東京の空室率34.74%は本当か?「空室率の高さ」があてにならないワケ
不動産投資に関わっていれば、昨今ニュースを賑わせているアパートの空室率の高さは人ごとでは済まない話題であろう。
不動産調査会社のタス(東京都・中央区)によると、2016年9月時点のアパート(木造・軽量鉄骨)の空室率は、東京23区で34.74%にもなっている。
これは、2004年に調査を開始して以降、最高の数値なのだ。
しかし、この空室率がさほどあてにならないデータだと知っている人はどれ位いるだろうか?
まずはこの「空室率の高さ」が実際にどうやって計測されているかを見ていこう。
その後で、物件選定時には「空室率の高さ」ではなく、個別のヒアリング調査が必要だと言うことを具体的に説明していきたい。
空室率の計算方法とは?
まず、簡単なことだが空室率の定義を確認しておこう。
空室率とは「マンションや貸しビルで空室のある割合」のことである。
つまり、収益物件にも関わらず収益が生まれていない部屋の割合で、空室率が高いことはアパート経営に直結する一大事だ。
この空室率の計算方法だが、戸数ベースでの計算法が広く使われている。
戸数ベースでの計算方法は単純で、下記の図の通り求められる。
その他の計算法として、「床面積ベース」「賃料ベース」等もあるが、アパート等の収益物件の場合は概ね「戸数ベース」で空室率を算出している。
驚くべき空室の計測方法
さて、ではその空室の計測の仕方だが、売り物件などの場合は「◯部屋中△部屋空室」など明記されているため、建物全体の空室率はすぐに計算できるだろう。
例えば25部屋ある1棟アパートで、5部屋が空室だった場合は下記の計算式になる。
5(空室)÷25(全部屋)=20%(空室率)
もちろん自分が保有している物件の空室率も同様に出せるだろうし、管理会社を選ぶ際にその会社の管理物件の空室率も参考になる。
(もちろん、低い空室率で物件管理をしている会社を選びたい)
しかし、最初に記載したような「東京の空室率」の場合、どうやって東京中の賃貸物件の空室計測をしているのだろうか?
実は驚くべきことに、「目視」で行われているのである。
ここに、平成25年度・長野市/松本市の空室調査の結果がある。
(http://www.nrknet.or.jp/pdf/h25_kushitsu.pdf)
この「調査方法」のところには、「徒歩で回りながら目視による調査を行った」と明記されているのだ。
調査しているのは各市3名程度の担当調査委員で、方法としては「郵便ボックス」「テナント案内」「外からの外観調査」などを空室かどうかの判断基準にしているようである。
ここでは長野市/松本市の例で説明したが、各都道府県、市町村の空室調査は概ねこのやり方と違いは無い。
つまり、2〜3名の調査員が目視で調査した空室計測であり、そこから導きだされた空室率なのである。
ニュースでは大々的に取り上げられる空室率だが、信頼に足るデータとは到底言えないであろう。
こうして、空室率を導きだす元数値がどう計測されたのかを知れば、「空室率が高いから危険な地域だ、物件購入は絶対に控えよう」などと一方的に惑わされることもないだろう。
空室率より大切な物件選定法
では物件選定の際に、空室率があてにならないデータだとすると何を指標に選べばいいだろうか?
ここで重要なのが、物件周辺の不動産会社へのヒアリング調査だ。
購入予定の物件の地域が、実際に空室率の高い(客付けの難しい)地域なのか、またその物件自体が実際に募集を行う周辺の不動産会社からどう扱われているかは、直接聞くのが一番なのだ。
ヒアリングする不動産会社は、「物件の所在地+不動産会社」で検索すれば出てくるだろう。
この中から、ターミナル駅近くの不動産会社を3〜4社ピックアップしよう。
大手の不動産会社は、少なくとも2つは入れておきたい。
エイブル、ミニミニ、MASTがあれば優先し、アパマンショップ、ピタッとハウス、ハウスメイト、ハウスコムも入れてもいいだろう。
また、地方によっては地場の不動産会社が強い場合も多い。
HPを調べれば、会社の創業年や社員規模も分かるだろう。
大手2社、地場2社程度をピックアップしたら、さっそく電話でヒアリングを行う。
ヒアリング調査の具体例
具体的な会話例をあげてみよう。
まず、自分が大家だと名乗ることが重要だ。
なぜなら不動産会社は、将来的に関わるかも知れない物件の大家さんに対して、ぞんざいな態度を取ることは少ないからだ。
もし、「忙しいのでまたにしてほしい」と言われたら、別の会社にかければよいだけだ。
問題なければ、次を聞いてみよう。
ここでのポイントは物件名を具体的に出し、家賃の水準に関して具体的に聞くことだ。
特に地方だと、物件名を出して話をした方が早い。
売主からの申し送り事項に「ヒアリング禁止」の条件がなければ、物件名をだした方がより正確な聞き込みができるだろう。
また妥当な家賃水準を聞いたら、その額で3ヶ月以内に空室が埋められるのかと、敷金・礼金の相場と広告費に関しても聞いておくといい。
地方であれば、駐車場が必要な地域かどうかと、1戸あたり何台分が必要かも押さえておこう。
ヒアリング内容をまとめると、以下のことは必ず聞いておきたいポイントだ。
・需要がある地域なのか?
・家賃は適正か?
・空室はいくらの家賃で3ヶ月以内に埋められるのか?
・敷金・礼金・広告費はいくら程度か?
・駐車場は必要か?必要であれば1戸あたり何台分か?
1つの不動産屋のヒアリングですべて聞けなくても、3〜4社にかければ概ね聞きたいことは網羅できるであろう。
こういったヒアリングの手法だと、「5年後10年後は大丈夫なのか?」と心配する方がいるかも知れない。
しかし、不動産投資だけでなく株やFXなど投資と呼ばれるものに「絶対」はない。
その中でも、不動産投資は株やFXのように瞬間的に資金が飛ぶようなことはなく、悪くなる時も良くなる時も「徐々に」変化する。
自分の物件をきちんと管理している中で、良くない兆候(空室が増える、家賃を下げても決まらない等)が出てきたら、「売却する」「大規模修繕を行う」「更地にして建て直す」等その時にベストな判断をすればよいだけだ。
誰にも分からない未来の心配をしていたら、いつまでたっても不動産は購入できないだろう。
まとめ:空室率よりも重要なこと
ここで重要なのは、「空室率」というマクロで不明瞭な指標を鵜呑みにするのではなく、「物件ごとのヒアリング調査」というミクロで具体的な情報を積み上げることが大切だということだ。
「人口の減少」や「アパート建設の過熱」など不動産投資を躊躇させるニュースは様々ある。
これらを闇に雲に信じて怖がるのでは何も始まらない。
自分で行動し、必要で確実なデータを集めてより良い物件を選定することが、地味ではあるが不動産投資においては欠かせないことなのだ。
この記事の監修者
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