レントロールとは?絶対にチェックすべき7つのポイント(サンプルあり)

2020年12月16日32,012

「レントロール」とは家賃表のことで、不動産投資に欠かせない資料だ。その物件の部屋ごとに、いくらで入居者がついているかがわかる。レントロールは収益物件の重要な判断資料でありながら、偽りの家賃などが書かれていることも多い。

今回は、ウソの情報に騙され失敗しないために、レントロールの見方とチェックすべき重要なポイントを紹介する。

レントロールとは? 家賃表の意味と重要性

レントロールのサンプル(見本)

レントロールとは、収益物件の賃貸状況が一覧でわかる家賃表である。レントロールをみれば、部屋やテナントごとに、家賃や共益費、敷金、契約日、契約期間、賃借人の属性など、今現在どの部屋にいくらで賃借人が入居しているかが一目でわかる。

レントロールは、不動産仲介会社から物件概要書と同じタイミングでもらうことができる。不動産投資家が収益物件の良し悪しを判断するにあたり、最初に必要になるとても大事な資料だ。

そんな重要な資料でありながら、家賃を改ざんしたような信ぴょう性のないレントロールがでまわっていることがよくある。むしろ、まともなレントロールをみかけるほうが少ないくらいだ。

なぜ、いい加減なレントロールが多いのか。そこには、売主が物件を高く売ろうとする策略がはたらいている。

売主は物件をより高値で手放すために、物件を少しでも良くみせようと工夫をこらすわけだが、買主側はそれに騙されてはいけない。

レントロール上の家賃を高く記載すれば、当然物件の利回りも高くなる。しかし、実際にはフリーレントを半年ほどつけて無理やり高い家賃をとっているというケースもあるのだ。

こういったレントロールの見極めができないと、まんまとカモにされ失敗物件をつかむことになってしまう。

仲介会社から渡されたレントロールの情報を鵜呑みにせず、レントロールの見方をしっかりおさえ、本当の満室時の収入をどのように確認するのか知ることがとても重要なのだ。

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レントロールでチェックすべき重要ポイント7つ

では、レントロールで必ずチェックするべき7つのポイントをみていこう。これにそって確認を行うだけで、利益のでない失敗物件を手にする確率はぐっと減るだろう。

1.空室募集家賃は適正か

レントロールのサンプル画像

まずはじめに、現在空室になっている部屋の募集家賃を確認しよう。物件の満室時利回りを良くみせるために、やや高めに募集家賃が記載されているレントロールも多い。

上のサンプル画像でも、空室になっている303号室は、同じ階・同じ間取りの302号室よりも想定賃料が高く設定されている。

このような空室募集家賃が適正なのかは、賃貸物件の検索サイト(SUUMOなど)で、同じ地域や構造、築年数、広さの物件を探し、近隣エリアの家賃相場を確認すれば調べることができる。

物件を購入する前には、周辺の不動産仲介会社にヒアリングを行い、適正家賃を確認する作業を必ず行ったほうがよい。

空室の多い物件は空室の家賃を特に注意して調べないと、レントロール上の家賃から算出する利回りと実際の利回りが大きく変わってくることもある。

空室の賃料が適正家賃かどうかはレントロールを確認する上で「最も重要なポイント」なので注意して見よう。

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2.家賃にバラつきがあるか

レントロールのサンプル画像

レントロールでつぎにみるべきポイントは、家賃のバラつきだ。家賃のバラつきはできるだけ少ないほうがいい。

入居者の家賃は、契約開始時期によって異なることが多い。新築当初から入居している人は家賃が高く、築年数がたち物件が古くなってから入居した人は家賃が低い傾向にある。

新築時から入居している高い家賃の人がいつ退去するかはわからないため、そこは現在の募集家賃で収支を想定し直したほうがよい。長いこと住んでいるから、そうそう引っ越さないだろうという楽観視は禁物だ。

もし、レントロールに各部屋の契約開始時期の情報が記載されていなければ(上のサンプルのように契約開始時期が明記されていないものも多い)、不動産会社に連絡し、入居者の家賃と契約開始時期の対応を確認する必要がある。

想定家賃は、楽観・中立・悲観の3パターンを作って収支計算するのがオススメだ。悲観パターンではすべての部屋が地域最安値になった場合の収支を想定する。悲観パターンになった場合でも、収支が成り立つか確認しよう。

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3.預かり敷金があるか

レントロールのサンプル画像

各部屋の預かり敷金も確認しよう。基本的に、敷金はすべての部屋からとれているのがベストだ。

預かり敷金があるということが、賃貸需要が安定していることの証になる。どの部屋からも敷金を預かっていない場合は、敷金をゼロにしないとうまらない物件ということだ。

また、物件の決済時に敷金を継承するかどうかの扱いは、大阪方式と東京方式で異なる。敷金を継承しないのが大阪方式で、敷金を買主が継承するのが東京方式だ。

当然、敷金を継承できたほうが当面使える資金が増えるため買主としてはありがたい。

敷金を継承しない大阪方式で、敷金(関西では保証金)が500万円など高額な場合、物件購入価格に500万円をプラスして収支を考える必要がある。

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4.入居者はどんな属性か

レントロールのサンプル画像

レントロールでは、入居者の属性が確認できることも多い。

まず、入居者が同一法人による一括借り上げなどではないことを確認しよう。社員寮として利用しているなどの理由で物件が一括借り上げされている場合は、退去時に空室が一気に発生し、家賃収入がゼロになるリスクがある。

入手したレントロールに、入居者の勤務先などの属性が記載されていない場合でも、契約前には必ず確認をとろう。

また、売主の同族者に部屋を安く貸していないかなども確認しておこう。売主が特別安く貸している場合は、オーナーが変わるタイミングで家賃を上げることができるかもしれない。

5.水道、電気、ガスの料金は入居者負担か

レントロールのサンプル画像

家賃や共益費に水道、電気、ガスなどの料金が含まれていないかも確認しよう。

廊下や屋外など共益スペース以外の各部屋の水道・光熱費は、入居者が直接水道局・電力会社・ガス会社に料金を支払うことが一般的だ。しかし、一部の物件では大家が家賃に含めて一括徴収し、まとめて支払っていることがある。

なかでも、水道料金は、個別メーターで水道会社が直接入居者に請求するケースと、一括メーターでオーナーに請求するケースがある。

個別メーターがない場合は、一括メーターで計測して水道局からオーナーに請求がくる。その場合は、毎月定額にすることも可能だ。単身用であれば、水道代として月額2,000円くらいを入居者から徴収すれば足りるだろう。

一括メーターにもかかわらず入居者から水道代をもらっていない場合は、その分大家の負担が多くなるので家賃から割り引いて収支計算を行う必要がある。

同様に、電気代やガス代も家賃に含まれていないかを念のため確認しておこう。

6.店舗・テナント部分の家賃は適正か

購入予定物件に、テナントや事務所が入っている場合、どうしてもその部分の家賃比率が高くなってしまう。レントロールに記載されている店舗やテナント部分の家賃が適正水準なのかの確認は必ず必要だ。

とくに、店舗比率が物件の20%を超えている場合や店舗があいている場合、かなり慎重に判断しないと危険である。

一般的な傾向として、地方で駅から離れている物件の1Fや2Fなどに入っているテナントがあいている物件は、今後もうまる可能性が低い。テナント部分に入居がつくかどうかのヒアリングを、周辺の不動産会社に必ず行おう。

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7.その他の収入はあるか

レントロールのサンプル画像

レントロールに記載されている家賃収入以外に、携帯基地局や自動販売機、看板広告などの副収入がないかどうかを確認しよう。

購入予定物件に携帯基地局が入っていることにより、どうにか合格ラインの利回りになっている場合は、携帯会社との契約期間などを確認する必要がある。

携帯基地局は、基本的に短期間で解約されることは少ないといわれているが、基地局の必要性が今後10年、20年続くかどうかはわからない。携帯基地局としての収入は、収益から多少割り引いて収益計算をし直したほうがよいだろう。

また、自動販売機を設置している場合、毎月4,000円程度売り上げていないと、電気代と相殺して赤字になる。

そういった細かな点も確認をしておいたほうがよいだろう。

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レントロールに書かれていない“隠れた支出”

レントロールは物件の収益性を把握するために重要だが、そこには記載されていない隠れた支出が存在する。レントロールだけではわからない支出の代表的な例を紹介しよう。

外部駐車場(月数万円~)

レントロールではわからない支出として、とくに影響が大きいのが外部駐車場だ。

物件の敷地内に十分な数の駐車場がない場合、近くの土地をオーナーが一括で借り上げて入居者に貸していることがよくある。この費用は立地や駐車場台数によって変わる。

外部に数十台分の駐車場を借りていて、月に10万円以上の費用がかかっていることもめずらしくない。この場合、収支計算に大きな影響をおよぼすため注意が必要だ。

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ケーブルテレビ(月数千円〜数万円)

地域によっては、ケーブルテレビに加入しないと地上波のテレビがみられないエリアが存在する。

そのようなエリアでは、解約することが実質的に困難なため、ケーブルテレビの導入がある場合は、費用が大家負担なのか入居者負担なのか確認しておこう。

インターネット(月数万円)

入居者に無料インターネット使い放題として、家賃に込みでインターネットを提供している物件もある。

ケーブルテレビ同様、一度設備として入れてしまったものをなくすと、入居者の満足度がかなり落ちることになるため安易に廃止したりすることができない。

無料インターネットの提供がある物件では、家賃収入から毎月数万円をインターネットのプロバイダに支払っても収支があうか確認しておこう。

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受水槽の清掃費用(年間7~10万円)

物件によっては、受水槽や貯水槽が設置されていることがある。それらは、年間〜10万円程度の清掃費用が発生する。

また、劣化によって亀裂などが発生した場合には、修理費用や取り替え費用がかかることも念頭においておこう。

レントロールの雛形(ダウンロード可)

レントロールは、基本的に物件購入時の判断材料として不動産会社からとりよせることが多い。しかし、不動産投資を行なっているとレントロールを自分で作成しなければならない場面というのがある。

たとえば、すでにもっている物件の賃貸状況を銀行などの金融機関に提出する時や、もっている物件を売却する時などだ。

ゼロからレントロールの型を作るのは少々手間がかかるため、ぜひレントロールの雛形を活用してほしい。

レントロールの雛形(Microsoft EXCEL)

※クリック後のレントロール請求フォームからダウンロード可能

レントロールとあわせてチェックすべき「物件概要書」

物件の良し悪しを判断するのに大切なレントロールだが、物件収益性などをくわしく把握するためにはレントロールだけでは不十分だ。

レントロールとあわせてチェックすべきなのが、不動産会社からレントロールをもらう時に一緒にとりよせることができる「物件概要書」である。

物件概要書には、所在地、価格、利回り、築年、構造、面積、都市計画、用途地域、容積率、建ぺい率、道路付けなどさまざまな情報が記載されている。

そのなかでまずみるべき項目が、所在地、価格、利回り、築年、構造の5である。 物件概要書を数百件以上みているようなプロの不動産投資になると、この5項目を確認した段階で、どれくらいの収益性がある物件なのかがわかるようになる。

物件概要書のくわしい見方や優良物件の見極め方は「物件概要書から見極める! 優良物件かどうかの選別ポイント」を参考にしてほしい。

物件を良くみせようとする偽レントロールに要注意!

不動産投資家にとって物件の良し悪しを見抜く重要な資料であるレントロール。市場には家賃を改ざんしたようないい加減なレントロールも多くでまわっている。

不動産投資の失敗の90%以上は空室が埋まらないことが原因で発生しているが、レントロールの空室家賃が適正からかけ離れていたり、入居中の家賃が高すぎるのを見抜けなかったのがその発端となる。

レントロールは物件の収支を端的に数値で表している資料なので、それがウソだと収支全体が誤った計算のもとされることになるからだ。

ウソのレントロールに騙され失敗物件を購入しないために、レントロールをチェックする際の見方と重要なポイントを知り、真偽を見抜く目を養おう。

不動産投資ユニバーシティでは、レントロールだけでなく、優良物件を見極める基礎知識が学べる「無料メール講座」を配信している。30日間無料で届くメールマガジンをしっかり読み込むだけで、不動産投資で成功するためのノウハウを身につけることができる。ぜひ、登録してみてほしい。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
詳細プロフィール

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