優良物件だけ紹介してくれる不動産会社は存在するのか?

2020年12月17日822

結論から言うと、優良な物件だけを扱っている不動産会社というものは存在しない。

確かに、営業マンの目利きができていて優良物件の情報を頻繁に出してくれる不動産会社もなくはない。

しかし、過去に良い物件を提案してくれた不動産会社が次に提案してくるものが優良物件だとは限らない。

出回っている売れ残り物件ばかりを紹介する不動産会社から良い物件の提案がたまに出てきたりすることもなくはない。

 提案された物件情報はあくまでその物件ありきで考え、特定の不動産会社だから安心だと考えるのではなく、そのつど良いかどうかを客観的に判断することが重要である。

どの不動産会社から買うかは重要ではない

「A社から提案される物件は間違いなく良い物件だ」「この物件はB社からの提案なのでイマイチだろう」という先入観を持ってしまうと、良い物件を買い逃してしまったり、逆に買うべきでない物件を買ってしまったりする。

同じ理由で、自社で買い取って再販を行う不動産会社から購入する場合についても慎重になるべきである。

割安で物件を仕入れ、自社で一旦買い取ってから再販する販売会社の多くは、外壁リフォーム済み・空室家賃保証付・融資付・仲介手数料なしという条件で融資銀行と組んで物件を提案してくる。

面倒くさいことをすべて不動産会社が実施済みの状態にしてくれており、その銀行の融資基準と購入者の個人属性がマッチしていれば、一番つまずきやすい銀行融資のプロセスをクリアでる。

このような取り組みをしているのは、収益物件を取り扱っている不動産会社の中でも比較的大手が多く、このような大手の会社が自社で再販してくれた物件なら安心だと考える人もいる。

しかし、この考えは危険である。

「融資が付いているから大丈夫だろう」「大手の会社が自社で販売しているから安心だ」という思考でいると、本来は物件の良し悪しを客観的に判断しなくてはならないにもかかわらず、見誤ってしまうことがある。

そもそも、不動産会社は物件の仲介もしくは販売ができれば、その時点で手数料が入ってくる。物件を購入した後から勝負が始まる投資家とは、利害が完全に一致しているわけではないのである。

もちろん職業倫理は人それぞれ違うので、投資家の利益になる物件しか扱わないという投資家寄りの考えを堅持する営業マンも少数ながら存在する。

一方、投資家に物件を買ってもらうまでが仕事で、購入後のことは関知しないと考えている人たちが不動産業界内では大勢を占めている。

 物件を購入した後は、投資家自身が責任を持って物件を運営して収益を上げなくてはならない。

優良物件ばかりを紹介してくれる不動産会社などは存在しないと考え、多数の不動産会社と広くつき合う一方、物件の良し悪しは責任を持って自分で判断する必要がある。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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