マンション投資における<単身者向けワンルーム>と<ファミリー向け>物件の違いとは
レジデンス系、いわゆる住居系不動産に投資する場合、どの間取りの物件に投資するかは物件選定を行う上で重要な判断ポイントとなる。
物件の間取りは大きくワンルーム、1K、1DKなどの主として単身者向けの物件と、2DK、2LDK、3LDK、4LDKなどの主としてファミリー向けの物件に分けられる。
単身者向け物件のメリット・デメリット
単身者向けの物件の特徴は、1戸当たりの面積がファミリー向けに比較して狭く総戸数を多く取ることができるということだ。
また、賃貸面積当たりの単価(平米単価・坪単価)は一般的にファミリー向けの物件と比較して高くなる。
これによって、建物の延面積が同じであればファミリー向けよりも単身者向け物件の方が家賃の総収入が多くなり、利回りが高くなるのだ。
また単身者向け物件は、退去によって空室が発生しても立地条件などが良ければ新しい入居者を見つけやすい。
更に1戸当たりの面積が狭い分、前の賃借人が退去した後、新しい賃借人を募集する際の原状回復費用も安く済む。
一方、デメリットとしては単身者向け物件の主な入居者は学生や独身の社会人であるので、3月・4月の学校の入学・卒業の時期や年度末の人事異動の時期に退去が発生しやすくまたタイミングが重なりやすいことが挙げられる。
その他にも、ファミリータイプに比較すると入居期間が一般的に短いこと、総戸数が多くなるためエアコン・キッチン回り・水回りなどの付属設備費用や修繕費が大きくなりやすく、ファミリー向けと比較すると表面利回りとネット利回りの差が大きいなどのデメリットがある。
※ネット利回り…表面利回りから修繕費・管理費・税金などの運営費用を控除した利回り。(家賃などの総収入-運営費用)÷物件価格で表される。
ファミリー向け物件のメリット・デメリット
ファミリー向け物件のメリットは、単身者向け物件と比べた場合、入居者の入れ替わりが少なく入居期間も長いことである。
家族それぞれの通学・通勤、高齢者などがいれば通院などの都合があるため、退去が制限されるからだ。
また、賃貸面積当たりの家賃の単価が単身者向け物件に比較すると低いため、ファミリー向け物件の表面利回りは単身者向け物件と比較すると一般的に低くなるが、その分設備関係の費用や修繕費は割安になる傾向がある。
つまり、表面利回りとネット利回りの差が小さくなる傾向があるということだ。
また、ファミリー向け物件は子供の通学条件が親の通勤の利便性などよりも重要視される場合があること、車の利用が多くなる傾向が強いので、最寄駅からやや距離があっても入居者がつきやすいという場合もある。
しかし、ファミリー向け物件は1戸当たりの賃貸面積が単身者向け物件に対して大きいため、戸当たりで考えると退去時の原状回復費用が高くなりがちである、表面利回りがやや低くなる傾向がある、などのデメリットを有している。
単身者向けとファミリー向け、どちらに投資すべきか
以上のメリット・デメリットを項目ごとにまとめると以下の表の通りとなる。
単身者向け | ファミリー向け | |
間取り | 狭い | 広い |
賃貸面積当たり家賃単価 | 高い | 安い |
戸当たり原状回復費用 | 安い | 高い |
表面利回り | 高め | 低め |
設備関係費用・修繕費 | 高め | 低め |
表面利回り・ネット利回りの差 | 大きい傾向 | 小さい傾向 |
賃借人の主な属性 | 学生・単身の社会人 | ファミリー、ルームシェア |
入居期間 | 比較的短い | 比較的長い |
入退去の時期 | 春先などに重なる傾向 | 一定しない場合が多い |
これらの他に単身者向けが有利か、ファミリー向けが有利かの要素を決めるのは、立地条件も大きい。
上の表の賃借人の主な属性に注目すると、学生や単身の社会人が多い首都圏や大都市に立地する物件であれば単身者向け物件の方が一般的には有利であると言える。
首都圏や大都市でなくても、大学や工場・企業の主な拠点が近くにある、またはこれらが多く所在する地域であれば単身者が多くなると見込まれるため、単身者向け物件の方が適していると言えるだろう。
一方、郊外や、やや駅から離れている物件についてはファミリータイプの方が有利な場合が多い。
特に郊外にある比較的閑静で、住環境が良好な住宅地域ではファミリータイプの方が有利であろう。
これまで見てきた通り、単身者向け・ファミリー向けそれぞれにメリット・デメリットがあり、立地条件などによっても有利・不利は異なるので、良く検討した上で投資対象を決定する必要がある。
複数の住居系不動産に投資するのであれば、単身者向け・ファミリー向けそれぞれのタイプにバランス良く投資をするのがより安全な戦略と言える。
この記事の監修者
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