収益物件の概要資料・レントロールの目利き8(岐阜RC物件)

2020年12月17日1,219

岐阜県の物件の資料を見てみよう。

購入を検討するべきかどうか、瞬時に見定めてほしい。

概要資料でまず確認するべきなのは、

・構造

・築年

・利回り

の3点だ。

この3つの項目を見れば、積算とキャッシュフローが出る物件なのかが大体わかる。

この物件は、構造はRCで築25年程度だ。現況利回りは悪いものの、満室時利回りは15.66%と高い。

融資を付けることが出来れば面白そうな物件だ。

検討を続けよう。

次に概要資料で確認するのは、建物と土地の面積だ。建物だけで550.77㎡あるが、金額は4,900万円と格安な値付けになっている。

RCの耐用年数は47年、再調達価格は19万円、残耐用年数は22年だ。

19万円×550.77㎡×22/47

を計算すると、4,898万円と売価とほぼ同じになる。

ここまでの計算は大まかな暗算で大丈夫だ。土地値を調べるまでもなく、積算評価は出そうだということがわかる。

備考の欄には借り上げ駐車場の費用が記載されている。20台借りており、月8.5万円払っている。

この点は家賃収入から割り引いて計算しないといけないが、利回りは十分あるので吸収できる可能性もある。

続いてレントロールを見てみよう。

ユニットバスの部屋が管理費込で4万円を超えるのはやや高いように思える。313号室の3.7万円ぐらいが恐らく適正だろう。

注意して欲しいのは、家賃表に1F部分の店舗が全く入っていない点だ。

良心的なのか、売主も絶対に埋まらないと踏んでいるのか良くわからないが、この点は資料を取り寄せて注意深く見てないと見落としてしまう。

こういう、いい意味で裏切られる物件資料というものは少ないが、自分だけが気付ければそれだけ他の人よりも優位に立てる。

概要資料とレントロールを見た時点の結論としては、購入エリアが問題なければ十分検討していい物件だと言える。

空室が多いことはリスクだが、周辺の不動産会社にしっかりヒアリングをして適正な家賃水準で回る算段が取れれば、購入に向けて動き出していいと思う。

現況利回りは非常に悪いので、普通に銀行に持ち込んでも融資が降りる確率は低いだろう。

サブリース会社に一定期間の家賃保証をお願いするなど、テクニカルな対応が必要な可能性が高い。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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