資金が300万円しかなくてもアパート経営を始められるか
数千万円規模の物件を購入したいのであれば、自己資金は最低でも300万円程度は用意しておいた方がいいというのが私の考えだ。
数千万円ぐらいの規模の物件を買って不動産投資を始めるには、最低限これだけの自己資金は必要だ。
これを聞くと「頭金は3割程度求められるので、自己資金はもっと必要なのでは?」と思った人も居るかもしれない。
また、実際にこのような説明を不動産会社から受けた経験がある人もいると思う。
なぜ自己資金は300万円だけでいいのか
確かに多くの物件は頭金を3割程度入れれば収支が合うことが多く、特に大手銀行がワンルームなどの区分物件へ融資する場合、この傾向が顕著だ。
しかし、一棟物件の中では比較的手ごろだと言える3,000万円の物件でも、3割頭金を入れるとすると900万円もの資金が初期投資として必要になる。
これに加えて、売買時には税金や仲介手数料などの諸経費が物件価格の7%程度掛かるので、1,000万円程度は必要になることになる。
この3000万円の物件から年間50万円収益が上がったとしても、1,000万円の初期に対して年間5%しか還元されないことになる。
他の投資先と比べると十分高い利回りのようにも思えるが、不動産投資には様々なリスクがあるので、5%程度の実質利回りだとあまりいい投資だとは言えない。
物件価格に対して9割の融資を受けたり、10割の融資(フルローン)を受けることが可能であれば、この問題は解消される。
しかし、それには収益評価が高く資産性もある物件を探し、金融機関に持ち込む必要がある。
3,000万円前後の物件を例にして考えてみよう。
この物件をフルローンで融資を受けたとしても諸経費が7%程度かかるので、210万円が自己資金として必要となる。
自己資金が300万円あれば90万円が残る計算になるが、リフォームなどの突発的な出費が発生したときのことを考えると、やや心もとない数字だ。
汚れている部屋のリフォーム費用は単身用のワンルームで15万円程度、ファミリー用で30万円程度かかることが多く、突発的に2つ3つ部屋が空いてしまった場合、自己資金が底をついてしまう。
こうして計算をしてみると、やはり自己資金は最低でも300万円必要で、出来ればもっとあった方が安全だということが良くわかると思う。
購入後の資金繰りの一つの目安として、購入した物件価格の5%程度は常に手元に資金がある状態を出来れば作って欲しいと思う。
5,000万円の物件を保有しているのであれば250万円、1億円の物件を保有しているのであれば500万円を予備資金として有事の際に備えておくのだ。
これぐらいあれば運悪く数十万円程度かかる水回りのトラブルが立て続けに発生しても、十分な余裕を持って対処出来る。
どのようにして億円単位の物件を買うのか
ここまで読んでみて「私は貯金が少ないので、1億円以上の物件は買えない」と思うかもしれない。
一般論で言うとその認識で間違っていないが、沢山の物件を買っている人の中には資金が少ない状態で始めた人が大勢いる。
そういう人がどのようにして合計数億円以上にも上る物件を購入しているかというと、いくつかのパターンがあります。
1. リフォーム費用を含めたオーバーローンで融資を受けている
2. 用途を定めないフリーローン等を別途受けて、自己資金を増やしている
3. 物件売却を経て、多額の現金を得ている
物件を沢山購入している人は、これらのどれか、もしくは全てをやっているケースが多いのだ。
頭金として入れられる自己資金がある程度あるのであれば、一気に1億円以上の物件を狙うのもいいが、自己資金が少ない場合まず物件を一つ買うことから始めよう。
そこから上がる収益を蓄えて、次の物件購入の原資にすることを繰り返すことで投資規模の拡張は可能なのだ。
頭金があっても出来るだけローンを使うべき理由
逆に頭金を多く入れられるだけの資金を持っている人も、安易に7割融資で物件を購入しないで、出来るだけフルローンを狙った方が良いと言える。
これは、単純に資金を効率的に使った方が良いからというのが一番の理由だ。
金融機関からすると、頭金を多く入れてもらった方が、月々の返済額が減ったり返済期間が短くなるので好まれる。
しかし、投資家サイドからするとこれは逆だ。
手元に余裕資金を置いておいた方が突発的な出費に対応できるからだ。
よく言われる
「頭金を入れた方が返済は楽になる」
というのは、よくよく考えればおかしな話しだということがわかる。
金利が低い状況下では、資金を手元に残しておいても返済に回しても返済の総額はあまり変わらないからだ。
資金を持っている人も、あまり資金がない人も、出来るだけ頭金は入れずに物件を購入出来た方が、良い投資が行えていると言えるだろう。
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この記事の監修者
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