アパート経営でプロパンガスを選ぶべき理由

2020年12月18日9,274

プロパンガスとは液化石油ガスのことで、LPガスとも呼ばれることがある。

ガスは物件により都市ガスか、またはプロパンガスが供給されている場合が多く、割合は半々ぐらいだと言われている。

オール電化でガスコンロがない物件はいずれの供給もない。

都市ガスは東京ガス・大阪ガスなどの会社が供給するが、プロパンガスは全国に数万軒あるプロパンガス会社がガスを直接物件までガスを持って行って供給する。

一般的に都市ガスよりも高いと考える人が多く、設備としての人気はない場合が多い。

しかし、プロパンガスはガス会社により料金設定が異なるので、一概にプロパンガスの方が都市ガスより高いとは言えない。

プロパンガスの方が火力が強いというメリットはあるが、あえて都市ガスよりもプロパンガスの方が好きだと言う人は居ないだろう。

プロパン=高いというイメージは根強いので、都市ガスの物件じゃないと嫌だと考える人は多く存在する。

しかしながら、不動産投資をする上でプロパンガスを上手く活用できるかどうかは、収益を大きく左右するぐらい重要なのだ。

プロパンガスがアパート経営で重要な理由

プロパンガス会社は、過当競争にさらされている上に、商品の特性上差別化が難しい。

そのような状況なので、乗り換えることを前提に話を進めれば、プロパンガス会社は色々な付帯設備を物件に付けてくれることが多い。

多いのが、給湯器の交換、エアコンの交換、キッチンのリフォーム、追い炊き機能の追加などだ。

プロパンガス会社は、これらの設備を無償で提供してくれる。それどころか、切り替え時に販売奨励金を付けてくれる会社も存在するのだ。

では、どのようにしてプロパンガス会社を切り替えるのかの、手順を説明しよう。

まず、プロパンガスを供給している物件について、切り替えることを検討している旨を周辺のプロパンガス会社に伝える。

プロパンガス会社は、Googleなどの検索エンジンで「○○市 プロパンガス」と入れると出て来くので調べてみてほしい。

多くの会社は、設備会社、リフォーム会社などと兼業でプロパンガスの事業を行っており、中小・零細企業が多いだろう。

ホームページなどはないケースも多く、その場合は直接電話するか郵送で対応する。

プロパンガス会社に切り替えの検討依頼をする際の依頼書だが、私が利用したもののサンプルを掲載しよう。

プロパンガス見積もり依頼書サンプル(Microsoft WORD)

私はこのフォーマットを25社以上に郵送で送り、

・給湯器の故障時無償交換(20万円/戸相当)

・エアコンの全室無償交換(80万円相当)

・販売奨励金(5万円/戸)

を得たことがある。

給湯器は一度壊れると20万円程度の出費になるし、10年程度で壊れることが多い設備だ。

エアコンも物件購入時は古いままのことも多く、これを買えてもらうだけでも相当出費は抑えられるだろう。

上記の例は、設備以外に現金100万円程度を販売奨励金として得られたので、かなり上手くいったケースだ。

プロパンガス会社を切り替える場合の注意点

プロパンガス会社は多額の初期投資を行い、後から得るガス料金でそれを回収する。

プロパンガス会社切り替え時に我々が気を付けるべきなのは、プロパンガス切り替え時は10年や15年の長期契約を結ぶ必要があるという点だ。

途中解約時には、設備相当額を一時費用として支払う契約になっているのだ。

プロパンガスを切り替えた物件を売却する際は、この解約違約金を払わないようにするために、プロパンガスの契約を引き継ぐことを契約条件に入れておく必要がある。

良い条件を提示するプロパンガス会社が見つかった場合、ガス料金を現行と変わらない水準にすることを条件にすれば、プロパンガス会社切り替えによる入居者へのデメリットは一切なくなる。

しかし地域によっては、切り替えることを積極的に行う会社がない場合や、プロパンガス供給の大元の会社がありそこからの切り替えは出来ないと言われるケースもある。

その場合は、探す会社の範囲を広げるなどの対応を行おう。

上記では、l既存のプロパンガス会社から別のプロパンガス会社にを変更することを例に挙げたが、都市ガスからプロパンガスに切り替えることも可能だ。

ただしこの場合は、料金請求の仕組み自体が変わってしまう。

先述の通り、プロパンガスは一般的には都市ガスよりも高いと思われているため、現入居者への丁寧な説明が求められるだろう。

また、プロパンガスのボンベを設置する場所も、敷地内に新たに設ける必要がある。

何故、プロパンガス会社がここまで協力的なのかというと、このビジネスは非常に楽で安定的な収益が見込めるからだ。

基本的にはガスをただ供給するだけでいいので、ガスがボンベからなくなっていないことの確認と、集金だけをやればいい。

ガスは保存可能なので劣化することもない。

一度契約してしまえば、急に解約されたり需要が落ち込むことはない。プロパンガス事業は、収入の目途が立ちやすく赤字になることが少ないのだ。

我々投資家は、このような環境を大いに利用するべきだ。

安価なプロパンガスを、適切な設備とともに提供してくれるプロパンガス会社と協力関係を結べれば、賃貸経営は間違いなく楽になるだろう。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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