不動産購入で指値が成立する仕組み

2020年12月17日4,108

「指値」は株式投資でも使われる言葉で、「客が購入価格を指定すること」を意味する用語だ。

指値は本来であれば

「安い値段を指定すること」

を意味する言葉ではない。しかし不動産業界では、値下げ交渉の意味合いで使われることがほとんどだ。

不動産取引では売主が販売価格を決めているケースがほとんどだ。

そのため、必然的に「販売価格より安い金額を指定する」行為を「指値をする」と同義の用語として、不動産業界では使われているのだ。

代表的な指値の方法は4つある

不動産取引は、売主と買主が1対1で売買価格を取り決める「相対取引(あいたいとりひき)」なので、2者で価格合意すればその金額で取引が成立する。

市場取引ではないので、価格が相場よりとんでもなく高かろうが安かろうが、売主と買主が合意すればその価格で売買されるのだ。

とは言え、最初から安い値段の物件は少ないので、指値をすることになる。

販売価格も明確な根拠があるわけではない場合が多いが、指値をするには一応売主に根拠となる理由を説明する必要がある。

単に安く買いたい場合でも、もっともらしい理由を付けるのだ。

指値の代表的な方法は以下の4つだ。

1.物件の悪いところを指摘する

2.修繕費用分を安くしてもらう

3.銀行融資を根拠にする

4.自分が買える金額を根拠にする

上記はどれか一つのみを指値の根拠にするよりも組み合わせた方が効果的だ。

融資金額が売値の8割しか降りないことと、修繕費用が掛かることを合わせて伝えるなど、理由付けを複合的にすることにより指値が通る可能性が高まる場合がある。

また、その価格で必ず購入出来る(融資先が内定している)ことのアピールや、物件を末永くキレイな状態で保有する意思があることを買付証明書に記載するなども、物件に愛着がある大家には響く可能性がある。

ここら辺は、仲介会社と相談しながら対応するのが良いだろう。

指値を通すためには売主の状況を知ることが重要

指値を成立させるためには、売主の状況をしっかりと事前に確認し適切なポイントを突く必要がある。

人や企業が不動産の売却活動をしようとしているのであれば、それをやらなくてはならない内々の事情や思惑が必ずあるはずだ。

売りたいまたは売らなくてはならない何らかの事情が、売主側には必ずあるのだ。

良くある売却理由を以下に挙げよう。

1.相続税を払うために売らなくてはならない

2.物件の稼働率が悪いから収益を生まない

3.本業でまとまった資金が必要

4.安く購入したので売却すれば利益が出る

5.大家が高齢で物件の管理に疲れてしまった

我々不動産投資家にとって、一番重要なのは物件を安く買うことだ。これについて異議を唱える人は少ないだろう。

逆に、安く買えればそれ以外の大体のことは譲歩できる。

決済時期の調整、瑕疵担保免責、手付金の割り増し、現状有姿売買などは譲歩可能だ。

価格面以外のメリットを売主に提示出来れば、指値の可能性はグッと上がる。

一から十まで完璧で安い中古物件などは存在しない。このくらいの譲歩は安く物件を購入するためには必要なことだ。

相続や本業の資金調達などが理由で価格面よりもスピードを重視する売主であれば、交渉もしやすくなる。

相続の場合はより高く売れた方が相続人はうれしいのでは?と思うかもしれない。

基本的にはその通りだが、それは複数いる相続人の仲が問題ない場合だ。

良くあるのが、相続人である兄弟の仲が悪く、お金の話し合いを長引かせるのが嫌だと全員が考えているケースだ。

顔も見たくないので、さっさと売ってしまって縁を切りたいという状態の人たちは、意外と多く存在する。

こういう情報がキャッチ出来れば、例え当初の販売価格が高くてもスピード決済を理由に大幅な指値が出来る可能性がある。

売却理由の確認方法

では、どのように売主の状況を確認するのかと言うと、自分(買主側)の仲介会社経由で依頼するしか基本的には方法がない。

もし、仲介会社が売主と買主で同じ会社となっている「両手売買」であれば、仲介会社の担当者に聞けば詳しく教えてくれるだろう。

売主側の仲介会社が別に存在する場合も多いと思うが、そのケースにおいても自分側の仲介会社経由で聞くしか手はない。

普通に売却理由を聞いても「資産の組換えです」という、良く意味がわからない回答しか返ってこないケースも多い。

何故この物件の売却理由が知りたいのか、自分が本当にこの物件を買う意志があるのかなどをしっかり説明し、仲介会社の担当者に動いてもらう必要がある。

ここは仲介会社の担当者の腕に掛かっているが、担当者が頼りなさそうな場合は、どのような質問をするのかを細かく確認しながら、自分が主体的に動いて進める必要がある。

最初から安い販売金額になっている物件というのはかなり稀だ。

あったとしても、情報が出た段階で買い付けが殺到してしまうで、その中を出し抜いて融資特約ありで買うのは非常に難しい場合が多い。

そういう物件情報が仮に出たとしても、我々に降りてこない風上の段階で、転売する目的で不動産会社が買ってしまうケースがほとんどだ。

もしくは、不動産会社自身が中間省略売買を使い、登記せずに第三者に相場価格で売ってしまうかもしれない。

自社で購入しない場合も、まずは上顧客に情報を流すことになるだろう。

こればかりはどうしようもないのだが、安い物件が出るのを待っているだけでは、我々のような普通の人は永遠に割安な物件を買えなくなってしまう。

このような競争が激しい物件を探すのではなく、市中に出回っている既存物件を丁寧に指値することが、割安に物件を買うためには必要なのだ。

そうとは言え、いくら指値の根拠を示したところで希望通りの価格が通るのは20回に1回よりも少ないかもしれない。

しかしながら、一旦指値が通れば、その価格で売主が承知することを知っているのは自分だけになる。

あとから、売主側の仲介会社が割り込んでくるようなマナー違反は、さすがに稀だ。

いい物件を購入するためには、上手く指値をする技術の習得は避けて通れないのだ。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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