優良物件は不動産サイトに掲載されることがあるのか

2020年12月17日1,071

インターネット上には不動産会社が売り物件の広告を登録する不動産サイトがいくつもある。有名なのは、健美家、楽待、ａｔｈｏｍｅ、ＨＯＭＥ‘ｓ、不動産連合隊などである。

これら以外にも、野村不動産アーバンネットが運営するノムコムや住友不動産販売が運営するステップなど、大手不動産販売会社が運営するサイトにも物件情報が多数掲載されている。

優良物件が不動産サイトに掲載されることもある

インターネット上の不動産サイトからは、手軽に収益物件の売り情報を得られる反面、誰でもアクセスできるのであまり良い物件情報がないとも言われている。

お宝物件は、ネットには載っていない非公開情報の中にしかないという話を聞いたこともあるかもしれない。

実態がどうなっているのかと言うと、どうしても売れない物件だけをしょうがなくインターネットに載せているという単純な話だけではないケースも多くある。

優良物件の情報がネットに掲載されることも少なからずあるのだ。

そもそも、なぜインターネットに載せる物件と載せない物件があるのかについて説明しよう。

インターネット上の不動産サイトに載せるとそれだけ多くの人に見られる可能性が高くなるため、反響が大きくなる。

少しでも高く売りたいと考える売主にとっては、うってつけのように思えるが、あえてインターネットに載せていない物件も多数ある。

これらのネット未掲載の物件は、不動産会社から直接提案を受けないと情報を得ることがでない。

物件を売る役目を担う仲介会社からすると、インターネットに広告として各サイトに掲載させる作業自体はそれほど難しくはない。

しかし、物件によってはその後かなりの数の問い合わせが来ることがある。

問い合わせをした購入希望者と不動産会社は、インターネット経由で初めてやり取りをすることになるので、本当に買う気があるのか、資金調達の目途がついているのかがよくわからないことも多い。

そのような人たちからも多数の買付申込書が送られてくる場合がある。

物件をインターネットに載せたとたんに、業務がその物件にかかりきりになってしまうこともあり、仲介会社によってはそのような状況になることを嫌がることがある。

また、仲介会社にとって最も避けたいのが、不動産サイト経由で資料を取り寄せ、物件の住所から登記簿を取得して売主に直接連絡をする不動産会社の存在である。

いわゆる「飛ばし」と言われる行為で、これにより売主が仲介会社を変更してしまったりすると、もともといた仲介会社は売却に向けていろいろ動いたにもかかわらず手数料が一切入って来なくなってしまう。

では、インターネットには良い物件情報がまったくないかというと、そんなことはない。

確かに仲介会社が自社顧客には売れないという理由でインターネットに掲載するケースも多くあるが、抱える顧客数は不動産会社によってまちまちである。

多数の顧客を抱えている不動産会社が存在する一方、不動産の管理や賃貸のみをやっていて収益物件をほしがる顧客をまったく抱えていない会社が、顧客や知り合いなどから売り物件を預かることはよくあることだからである。

その場合、物件の売り出し価格が相場より安かろうと高かろうと、いきなりインターネットに掲載してしまう場合もある。

インターネットで極端に割安な物件として掲載されると、場合によっては１０本以上も買付申し込みがその日のうちに不動産会社に入る。

そういう物件は激戦となるので、先着順ではなく融資などの資金調達のめどがついた人から順に交渉権を得るというやり方を取る場合多くなる。

金額によっては現金で買う人も出てくる上に、不動産会社もインターネットで物件を探している。

そのような人たちを出し抜いて契約までたどり着くのは難しいケースが多いのも事実である。

ではどうすれば良い物件を買えるかというと、インターネットで売りに出されている普通の値段の物件を、値引き交渉（指値）をして良い物件に仕立て上げる作戦が有効な場合がある。

長い間売れ残っている物件は、売主もその価格で売ることを諦めていることもあるので、タイミングによっては大幅な値引きを引き出せる場合もある。

インターネットには優良物件の割合が少ないのは事実だが、自分で不動産会社を回るよりも格段に多くの情報を得ることができる。

良い物件を買いたいのであれば、インターネットを活用しながら、不動産会社へのアクセスを併用して地道に物件を探すのが良いだろう。

不動産投資ユニバーシティ代表志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社（宅地建物取引業者東京都知事(2)第98838号）を経営。 詳細プロフィール