「かぼちゃの馬車」で借金1億円!事件の全貌とスルガ銀行の不正融資の実態とは?

2020年12月14日2,422

被害総数700人、被害総額1000億円以上ともいわれ、不動産投資の歴史を変えたかぼちゃの馬車事件。

女性専用シェアハウスのかぼちゃの馬車を管理していた株式会社スマートデイズが2018年1月にオーナーへの賃料支払いが困難となり、経営破綻となった事件だ。

そこには株式会社スマートデイズだけでなく、スルガ銀行も加担したずさんな融資実情があった。

多額の債務を負ったオーナーたちは銀行への返済が不可能となり、挙句の果てに自己破産に追い込まれた者もいる。

なぜ、こんなことが起きたのか。その顛末とかぼちゃの馬車事件から学ぶ不動産投資で注意すべき点を解説していく。

 

かぼちゃの馬車の事件背景

かぼちゃの馬車事件は、シェアハウスかぼちゃの馬車の管理会社である株式会社スマートデイズ(以降スマートデイズ)の賃料未払いによって起きた事件である。この事件はどのようにはじまったのか?

上京した女性に優しいシェアハウス

かぼちゃの馬車とは、スマートデイズが管理していた女性専用のシェアハウスである。

シェアハウスの入居に関しては、敷金と礼金、仲介手数料の費用がかからない。

個室には、ベッド・冷蔵庫など必要な設備が用意されインターネットや光熱費込みになっており、トランク一つですぐ入居ができるというものだ。家賃は月4万円程度から(物件により異なる)だったという。

おもに地方から上京した女性向けをターゲットに展開していたが、実際の物件は個室は狭い上リビングのような広い共有スペースもなかった。さらに家賃も実際は近隣のワンルームのアパートより家賃が高くなることも多かったようだ。

知識のない大家たちを惹きつけた30年間の家賃保証

スマートデイズが特徴的におこなっていたことの一つがサブリース契約だ。

サブリースとは、物件を管理会社がオーナーから一括で借り上げ、管理会社がそれぞれの入居者へ転貸する形態の管理方式である。入居者は管理会社へ賃料を払い、そこから手数料を引いた金額がオーナーの収入となる。

かぼちゃの馬車オーナーの多くは普通のサラリーマンであり、副収入を得る方法としてサブリースの契約をしてシェアハウスの建築していた。かぼちゃの馬車の管理会社はスマートデイズなので、オーナーは管理に一切関与しないまま家賃収入を得られたのだ。

そしてサブリース契約の大きな魅力がここに一つあった。それが家賃の30年間保証である。仮に多数におよぶ空室が発生してもオーナーに入る収入は30年間保証されていたのだ。

 

かぼちゃの馬車の終焉はなぜ起きたのか

資金繰りの悪化により、2018年4月スマートデイズは、経営破綻した。サブリースを使ったアパート経営をしているオーナーはたくさんいるし、シェアハウスを黒字経営しているオーナーも多くいる。では、かぼちゃの馬車がうまくいかなかった原因はなんだったのか?

かぼちゃの馬車はサラリーマンに高額なシェアハウス経営を持ちかける

スマートデイズは「損は絶対しない」や「サラリーマンでも副収入を継続的に受け取れる。」など、甘い言葉で不動産投資に疎いサラリーマンを勧誘していた。

また女性有名タレントを使ったテレビCMも放映しており、この知名度が社会的信頼となり素人投資家を信用させていた。

赤字経営を続けたかぼちゃの馬車事業

かぼちゃの馬車事業は、元々赤字事業であったという。その赤字を埋めるのが、アパート建設時に受け取る法外な建設費であった。

スマートデイズはかぼちゃの馬車建設にあたり、実際の建設費用の2倍の金額をオーナーから建設費として受け取っていた

たとえば実際の建築費用が1億円の場合、かぼちゃの馬車オーナーが支払う金額は2億円となる。そしてスマートデイズは、1億円を利益として得ることとなる仕組みだったのだ。

建築不能となり経営破綻に

スマートデイズはかぼちゃの馬車建設時に得る収入を赤字補填に充てていたため、かぼちゃの馬車を建設し続けなければ補填ができない

しかし物件を増やすたびに家賃収入はないままオーナーの支払いは増えていった。この悪循環の中で赤字が大きくなり、負債総額はさらに膨らんでいった

その中でかぼちゃの馬車建設にあたり融資付けをおこなっていたスルガ銀行も他の不動産融資問題が発覚し、融資がおりなくなった

こうしてかぼちゃの馬車の建設が不可能となったのだ。スマートデイズは、オーナーへの賃料を支払うすべがなくなり、未払いのまま経営破綻に陥った。

建物オーナーは貸主で、スマートデイズは借主である。サブリースは、貸借契約である以上、貸主と借主の関係は借地借家法で規定されている。

借地借家法では、借主からの賃料減額要求は認められている。借主であるスマートデイズは、いつでも建物オーナーに対し、賃料減額の要求をすることができる。

本来であれば、家賃保証といっても空室が増えれば、スマートデイズは減額要求ができたため、スマートデイズに大きな事業リスクはないはずである。スマートデイズは利益の出し方が間違っていたとしか言えないだろう。

家賃収入を失ったかぼちゃの馬車オーナーたち

銀行からの融資がなくなりかぼちゃの馬車建設による収入を失ってしまったスマートデイズは、各かぼちゃの馬車オーナーへの家賃の振り込みができなくなってしまった。

オーナーの大半がスマートデイズからの家賃収入で建設費用のローンを支払っている。スマートデイズからの賃料が入らなくなり、返済を抱えるオーナーの多くはローン返済が不可能となり、自己破産を余儀なくされた

物件購入時に相場の倍の値段を払っていたこともあり、物件を売却するしたところで返ってくる金額は半分以下である。いずれにせよ膨大な残債が残ってしまったのだ。

ここで一つの疑問が浮かび上がる。「なぜサラリーマンが、容易に億単位の銀行融資を受けられたのか?」かぼちゃの馬車の建築融資はすべてスルガ銀行がおこなっていた。スマートデイズとスルガ銀行にどのような関係があったのか。

 

かぼちゃの馬車にずさんな融資をしていたスルガ銀行

スマートデイズが経営破綻してから見えてきたのが、スルガ銀行が甘い見通しでおこなっていた融資付けだ。その内容とはどんなものなのか?

甘い見通しで融資をおこなうスルガ銀行

かぼちゃの馬車事件がここまで大きくなってしまった原因として、30年間の家賃保証が上げられる。これはサラリーマンオーナーだけでなく、スルガ銀行にとっても魅力的に見えていた。「家賃保証がある=きちんと返済がおこなわれる」という方程式が銀行員の中で出来上がり、融資を容易におろしていたのだ。

また、スルガ銀行も通常であれば審査で落とす案件であっても、スマートデイズがオーナーの資金に余裕があるという虚偽の報告をして融資を実行していたことも発覚した。

スマートデイズと直接関係をしていたスルガ銀行横浜東口支店では、個人投資家を対象とした「かぼちゃの馬車セミナー」を開講して、高金利で頭金なしの融資を推奨していたこともこの事件の規模を大きくした可能性もある。

スマートデイズの破綻により、スルガ銀行のずさんな融資が発覚した。スルガ銀行には他の不正も発覚し、2018年10月に金融庁は、スルガ銀行に一部業務停止命令をくだした。行政処分の中でも非常に重い処分である。

かぼちゃの馬車オーナーのその後

スマートデイズが破綻し、スルガ銀行は一部業務停止になっても、建物オーナーの支払い義務が消滅したわけではない。その後全国のかぼちゃの馬車オーナーのとった行動とは?

かぼちゃの馬車の被害者同盟結成

被害を受けたかぼちゃの馬車オーナー達が立ち上がり、かぼちゃの馬車被害者同盟を結成した。かぼちゃの馬車被害者同盟が積極的な活動は、事態を重く見た弁護士を多数集め弁護士団を結成することとなる。

かぼちゃの馬車被害者同盟は破綻をしたスマートデイズに対して責任の追及をはじめた。責任追及内容は、破綻を前提とした投資詐欺・粉飾決算(賃金未払いなど)・役員損害賠償・業務委託料(実態のない取引)などである。しかしながら、現状いずれも立証・損害賠償請求は困難な状態にある。

スルガ銀行は「融資に関わる資料の偽装、改ざんに関わってはいない」との弁明を表明している中、かぼちゃの馬車被害者同盟は弁護士団を通じ不正融資の事件首謀者となる行員らを刑事告発した。

スルガ銀行の行政処分

金融庁がスルガ銀行に立ち入り検査に入り、結果としてスルガ銀行は一部業務停止命令をくだされることとなった。スルガ銀行は、金融庁より改善策を提示される。その中で、スルガ銀行がとった方針とは?

かぼちゃの馬車の残債免除へ

もともとスルガ銀行はかぼちゃの馬車のオーナーに対し、ローンの返済猶予などの対応はとってきた。しかし金融庁が示した改善策はこれをさらに上回るものであった。かぼちゃの馬車オーナーに対する「金利引き下げや返済条件の見直し、元本の一部減免を含めて適切に対応する。」というものである。これによりスルガ銀行はかぼちゃの馬車オーナーに対し「かぼちゃの馬車を手放せばローン残金を免除する」という新たな条件を提示したのだ。


かぼちゃの馬車事件から学ぶ不動産投資における注意点

かぼちゃの馬車事件は管理会社であるスマートデイズが不動産投資の知識もないサラリーマンにメリットばかりをいいふくめ、尋常ではない金額の融資を受けさせておきた事件である。では不動産投資をすすめる業者の話はどの点に注意して聞いていけばよいのだろうか?

業者の甘い言葉に注意

かぼちゃの馬車事件の管理会社スマートデイズは、素人同様のサラリーマンに副収入を安易に得ることができると甘い言葉で誘っていた。同じように業者から不動産投資をもちかけられた場合、加えてリスクの説明を聞くことやセカンドオピニオンに頼ることが必要である。

サブリース契約のリスクを理解する

スマートデイズがおこなっていたのは家賃保証型のサブリース契約である。オーナーから一括で借り上げ、管理会社がそれぞれの入居者へ転貸するものである。

注意すべきは、サブリースが賃貸契約である場合は、貸主と借主の間は借地借家法で規定されている関係となる。つまり借地借家法では、借主からの賃料減額要求が認められている。

「入居者が入らず空室でも保証」または「30年間家賃保証」といえども、管理会社(借主)は、空室が長期である場合などの理由で、オーナー(貸主)に対し、賃料の減額の要求が可能であることを忘れてはいけない。

 

 

「かぼちゃの馬車事件」の教訓

かぼちゃの馬車事件は例を見ないほど多くの被害者と被害金額を生んだ重大事件であった。

では、このような事件に巻き込まれないようにするためはどうしたらよいか。

  • 建築費用などの諸経費は客観的に見て妥当な金額であるかを常に確認する。
  • 家賃保証という言葉に惑わされない。

以上のことを念頭に置きながら、自身で能動的に不動産投資を行うことが重要である。どんなに業者がバックアップしてくれていると言っても、何か起きたときの責任はすべて自分が持つことを忘れないでほしい。

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この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
詳細プロフィール

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