株やFXなどの投資と不動産オーナーになることの違い

2020年12月17日1,583

不動産を買って不動産オーナーになることと、株・投信などを買う投資家との違いは何だと思うだろうか?

今回は、不動産オーナーと、その他の資産に投資する投資家との違いについて説明したいと思う。

不動産投資以外の主な投資を、挙げてみよう。

  • ・株式
  • ・債券
  • ・投資信託
  • ・FX(為替)
  • ・商品先物(金、石油、大豆など)
  • ・海外ファンド
  • ・積立保険
  • ・事業投資

※投資信託、海外ファンド、積立保険は、株や債券などに間接的に投資する商品です。

債券以外はいずれも元本保証ではない。

金融商品は相場を見極めながら自分の判断に基づいて売買を繰り返す必要がある、いわゆるリスク性商品がほとんどだ。

近年情報がボーダレス化して各商品間の流動性・連動性が非常に高まっている。ゆえにそれぞれの金融商品の相関性は、年を追うごとに高まっている状態だと言える。

例えば東証に上場している企業の株を買うのであれば、その企業の分析をし株式市場全体の流れを観察するだけでなく、他国の相場や為替に関連するニュースも的確に読むことが求められる。

企業のテクニカル分析・ファンダメンタル分析とマクロ経済の知識を要するのだ。
(ただし売買の手法による。チャートのみで売買を行うデイトレードの中には、これらの分析などを行わない手法もある。)

しかもいくら知識を蓄えたからと言って、2008年のリーマンショックのように誰も経験したことがない相場に陥れば経験則が使えない事態となる。

10年・20年という長期の期間に渡り年間平均10%以上の利回りを出すのは大変困難なのだ。

世界一の著名投資家だと言われている、アメリカのウォーレン・バフェットの生涯利回りは、年間20%だと言われている。

この数字は、株式投資をやっている人からすると、かなり驚異的な数字だ。

儲かった20%の翌年さらに複利で20%儲けるのだから、2年間の儲けは100×1.2×1.2で144となり、2年間の利回りは44%にも上る。

10年間この運用成績が続けば大変な含み益になるだろう。再投資を続けると雪だるま式に含み益が増える、いわゆる複利の効果によるものだ。

不動産投資の世界で複利運用はあり得ない。利益となるキャッシュフローは手元に残るだけである。

しかし投下資金の運用利回り(投資用語でROIと言う)が、30%を超えることはザラにある。

即ち、

物件価格が3,000万円

頭金+初期経費が300万円

キャッシュフロー(年間の純利益)が100万円

という物件があったとすると、最初頭金と初期経費で使った300万円は、100万円×3年で回収できるのだ。

その後100万円は累積黒字になるため、以下のようなという計算になる。

1年目 -200万円
2年目 ‐100万円
3年目 0万円
4年目 +100万円
5年目 +200万円

※1年目は頭金+初期投資からキャッシュフローの100万円を足した金額。

5年間の累積黒字は200万円となり、ROI(投下資金に対する利益)は5年で66%(300万円投資して200万円の利益)になる。

買っている物件は利回り10%-13%程度の、ごく普通の中古アパートでも、上記の計算式通りのキャッシュフローを得ることは十分可能なのだ。

バフェットのように株で年利20%を上げ続けることは不可能だ。しかし利回り10%台のアパートを購入して不動産オーナーになることは、普通の人間であるあなたや私にも出来るのではないだろうか。

何故このような非常に高いパフォーマンスの投資が、普通の物件を購入して不動産オーナーになるだけで可能なのかと言うと、不動産投資には「融資」が使えるからだ。

借りたお金を最大限に活用することにより、少ない投資資金で高いパフォーマンスを上げることが可能となるのだ。

資産を持たない人に対して、株や投信やFXを行う資金のために銀行が融資をすることは、100%ありえない。

投資をする目的で融資を申し込んだとしても、営業マンに一瞥されて断られるだろう。

目的を定めないフリーローンで数百万円ほど借りることは可能かもしれないが、金利は恐らく7%以上となってしまう。

長期投資で利益を上げるつもりなのであれば、厳しい利率だ。

株式投資でも、信用取引や証拠金取引と呼ばれる、現金を担保として出す仕組みを使えば、自己資金の3倍までの運用が可能だ。

しかし、3,000万円分の運用をしようと思ったら、1,000万円必要となり、多くの人は貯金の全部もしくは大半を使うことになる。

株のような値動きが激しい投資対象にこのようなお金の突っ込み方をするのは、リスクが高いと思わざるを得ない。

FXは、以前は400倍まで資金を増幅させて取引が出来たが今は25倍までで規制がかかっており、規制は強化する流れとなっているのは周知のとおりだ。

不動産投資に話を戻そう。

銀行融資の仕組みを使えば、頭金10%程度で取り組める可能性のある物件はかなりの数がある。

わかりやすくするために諸経費は省いて計算するが、頭金10%入れてマンション1室を購入した場合は、資金を10倍に増幅させて投資をしているのと同じことになる。

3,000万円の物件を頭金10%(300万円)入れて購入した場合、

3,000万円÷300万円=10倍

という計算になる。

物件価格と同額の融資を受ける「フルローン」や、物件価格以上の融資を受ける「オーバーローン」の場合はどうなるか。

オーバーローンは確かに難易度が高く、タイミングや本人の属性(会社員としての収入)にも依存する。

金融機関によっては、不動産オーナーとしての実績を見られる場合もある。

しかし、オーバーローンが実現できれば、3,000万円の物件を3,500万円の融資を引いて購入した場合、頭金はおろか、不動産取得税、所有権移転の登記費用、不動産仲介会社に払う仲介手数料までもローンの中でまかなえてしまう。

これが実現できれば、投資効率はかなり良くなることは間違いない。

ただし、フルローン、オーバーローンはなかなか出ない。

融資銀行の特性をしっかりと理解し、それに合致したレベルの高い物件を持ち込まない限り絶対に実現しないだろう。

しかしチャレンジしてみる価値は十分ある。

収益物件を買って不動産オーナーになることの唯一にして最大のメリットは、融資を使えってお金を借りられることだ。

自己資金の投下を出来るだけ少なくし、テコの原理(レバレッジ)により融資額を増やした投資を行うことが、特に投資を始める初期の段階では間違いなく重要になるだろう。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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