現地調査のポイント~周辺地域の賃貸市場の調査

2020年12月17日1,241

物件の購入を決める前には、必ず現地調査を行わなければならない。

現地調査を行うことで物件概要書やレントロールなどの内容を確認しつつ、資料だけではわからないことを明らかにするのだ。

具体的に調査するポイントについて、ここでは周辺地域の賃貸市場の状況調査について説明する。

周辺地域の賃貸市場の状況

1.賃貸市況の調査

現地周辺の不動産屋などにヒアリングして、賃貸市況がどうなっているか聞いておきたい。

不動産屋を訪ねてこれらの情報を聞くことに抵抗がある人もいるかもしれないが、先方からすれば訪問者は見込み客になる可能性を持っているので丁寧に対応してくれる場合が多い。

また、物件近辺で知り合いの不動産屋を持っておけば将来物件管理や売却の相談をすることもできるので、不動産屋を訪ねることに損はない。

但し注意しておきたいのは、購入しようとしている物件の売主が、その売り情報を公開していない場合もある点だ。

事前に物件紹介を受けた仲介業者から情報を他の業者に漏らさないよう言われていれば、その点はしっかり留意しよう

こういった場合は、その地域で物件購入を考えているので一般的な市況を教えて欲しい、などというように、物件を特定しない方法でヒアリングするようにしよう。

もちろん売り情報を公開している物件であれば、その物件自体の競争力や客付けの難易度を直接聞いてしまっても良い。

この場合は大抵間取り・設備・立地条件・入居者の良否などについて多くのことが聞けるだろう。

実際に過去客付けをした業者にも会えるかもしれないので、じっくりと話を聞きたいところだ。

2.周辺の平均的な空室率など

地域の平均的な空室率・入居率についても調べておくと将来キャッシュフローの予測に役立つ。

3.周辺の家賃水準

周辺の家賃や共益費の水準を調べておこう。

物件の現在の家賃が地域の水準より大幅に高ければ将来的に家賃が減額になっていく可能性があるし、大幅に低ければ入居者募集の際などにやや高くする必要があるなどの予測ができる。

大まかな家賃水準はHOME’Sなどのサイトでも確認できるが、不動産屋へのヒアリングでも聞いておこう。

4.広告費・管理費などの相場

可能ならば入居者募集に必要な広告費、管理費などの相場や見積を調べておきたい。

必要経費の一部としてキャッシュフロー予測に役立つからだ。

5.競合物件の確認

物件周辺に似たような間取り・設備などの建物があれば競合物件となる。

競合物件がある場合は、競合物件の現地も併せて確認し入居状況を確認しよう。

どの競合物件の入居率も低い場合は、地域自体が供給過多になっており入居者募集が難しくなっているなどの情報も得られ、将来の入居者募集の際に工夫が必要な地域であるとの判断もできるだろう。

競合物件の確認では特に建築予定・建設中の物件にも注意しておこう。

周辺で大規模なマンションが建設されたり、大規模でなくても複数のマンションが建設されるとその地域の賃貸物件供給は増加し、既存物件の入居者募集などに悪影響がある場合が多い。

検討中の物件の売主がこれを見越して売却しようとする場合もあるので、そういう物件をつかまされないためにも建築予定・建築中の物件の有無にはアンテナを張っておこう。

【現地調査チェックリスト例】

大項目 細項目 チェック
物的調査 ①建物の状況  
②駐車場  
③管理の状況  
④各住戸室内の状況  
賃貸借状況 ①商業用テナントの状況  
②実際の入居状況  
③不良入居者の有無  
周辺地域の状況 ①周辺の将来の動向(再開発計画など)  
②生活利便性の良否  
③嫌悪施設の有無  
賃貸市場の動向 ①賃貸市況  
②平均的な空室率  
③家賃・共益費水準  
④広告費・管理費などの相場  
⑤競合物件の有無  

 

現地調査のポイント~建物調査・周辺地域の調査も参考になると思うので読んでみてほしい。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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