購入から売却までが不動産投資!成功する出口戦略の3つのポイント
出口戦略とは不動産投資の出口、つまり物件売却時の戦略のことだ。期待通りの家賃収入が得られたとしても想定通りの価格で売却できなければ最終的に赤字になってしまう可能性もある。購入物件選びから既に出口戦略は始まっているのだ。その時点からしっかりと出口を描きながら物件を選定できると投資の成功率は高くなる。「始め方」だけではなく理想的な「終わり方」をイメージしてから不動産投資を始めよう。
目次
1.出口戦略とは
出口戦略は購入してから立てるのでは遅すぎる。購入してからでは変えられない要素が多いからだ。その物件を購入するかどうかを検討する際に、「どうやって、いくらで売却できそうか」を考えて、それを判断材料とした上で物件を購入しなければならない。
不動産投資には入口と出口がある。これらはどちらも重要でバランスよく計画してトータルで利益を出すことが重要なのだ。まずは出口戦略を考える上で知っておきたい「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」という2つの言葉を説明する。
1.1 インカムゲインとキャピタルゲイン
「インカムゲイン(運用益)」とはアパートやマンションなどの資産を所有していることで得られる継続的な家賃収入を元にした利益のことである。
「キャピタルゲイン(売却益)」とは不動産の購入価格よりも値上がりして売却価格の方が高い場合に出る売却益のことを言う。逆に値下がりしていると売却損が出るが、これを「キャピタルロス」と呼ぶ。
家賃収入=インカムゲイン
売却益=キャピタルゲイン
不動産投資における成功とは、このインカムとキャピタルの合計がプラスで出口を迎えることができた場合と言える。
いくらキャッシュフローが出ていても売却価格が安く大幅なキャピタルロスが出る場合は失敗であるし、逆にキャッシュフローは少なくても売却時に大きなキャピタルゲインが得られるのであれば成功と言えるだろう。しかしキャピタルは相場に左右されるので売りたい時に希望額で売れるとは限らず、相場のいいタイミングを待つしかないものである。
そのためインカムとキャピタルのバランスをよく検証して投資判断するべきである。
1.2 出口の種類について
自己居住用として売却
区分マンションの一室や戸建を購入された場合は、自己居住用(次に購入した人が自分で住む用)に売却するという手段もある。特に戸建などは現在の入居者に買取を打診するケースもある程度は存在する。
この場合は、立地や設備などにもよるが、買い手(住み手)の希望にマッチすれば収益物件のまま売却するよりも値段が高くなることも十分ありうるので、ホームズやSUUMO等のポータルサイトを使って同じような中古物件がどれくらいの値段で売りに出されているか確認し、収益性や資産性と比べて判断しよう。現在の入居者に買取を打診するケース以外では空室の状態で売ることとなる。
更地として売却
二つ目は、更地にして土地として売却する方法だ。
区分マンション投資では、他の所有者もいるためこの手段を使用することは難しいが、一方で戸建や一棟ものアパート・マンション投資においてはこの手段を使う事ができる。「資産性が高い物件」であれば、この方法で売却するのが良いだろう。
具体的には積算評価が高かったり、既存の建物は容積率を目一杯使ってなかったり、分譲宅地にした方が収益を見込めるなど様々なケースが考えられる。
または保有している物件が傾いていたり違法建築であったりする場合など、「建物に問題があって次の買い手がつかない物件」もこの方法となる。
更地にして売却するには入居者がいない状態にする必要があるため下記の対応が必要となり、売却方法としては手間も時間もかかるので難易度は高くなる。
・退去のための交渉をする
・定期借家契約などの手段をとる。
収益物件のまま売却
三つ目は、購入した収益物件をそのまま収益物件として売却する方法だ。収益物件の価格は家賃収入と期待利回りによって算出される。ここで期待利回りとは物件スペックに応じて市場で買い手がつくであろう利回りのことである。
収益物件価格=家賃収入÷期待利回り
このように期待利回りによって算出した物件価格がしっかり見込める「収益性の方が高い物件」であれば、収益物件のまま売却するのが良いだろう。この場合は、保有期間中にできることとして下記の対策がある。
・高い家賃で入居者を入れる
・入居率を高める
2、出口戦略で失敗しないための3つのポイント
2.1 出口戦略を考慮した物件購入
出口戦略、つまり売却をスムーズに運んで思惑通りの価格で売るには、売却時にも十分な価値がある物件を選ぶことに尽きる。次にその物件を購入するのも投資家である可能性が高いので、投資家目線で魅力がある物件であれば買い手も現れやすく、売却価格も高くなるだろう。
次に買う人が融資を引きやすい
売却する場合、次に購入する人にとって融資が引きやすい物件は買える人の数が多いことになるのでそれだけ出口戦略も容易になる。融資難易度の低さは物件選びの基準の一つになる。具体的な融資難易度の低い物件は以下になる。
・耐用年数が残っている
・土地値が高い(資産性が高い)
・法令違反がない(違法建築や既存不適格の物件)
・物件価格が小さい(物件価格が高いと融資を引ける人が限られる)
収益性を高く維持できる
収益性の高い物件は不動産投資家にとって魅力的なので売却しやすい。具体的には次のような物件が考えられる。
・駅や商業施設に近く生活利便性が高い
・都市部に近く、通勤や通学に便利
・築年数が浅く、管理が行き届いている
・周辺環境、治安などが良く快適に生活できる
・住宅設備が充実していて、大手ゼネコンやハウスメーカーの物件で安心感がある
このような物件は家賃帯、入居率を高く維持することができる、すなわち利回りを高く維持できるので売却価格も高く設定することができ希望金額での出口を取りやすい。
資産性が高い
金融機関によっては「資産性でみた土地(+建物)価格」に対して融資割合を決めているところもあるので物件価格(売り手に支払う成約価格)と土地価格を比べて、土地価格の方が高い、もしくはそれほど差がない物件の方が融資の難易度が低くなると言える。
2.2 適切な売却のタイミング
長期譲渡に変わる
個人で保有していた物件の売却益にかかる税率は物件を保有していた長さによって異なる。
売却した年の1月1日時点で取得から5年超経っているときの売却を長期譲渡と呼び、税率は約20%である。対して取得から5年以内のときの売却は短期譲渡と呼ばれ税率は約39%となる。
税率の差異が倍にもなるため長期譲渡に切り替わるタイミングで利益が出るような価格で売却できる見込みがあれば、そこが売却に適したタイミングの一つと言える。
減価償却の終了(デッドクロス)
減価償却期間が終了するタイミングでの売却も一つの選択肢となる。減価償却期間が終了すると減価償却費という実際には現金支出を伴わない経費を計上することができなくなる。
経費が減るという事は、賃貸経営における年間の利益が増えるという事になるので税金が多く発生する。結果として税引き後に手元に残るお金が少なくなってしまう。
賃貸ニーズ減少
人口流出大企業、大学などの撤退など賃貸ニーズが著しく減少することがみこまれる場合、稼働率が下がることが見込まれる。
大規模修繕
かなりの修繕費用がかかるので実施前に売り抜けてしまうのも選択肢として有効だろう。
相場が高くなった時
不動産価格にも相場がある。同じスペックの物件でも高い時もあれば安い時もある。相場が上がった時は売却のタイミングとして有効である。
2.3 高く売るテクニック
2.3.1 運営時の対策
同じ築年数の物件でもメンテナンスが行き届いた物件と手入れされず荒れ放題の物件では前者の方が不動産投資家にも入居者にも印象が良い。また修繕履歴をとる、図面資料の保管もしっかりすることで売却時の買主への信頼にもつながるだろう。
2.3.2 売却前の対策
空室がある場合は埋める必要がある。融資がつきづらかったり、買主にも敬遠されたりする。むしろ空室があるならばリフォームをしたり広告費を払うなどしたりしてなんとか家賃を上げることで利回りを上げて売却価格の向上につなげたい。
売主の立場だけではなく買主の立場や考えを理解し買主の不安や疑問を解消できる対策が必要である。
2.3.3 売却の仕方
売却方法としては、売却査定サイトに依頼する、信頼性の高い大手の不動産会社に売却を任せるなどあるが、より高く売るためには「高値売却のための方法を持っている会社」に任せるのが良い。どういう会社かというと下記が挙げられる。
・年収が高く属性の良い優良顧客を多数抱えている
・自社顧客リストの数が圧倒的に多い
・営業力が強くクロージングに長けている
・融資が強く金融機関との付き合いが深い
3、まとめ
出口戦略は購入後では遅い。購入時点から出口を想定した計画をすることが必要だ。
インカムゲインがしっかり取れる物件は保有しているだけで収入があるので売り急ぐ必要がない。インカムを取り続けて相場が高くなるタイミングが来たら売却することができるので出口で成功しやすい。
まずはしっかりインガムゲインが取れる物件を選定し、その上でキャピタルゲインを著しく悪化させるような要因がないかを検証することが成功のポイントだろう。「持って良し、売って良し」となる物件が購入できることが重要である。
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