不動産投資でローンが支払えなくなり破たんしたらどうなるのか

2020年12月18日1,957

前提知識として、不動産投資で実際に破たんする人の割合は、実は大変少ないということを覚えておいてほしいと思う。

家賃は価格の硬直性が高く、景気変動にも左右されにくいという特性を持っているからだ。

事前に収支計算をして利益が出る物件を買っていれば、その後も問題なく運営できる可能性が高い。

ローンの返済が出来なくなると何が起きるのか?

では、返済が滞った場合どうなるかについて説明しよう。

まず返済の期日から1日や2日遅れた場合は、金融機関の支店の担当者から

「口座に残高がないですがどうされましたか?」

という電話が数日以内に入る。

この段階で口座に入金を行い、支払い遅延が解消されれば問題は少ない。

給料など他の収入からも補てんが出来ない状態になると、金融機関から連帯保証人に催促されることになる。

この状態が解消されず、3ヶ月過ぎても返済遅延が解消されない場合は、金融機関内で破たん懸念がある要注意先に分類される。

この段階で、回収担当は支店の営業マンではなく、本社の回収専任担当者に変更となる場合が多い。

本格的に返済が出来ない状態になった後の対応は、金融機関によってかなり異なる。

貸し出しの件数が多く一件ずつの融資規模も大きいメガバンクは、融資したお金を回収できる権利である債権を、サービスサーと呼ばれる資金の回収専門業者に安価に売り渡す場合もある。

債務の請求権が銀行からサービサーに移ると、銀行との関係性が切れるため、銀行からは返済を求められない代わりにサービサーからより厳しく取り立てられることになるのだ。

自身が保有している定期預金や生命保険などを全て解約しても返済が出来ない場合は、物件を任意売却または競売にかけることになる。

売却価格が債権額に満たない場合は、最終的には自己破産するという選択肢も出て来るだろう。

その段階においては、持っている資産は基本的に全て処分する必要が出て来る。

破たんを回避するにはどうすればいいのか

地域密着を標榜している地銀・信金などは、無理して回収を行った場合に、地域内で悪いうわさが立ってしまうことを懸念し、ある程度柔軟に話し合いに応じてくれることがある。

その場合は、返済計画をリスケジュールして融資期間を延ばしたりすることにより、毎月の返済金額を減らす対応などを行ってくれる可能性もあるのだ。

返済期間が延びれば、その分だけ毎月の金利と返済の金額は少なくなり、キャッシュフローが出やすくなる。

一旦資金的な猶予が出来たら、不動産を早急に整理した方がいいだろう。

任売や競売だと期日を決めて売る必要があるので、高値で売り抜けることは困難だ。

しかし、しっかりと売却戦略を立てて臨めば、もしかしたら残債程度の金額で売却できる可能性もあるかもしれない。

売却が難しい場合も、保有していれば返済が進むので残債はドンドン減っていく。

例えば、期間が20年の元利均等返済のローンであれば、5年耐えれば恐らく5分1程度は残債が減っているだろう。

リスケジュールした段階で物件を売るのが困難でも、数年経てば残債程度での売却が出来る状況が訪れるかもしれないのだ。

どこまで耐えてどこで諦めるかは非常に難しい問題だ。

一つの目安として、キャッシュフローが年間100万円以上赤字になっている場合は、諦めて自己破産した方がいいだろう。

本業の給与収入からギリギリまかなえたとしても、生活そのものが破たんしてしまうからだ。

もし破たんの懸念があり、非常に困窮している状況なのであれば、相談しに来てほしい。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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