バブル期に沢山の不動産業者が倒産した理由
1990年代のバブル崩壊直後やその後の不況時には沢山の不動産会社が倒産した。
08年のリーマンショック前後にも、スルガコーポレーション、アーバンコーポレイション、Human21、ダイナシティ、エスグラントコーポレーションなど、多くの不動産会社が会社更生法を申請した。
また、それらの時期には個人の不動産投資で破たんした人も沢山居た。
不動産投資家と不動産会社で立場は微妙に異なるが、破たんした理由は一緒だ。
価格が高騰しているにも関わらず、多額の借り入れを行って転売目的で物件の購入を繰り返したのだ。
その後、バブルが弾けて価格が下がり、転売しようとしても仕入れ値より遥に低い金額でしか売れずに、借り入れたお金を返せなくなり倒産する憂き目に合ったのだ。
倒産した不動産会社は自己売買を行っていいた
不動産会社と一口に言っても色々な種類の業態があるが、潰れたのは安く仕入れて高く売るような、自己売買を中心に行っていたデベロッパーや転売業者だったのだ。
今も昔も、不動産会社は短期間で儲けることが出来る転売が大好きだ。
1億円で仕入れたものを、1億1,000万円で売り抜けられれば、利益は1,000万円だ。
これを単純な仲介で行った場合、仲介手数料は3%しか取れないので、300万円の利益しか得られない。
転売は自社でリスクを取る分、利益額が仲介よりも大きいのだ。
大規模な新築を建てる場合は、仕入れた土地に1年以上かけてアパートやマンションを建てる。バブル期には新築のマンションを建築中の間にも不動産価格は値上がりしたので、完成直後に簡単に売ることが出来た。
更なる値上がりを期待してそれらを買う人が沢山存在したのだ。
彼らの多くは、銀行やノンバンクから借り入れを行って資金の調達を行っていた。
しかし、時の政府が急激な総量規制を行い、融資の蛇口を急激に締めたため、市場には買い手がいなくなった。こうなると悲惨だ。
ババを引いた会社は返済期限まで資金調達が出来なくなり、破たんする会社が相次いで発生した。
企業も「財テク」により、わけもわからず株や不動産に手を出すことが当たり前になっていた。本業では利益が出ているものの、慣れない不動産投資によって、破たんしたり不良債権を抱える会社が沢山あったのだ。
その当時は、都心6区で利回りが2%ぐらいの物件も頻繁に売買されており、今と比べても明らかに行き過ぎた感があったと言える。
また、不動産デベロッパーは土地を仕入れて大規模マンションを建てることを当時も行っていたが、販売開始をする頃にバブルが弾け、マンションの価格が大幅に下げないと売れなくなるという事態に直面した。
その結果、借り入れた資金を返せなかったり大幅な赤字を計上したりすることになり、バランスシートを痛める会社が多く発生した。
リーマンショック時にもバブル期を知らない、または教訓を生かせていないような新興のデベロッパーが多数潰れたのは、冒頭で説明した通りだ。
家賃収入メインの投資はバブル崩壊時でも持ちこたえられた
バブル崩壊を乗り切れずに潰れた会社のほとんどが家賃収入であるインカムゲインではなく、物件の値上がり益によるキャピタルゲインを期待して不動産を購入していた。
利回りが2%や3%では、借入金利の返済に管理費を加えたら、キャッシュフローは間違いなく赤字だ。
不動産大きく価格が下がってしまっても、「家賃収入-返済」がマイナスでなければ持ちこたえられたかもしれなかったが、そうはならなかったのだ。
6%以上の利回りで買っていれば、家賃収入によるキャッシュフローはマイナスにならないので、価格の低下による評価損が帳簿上で発生していても持ちこたえられただろう。
景気の変動により、今後も物件価格は短期間で大きく上下する可能性がある。それゆえ短期間で大きく儲けることも出来るし、短期間で多額の損失を蒙ることもある。
しかし家賃は反対に価格硬直性があり、景況の影響をダイレクトには受けにくい。家賃収入目当て不動産投資は、大儲けは難しいが大失敗も少ないのだ。
短期で収益を上げるには転売が適しているが、家賃収入によるキャッシュフローを下回る水準の利回りでしか購入出来ないとすると、それは価格が高騰し過ぎている状態だと言える。
現在(2015年)の不動産価格は、政府による金融緩和も当面続く見通しであり、数年前と比べるとかなり高騰しているが、バブル期の状態まではまだ達していない。
家賃収入をメインに投資をしている分には、まだまだ安全圏な物件は沢山ある。
物件価格が高騰していると言われている中でも、家賃収入メイン・キャッシュフロー重視の不動産投資なら破たんする可能性は低いのだ。
この記事の監修者
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