着手が容易になる。

管理会社の業務とは何なのか?

管理会社の業務は、大きく分けるとビルマネジメント(建物管理、通称BM)とプロパティマネジメント(賃貸管理、通称PM)の二つに分けられる。

ビルマネジメントとは、建物や設備の維持、保守、点検、清掃など、物件そのものを物的に管理する業務を指す。

一方、プロパティマネジメントとは、家賃の回収、入居者募集、契約更新、クレーム対応など、賃借人に関する管理業務を指す。

どちらも軽視できるものではない。

しかし、受け取る家賃を最大化し、安定した満室経営を目指すのであれば、特に重要になるのはプロパティマネジメント(PM)である。

いくら建物の維持管理がしっかりしていても、入居者募集が弱く、空室が埋まらなければ収益は上がらない。

また、クレーム対応や契約管理が雑であれば、退去率が上がり、結局は経営を悪化させることになる。

なお、管理会社によってはビルマネジメントとプロパティマネジメントの両方を行っているところもあれば、どちらか一方だけを担っているところもある。

30戸程度までの小規模~中規模の物件管理であれば、ほとんどのBM・PMの場合両方を扱っている管理会社に依頼する形だと考えて間違いない。

管理会社は自社で賃借人募集まで行う会社と、建物管理に専念し、賃借人募集は外部に委託する会社に大きく分けることができる。

前者は、広いエリアに路面店を持ち、自社で客付けまで行う、いわゆる総合不動産会社である。

エイブルやアパマンショップのような会社が典型例だろう。

後者は、自社では建物管理やオーナー対応に徹し、客付けは周辺業者や仲介会社に任せる形である。

一般論としては、地方では前者のような総合型が多く、都市部では後者のように分業されているケースが多い印象がある。

管理会社を選ぶポイント

管理会社は数が非常に多く、大手から中小まで含めると玉石混交である。

そのため、何となくで選ぶのではなく、いくつかの視点から見極める必要がある。

例えば、中古物件を購入した場合、すでに空室率が低く、運営状況が良好であるなら、前オーナーが利用していた管理会社をそのまま継続するのは有力な選択肢となる。

既に結果が出ている以上、わざわざ管理体制を変える必要は薄いからだ。

一方で、空室率が高い物件については、その理由を事前にしっかり分析しなければならない。そして、その原因が管理会社にあるのかどうかを見極める必要がある。

例えば、前オーナーに資金余力がなく、リフォームや原状回復、設備修繕が不十分だったために空室率が高かったのであれば、問題の本質は管理会社ではなくオーナー側にある。

その場合は、自分が購入後に修繕や改善を行えばよいので、以前の管理会社をそのまま使い続けるという判断もあり得る。

しかし、空室率が高い理由が不明であったり、管理会社の運営体制や対応品質に疑問がある場合は、購入のタイミングで管理会社を変更してしまった方がよい。

もちろん、購入後に管理会社を変更することもできる。

しかし、旧管理会社からすれば管理受託を失うことになるため、感情的なしこりが生じやすい。

その結果、引継ぎや入居者募集に関して非協力的な対応をされる可能性もある。

その意味では、管理会社を替えるのであれば、購入と同時に切り替えた方がリスクは小さい。

最初から新体制でスタートした方が、賃貸募集や運営方針も整理しやすいからだ。

また、新たに管理会社を選ぶ際には、周辺の不動産会社へのヒアリングを通じて、対応が良かった会社や印象の良かった会社の関連会社を候補に入れてみるのも有効である。

現場で信頼できると感じた会社は、管理面でも一定の期待が持てることが多い。

賃借人募集の能力があるか

管理会社を選ぶ際に最も重要なポイントは、入居者募集の能力である。

どれだけ建物管理がしっかりしていても、空室が埋まらなければ意味がない。

したがって、その会社にどれだけ客付け力があるかは必ず見なければならない。

具体的には、店舗の立地や集客状況、ウェブサイトの見やすさ、物件掲載の質、写真の見せ方、募集条件の打ち出し方などを確認するとよい。

自社で仲介店舗を持っている会社であれば、その店舗が実際にどれだけ集客できているかも重要である。

一方で、賃借人募集を他社に委託している管理会社であれば、自社にどれだけ募集力があるかではなく、どのような仲介ネットワークを持っているか、周辺業者からどう見られているかを確認する必要がある。

評判をリサーチし、実際に周辺業者へヒアリングしてみるとよい。

「あの管理会社の物件は決めやすい」「条件交渉に柔軟」「対応が早い」と言われる会社は、客付けの現場でも強いことが多い。

管理能力があるか

次に見るべきなのは、入居者対応やトラブル処理の能力である。

具体的には、

  • 家賃滞納への対応

  • 設備故障に関するクレーム対応

  • 騒音トラブルへの対応

  • 近隣苦情への対応

などが挙げられる。

これらの対応が雑な管理会社は、物件価値を着実に毀損していく。

入居者満足度が下がり、更新率が落ち、退去が増え、結果として空室率も上がっていくからだ。

特に注意したいのが、入居者同士のトラブルに発展しやすい騒音クレームである。

こうしたケースでは、管理会社の対応の仕方一つで問題が拡大することがある。

例えば、隣室の騒音へのクレームが入った際に、騒音を出している入居者に対して、誰が苦情を言ったか分かるような伝え方をしてしまえば、入居者同士が直接対立する事態になりかねない。そうなると、最悪の場合、どちらか一方、あるいは両方の入居者が退去してしまう可能性すらある。

そのため、担当者に対して「こういうケースではどのように対応しているのか」と具体的に聞いてみるのは有効である。

抽象論ではなく、実務対応の中身を見ることが大切だ。

管理会社自体の経営状況や財務体質は健全か

意外と見落とされがちだが、管理会社そのものの経営状況や財務体質も必ず確認しておくべきだ。

なぜなら、多くの場合、入居者から支払われた家賃は一度管理会社の口座に入り、そこからオーナーへ送金される流れになるからである。

つまり、管理会社の資金繰りが悪ければ、本来オーナーに送金されるべき家賃が滞るリスクがある。

極端な話、管理会社の経営状態が悪化していると、預かった家賃が運転資金に流用されるような危険すらあり得る。

当然ながら、こうした事態は絶対に避けなければならない。

帝国データバンクや東京商工リサーチなどの調査会社のレポートを確認することが出来るとなおよいだろう。

こうした信用調査会社は、直接の取引先が法人に限られるケースも多いが、個人でも比較的低額で要約版の企業情報を取得できるサービスは存在する。そうした簡易レポートでも、資本金、売上規模、財務状況、信用評価、支払状況などの概要を把握するには十分役立つ。

ただし、これらの情報から得られることの限界は存在するので、出来れば同じような状況の投資家・大家さんから良い管理会社を紹介してもらうのが一番だろう。

他の大家さんが良い管理会社として認識している会社に任せれば、間違いなく自分の物件の管理も高確率で上手くいくことになる。

管理会社選びで失敗しないために

管理会社選びで重要なのは、単に知名度や管理手数料の安さだけで決めないことだ。

本当に見るべきなのは、

  • 空室を埋める力があるか

  • 入居者対応を適切に行えるか

  • 建物と収益の両方を守れるか

  • 経営基盤が安定しているか

である。

管理会社は、単なる外注先ではない。

物件運営における重要なパートナーであり、その質によって収益性は大きく変わる。

特に不動産投資では、購入時の価格や利回りばかりに目が行きがちだが、実際には買った後の運営で勝負が決まる部分が大きい。

そして、その運営を左右する最重要要素の一つが管理会社である。

管理会社をうまく選べば、オーナーの負担を軽減しながら、収益を安定させることができる。

逆に、選定を誤れば、空室、トラブル、送金遅延など、様々な問題を抱え込むことになる。

だからこそ、管理会社選びは「とりあえず」で済ませてはいけない。

物件経営を成功させるための土台として、慎重に見極めるべきなのである。

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