代表的な4つの不動産投資方法(区分、高利回り、土地値、光速)とは

2020年12月16日1,261

不動産の投資方法は一つではない。

投資目的や資金余力によって不動産投資では様々な方法を選択できる。

融資戦略やキャッシュフローなど、マネー面から見た主な4つの投資法を紹介するので、自身のニーズに合った投資方法を検討してみよう。

(1)区分マンション投資法

投資対象を一棟物件ではなく、マンションを部屋単位で所有し、賃貸に出す投資法である。

一般的に価格が高くなる立地の良い物件でも区分所有であれば少額からの投資が可能だ

エレベーターなど共用部分の管理も不要であり、付随費用も抑えられる。

土地値の割合が小さく、建物の割合が大きいため減価償却費を大きくできることなどもメリットと言える。

一方、区分所有だと単独での収入規模はどうしても小さくなってしまう。

その為ある程度大きなキャッシュフローを得るには、多くの物件購入が必要だ。

よって必然的に物件購入の労力は大きくなるだろう。

また金融機関から見た担保価値は低くなるので、追加融資も受けにい。

建物全体が経年劣化などで入居付けが悪くなっても、大規模修繕は管理組合任せになり自分の判断だけでは行なえないなどのデメリットもある。 

メリット

  • 少額資金から投資可能
  • 立地条件良好な物件取得可能
  • 売却が容易
  • 共用部分管理の労力が低い
  • 減価償却費が大きく節税向き

デメリット

  • 1物件当たりの得られる収入が小さい
  • 大きなキャッシュフローを得るには複数の物件購入が必要で労力が大きい
  • 担保評価が低い
  • 修繕判断が自分でしにくい
  • 保有戸数が少ない場合は空室リスクが高くなる

適した目的

  • 個人が少額資金で不動産投資を始める際にとる方法としては適している。

(2)高利回り投資法

高い利回りの不動産に集中して投資する方法である。

ここで言う利回りとは表面利回りのことであり、「家賃収入÷物件価格」で表される。

高い利回りの物件は築年が古く建物部分の価格が少ないもの、一般的には築年の古い木造アパートなどになる。

この方法は、減価償却を大きく取れるため節税向きである。

また区分マンションほどではないが比較的資金が少なくても投資可能だ。

アパートローンなどの金融商品があるため比較的融資を受けやすいのもメリットだ。

しかし、特に木造物件では法定耐用年数が短いため融資期間も短期化しがちという難点がある。

法定耐用年数を超えて融資を受けても信用毀損やデッドクロスのリスクを伴うので注意が必要だ。

尚デッドクロスとは、経費に出来る減価償却費や融資の利息部分よりも経費に出来ない元金返済部分が大きくなりキャッシュフローがマイナスになることである。

また、いくら高利回りであっても木造物件はRC造(鉄筋コンクリート造)やS造(鉄骨造)と比較すると、競争力が劣り空室リスクが高いなどのデメリットもある事は認識しておこう。

メリット

  • 減価償却費が大きく節税向き
  • 戸数が多い物件であれば空室リスクを区分マンションに比べて低く出来る
  • 資金が少額でも比較的購入しやすい
  • 建物の固定資産税などが低い

デメリット

  • 融資期間が短くなりがち
  • 法定耐用年数を超えて融資を受けると信用毀損・デッドクロスになる
  • RCなどに比べて物件の競争力が劣り空き室リスクが高い

適した目的

  • 節税目的や大きい額の融資を受けられない場合。

Three colorful houses built of different euro bills. Isolated on a white background.

(3)土地値投資法

実は不動産市場には土地建物一体価格が土地値以下となっている物件も存在する。

それはなぜか。

土地に古い建物が残存するために市場価値が下がり、土地建物一体価格が安くなっている場合もあるからだ。

それらの物件の中には、更地にすれば土地は最低でも路線価以上で売れるものもある。

土地値投資法とは、土地の価格は基本的には減価しないことに着目し、上記のような土地建物全体の価格のうち土地値の割合が大きい物件に投資する投資方法のことである。

具体的には建物の価値が低い築古物件や木造物件などが投資対象となるだろう。

この方法での購入物件は、土地値は下がりにくく建物の価値はほとんどないので資産価値の安定が見込める。

また建物を解体して更地にすれば少なくとも購入価格以上で売却できるため、キャピタルゲインを得ることも出来るだろう。

しかしキャッシュフローは得にくく、実際に得られる利回りも低くなってしまうというデメリットがある。

また高利回り融資法と同様に、法廷耐用年数を超える融資を受けられたとしても信用毀損やデッドクロスのリスクがあるのでこちらも注意が必要だ。

メリット

  • 資産価値が安定している
  • 更地にして売却することでキャピタルゲインを得やすい

デメリット

  • 利回りが低い
  • キャッシュフローが出にくい
  • 信用毀損やデッドクロスの可能性が高い

適した目的

  • 建物を取り壊せば値段の下がりにくい更地をより安く得られるため、ストック面資産形成向き。

(4)光速RC物件投資法

光速RC物件投資法は、金融機関の物件評価額と実際の投資額との差に着目し、大きなキャッシュフローを出せる物件に集中して投資することで有名になった方法である。

RC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の物件は銀行評価が高くフルローンかそれに近い融資を受けやすいため、大きなキャッシュフローを狙うことができる。

銀行からの融資割合を大きくしできればフルローンを受けることと、高い利回りを得ることを両立させることが重要だ。

このため、築年ができるだけ浅く利回りの高い物件の取得が必要になる。

現実的には主な投資エリアは地方都市になる場合が多いだろう。

この方法では、比較的高額かつ安定したキャッシュフローを得やすいというメリットある。

また、そもそも銀行評価が高い物件を購入するので、売却時に次の所有者(売り先・買主)も融資が受けやすい場合が多い。

そのため売却もしやすく、銀行評価が高いことで担保余力の確保も可能であろう。

一方、光速投資法のデメリットとしては、優良物件を投資対象とするため購入時の競争が激しいこと、投資対象となる物件数が一般的に少ないこと、投資額が高額になるためリスクが大きいことなどがある。

メリット

  • 安定したキャッシュフローを得やすい
  • 信用毀損リスクが低い
  • 売却しやすい
  • 担保余力が確保しやすい

デメリット

  • 物件数が少なく物件購入の際の競争も激しい
  • 投資額が高額のため失敗時のリスクも大きい
  • RC・SRC物件は規模が大きく建物維持管理・大規模修繕について事前に緻密な事業計画を要する

適した目的

  • 大きなキャッシュフロー獲得・短期間の資産形成を狙う場合。

パソコンを使う女性

まとめ

以上がマネー面から見た4つの不動産投資方法であるが、希望の投資方法は見つかっただろうか。

どの方法を選ぶにしても、その投資によって希望のキャッシュフローは獲得できるのか必ず確認しておこう。

また、1つめの物件購入後も不動産投資を拡大していきたいのであれば、銀行融資を受け続ける事が重要になってくる事を忘れないようにしよう。

複数の物件を購入したいなら1つめのの物件購入で自身の銀行融資の信用枠を使い切ったり、信用毀損を起こして追加の銀行融資が受けにくくなるような違法物件などは購入しないことだ。

また、不動産投資の拡大には法人を利用した不動産投資が有効なので、新設した資産管理会社へのアパートローン融資は可能なのか を参照すると良いだろう。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
詳細プロフィール

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