土地・家・マンションを高く売るコツ3

2020年12月18日236

不動産を高く売るための基本的な流れを、これまでの記事で説明して来た。

コツ1、コツ2をまだ読んでいない方は、そちらからまず読んでほしい。

土地・家・マンションを高く売るコツ1
土地・家・マンションを高く売るコツ2
最後に、不動産を高く売るための外せないポイントをお伝えしたいと思う。

良い仲介会社を見つける

売主の希望をしっかり聞いてくれる販売力のある仲介会社を選ぶことは、売却活動を成功させる上で大変重要なポイントだ。

仲介会社の特色と、大手と中小で分けると、以下の通りとなる。

1.大手の仲介会社
三井、住友、野村、などの大手は、顧客数も多く、財務基盤もしっかりしている。
営業マンが必ずしも優秀かどうかはわかないが、何か不都合なことがあった場合には組織として対応してくれるだろう。

また、法令遵守の意識も(この業界の中では)比較的高いと言える。

ただしこれらの大手の会社は、売り手と買い手の両方を自社内でみつける「両手売買」を実現することを、ミッションとして課せられている。この点は注意が必要だ。

通常の片手売買は、

売主側→売主側仲介会社A ⇔ 買主側仲介会社B←買主側

という構図になる。

売主側の仲介会社Aと買主側の仲介会社Bは別の会社なので、売主と買主の利益を守るために双方が力を尽くすという構図になるのだ。

これが両手売買になると、

売主 → 仲介会社 ← 買主

となる。

仲介会社は、高く売りたい売主と安く買いたい買主の両方の利益を調整するという、かなり矛盾がある立場に立たされる。

しかしながら、3.24%の仲介手数料を、売り手と買い手の両方から貰えれば、売却案件や買付案件を2回こなすより、はるかに楽に手数料が稼げる。

信じられないかもしれないが、大手の会社の中では、仲介手数料の平均が5%を超えている会社もある。両手仲介ばかりをやっているのだ。

高く売れるのであれば、買主が誰であろうと関係ないと思うかもしれないが、実際はそんなに単純ではない。

間に入る仲介会社が、売主の意向を100%聞いて交渉してくれるわけではないという構図になることは、容易に想像が出来ると思う。

両手仲介は米国では禁止されている州が大半だ。

このような大手の会社に仲介をどうしても依頼したいのであれば、両手仲介を禁止する旨を伝えると良いだろう。

2.不動産売買が得意な中小の会社
不動産売買を行う仲介会社は、日本全国に無数存在する。

その中でも中小の仲介会社に依頼できるメリットは、小回りが利くことだ。

その中でも、販売力が強く自社顧客の中から買主を見つける「両手売買」に拘らずに、買主を広く集められる会社が良いだろう。

複数の仲介会社に依頼する、一般媒介で売り出すのであれば、大手・中小を織り交ぜ、3社~5社程度の会社に依頼を掛ける方式が良い。

しかしながら、一般媒介だとどうしても取り組み方にムラが出てくる。

自社だけでなく他社も動いている状況だと、他社がどのような動きをしているのかがわからないので、自社が力を注いでも無駄骨になる可能性があるのだ。そうなると、どうしても販売に力が入らないケースが出て来てしまう。

そのような状況が2-3か月続くと「売り残り物件」として広く認知されてしまい、ますます売れにくくなるという悪循環にはまってしまう。

売却のためのノウハウを持つ中小の不動産会社に専任媒介で依頼することが出来れば、それがベストな選択となるだろう。

適切な売却価格の設定

適切な売却価格を設定することは、不動産をより高く売りたいのであれば必須の条件となる。

価格の設定は、以下の順序で行おう。

1.相場の調査
周辺の成約事例と売り出し価格を調査する。適切な事例が多くない場合は、類似のエリアも調べよう。

2.売り出し価格と売却可能価格の設定
「売り出価格」とは、交渉が入る前の値付けだ。

「売却可能価格」は、売却を行っても良い価格で、価格交渉が入った場合にその価格までは下げることを容認する価格のことを指す。

よって、売り出し価格よりも売却可能価格は低い価格になる。

売り出し価格は、相場より1割程度高く設定し、そこからいくらまで値引き交渉を受けるかの売却可能価格もあらかじめ決めておいた方が良いだろう。

売却価格は、仲介会社に明確に伝えないことがポイントです。

伝えてしまうと、「販売チラシの価格は○万円ですが、△万円まで下がります」という営業をやられてしまう。こんな風に安い営業トークに使われてしまっては、売り出し価格を設定した意味がなくなる。

3.売り出し後の価格調整
販売開始後、あまりにも反響が少ない場合は、価格を調整する必要があるかもしれない。

それよりも最悪なのは、価格設定が低すぎて大量の買い付け申し込みが入ることだ。

このプロセスに沿って値決めをしていればこんなことは起こらないと思うが、万が一このようなことが発生した場合は、一旦売り止めにして再度価格を設定し直そう。

「そんなことが起きるのか!」と思うかもしれないが、不動産の売買に慣れていない賃貸などを中心に行っている仲介会社のいいなりで価格設定をしているケースなどにおいてたまに発生する。

2か月経っても成約する見込みのある買主が現れない場合は、売却可能価格を再設定し直そう。

中古不動産の売買では、値引き交渉を行うのが当たり前になっているので、少し多めに値引きが出来る旨を営業マンに伝えることにより、徐々にハードルを下げることが可能になる。

3か月経っても決まらない場合は、売り出し価格、売却可能価格ともに高すぎる可能性がある。

安易な値下げは厳禁ですが、やるべきことを全て実践しても決まらない場合は、要因を分析し、価格設定に問題があると判断した場合は、値下げを検討した方が良い。

まとめ

3回に分けて、不動産売却の流れを説明し、どのような取り組みをすれば高く売れるのかについて説明を行ってきた。

もう一度おさらいすると、相場を踏まえた適切な売却価格を設定し、販売力のある仲介会社に専任で依頼する方式が基本的な流れになる。

ただし実際は、高く売却するためのもっと細かいノウハウがあることは事実だ。

良い条件の融資をセットにして、より買いやすくする仕組みもあるが、インターネットには残念ながら掲載は出来ない。

他には、収益物件であれば利回りを高く見せる方法がある。もちろん虚偽の記載を行うことは厳禁だが、そう見せるようなチラシを作り、初期の反響を取るやり方は存在する。

実需(居住)用のマンションであれば、お金のかかるリフォームは最低限とし、その分安価な設備(食器洗い機、アクセントクロスなど)の付加価値を付ける対応が、効果的な場合もある。

より高く売りたいという、売主のコンセプトをしっかり理解してくれて、そのための方策やノウハウを持っている仲介会社はかなり稀だ。

仲介会社の営業マンは、自分の発言に責任を持たない売主や買主をいつも相手にしている。ひょんな気変わりから、進んでいた案件を急に売り止めにされたりするような目にも、何度も合っているのだ。

仲介会社の仕事は決済が終わらないと1円もお金が入ってこないので、営業マンの思考として、

「そこそこの値段で確実に売ってしまった方がリスクが少ない」

と考える場合の方が多いのだ。

ノウハウがあり、売り主の意向に沿った活動を行ってくれる会社は、本当に貴重だ。

このような仲介会社を見つけることが売却活動を成功させるうえで大変重要だが、自分で探すのには限界があるかもしれない。

このサイトでは、問い合わせフォームから相談いただければ、売却活動全般の相談を受け付けることが可能だ。

自分の周囲で、不動産売買に詳しい人が居れば、そのような人達に相談するのも良いと思う。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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