空室率3割の時代の家賃下落リスクに備える方法

2020年12月18日698

不動産投資を始め、物件を買った後のリスクとして、家賃の下落がある。

家賃の下落は本当にキツイ。

私は5万円の家賃が48,000円になるだけでも、ひどく憂鬱になる。

何故ここまで家賃の下落を嫌がるのかと言うと、家賃が下がることにより売却時の利回りも下がるからだ。

利回りが下がれば、売価も下がることに繋がる。そうなると売る時に支障を来すのだ。

例を出そう。

1.2億円で利回りが10%の物件を購入したとする。

家賃平均は5万円で、合計20室ある物件だ。

この家賃平均が、4.7万円まで下がると大変だ。

家賃収入は94万円/月となり、利回りは9.4%まで下がってしまう。

利回り10%が相場だとすると、買った時の1.2億円で売ることは難しいだろう。

売価1.12億円で利回り約10%になるので、3,000円の家賃下落により、800万円も売価が下がってしまった。

極力家賃下落を避けなくてはならない理由が、わかるだろう。

逆説的な話になるが、家賃が下落するのは必然性を伴っている。ある意味しょうがない部分もあるのだ。

何もしなければ建物は劣化していく。新築もドンドン建っていくので、物件の競争力は時間が経つにつれてなくなっていくのだ。

昔から居る入居者は、高い家賃を払っている場合が多いが、こういう人も時間が経てばいずれ退去する。

そうなると、現在の相場で家賃を引き直して募集することになる。何もしないのに家賃が上げることはまずないが、家賃が下がる理由は色々あるのだ。

では、どのように家賃下落に対処するかだが、そもそも退去を発生させないことが重要になる。

1万円や2万円の経費削減よりも、退去させないことの方がよほど重要だということが、冒頭の例からもわかるだろう。

家賃平均が少し下がっただけで、出口まで含めたトータルの収益で考えると大きく減ってしまうのだ。

退去を予防するだけでトータルリターンが数百万円も変わるのであれば、やらない手はないだろう。

退去予防のためにどのような対応を具体的にするのかというと、ごく基本的なことの積み重ねを続けるしかない。

・入居者からのクレームにはしっかりと耳を傾け、真摯な対応を行う。

・清掃をしっかりと行い、物件を綺麗な状態に保つ。

・樹木があるのであれば、除草、剪定、落ち葉拾いもしっかり行い、手入れが行き届いた状態にする。

などの対応を地道に行うのだ。

しっかりと行き届いた対応がしてある物件は、築年が古くても雰囲気がいい。

逆に、汚くて荒れた雰囲気の物件は、入居者のゴミ出しや粗大ゴミの廃棄もおろそかになり勝ちだ。

人間は、多少倫理的に問題があるような迷惑行為も、皆がやっていればそれが普通に思えてしまう。

そういう人が増えることにより、物件がさらに荒れてしまうという負の循環に陥る。

そうならないように、管理会社や清掃会社に、物件の管理を徹底させるのだ。

退去が極力少なくすることを重視しており、そのために管理状態を徹底的にチェックする旨を、明確に伝えてしまっても良いと思う。

重要なのは、自分が入退去を嫌うというスタンスであることを、しっかり管理会社に伝えることだ。

物件が荒れ放題になっていても、全く関知しない地主大家というのは、どこの管理会社でも沢山抱えている。

そのような地主とは違い、管理会社の怠慢によりやるべきことが出来ていない場合は、多少キツく言うぐらいの大家になるべきだ。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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