私道のトラブルで注意したい具体例

2020年12月16日5,442

原則として土地は間口が最低2m以上道路に接していないと建物を建てることができないが、その道路は公道であっても私道であっても良いとされている。

一般的に「道路」というと公道のことを指す場合が多く、公道は国や都道府県・市町村が管理している道路のことである。

一方、私道とは個人または団体などが自らの所有地を道路として管理しているものであるが、中には国や地方公共団体が所有している私道も存在する。

つまり公道か私道かの区別は、「誰が所有しているのか」ではなく「誰が管理しているのか」に起因するということだ。

私道でおこるトラブルの具体例

個人などが管理している「私道」が、国などが管理している「公道」に比べてトラブルが起こりやすいのはイメージ的に理解できるかと思うが、以下に示した図で具体的に説明していきたい。

【私道のイメージ図】

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上記イメージ図は、6mの公道に面したひとつづきの土地をAからFの6つに分割し、分譲地として販売されたケースである。

上の図で、「幅員6m市道」と表記された道路が公道である。

その公道に接しているオレンジで示した道路は、土地A〜Fの住人が使用するための私道で、「道路位置指定」と呼ばれる行政手続きを経ることで、建築基準法上の道路として扱われることが可能になる。

この私道は土地A~Fの所有者がそれぞれ持分を6分の1ずつ持っているとしよう。

私道持分とは、その私道の所有者が全体に対してどれくらいの面積を持っているかで、「○○分の○」(例えば上記の6分の1など)という形で所有権を登記するものである。

いま、土地Bの所有者が売却を考えているが、土地Bは私道にしか接面していないため、公道に出るにも敷地内の上下水道やガス管の工事をするにも、私道を利用することがもちろん必要である。

そのためBの土地の買主が私道を利用するために、下記のいずれかの措置を取らなければならない。

  1. 私道の持分を売主から取得すること
  2. A~Fの所有者全員から私道を通るための「私道通行許可」や上下水道・ガスを整備するために私道を掘って地下を利用するための「掘削同意」を得ること

他の所有者も簡単に同意してくれるだろうと楽観的に考えがちであるが、それほど簡単に私道の持分売買や利用に関する同意が得られるわけではなく、実際にはトラブルが絶えないのが実情だ。

そのため、私道を含む土地の売買において、知識のある買主の場合は「私道の持分取得または利用に対する私道の他所有者の合意が得られない限り、買主は売買契約を無効とすることができる」などの特約を契約書に追加するよう要求することもある。

私道の持分やその面積が売買の際に価格に反映されることは非常に低いのだが、私道利用の可否は土地の価格を大きく左右する重大な問題で、なおかつトラブルが絶えない複雑な取引だということを覚えておいた方が良い。

私道がトラブルになりやすい2つの理由

私道の問題がトラブルになりがちなのは、主に下記の2つの理由による。

  1. 共有者や権利者が多いこと

  1. 私道の所有者が必ずしも私道に接している土地(上の図ではA~Fの土地所有者)と同一ではないこと

1に関しては、法律上は売買契約で現所有者から持分の売却を受けることで可能であるし、それに関して他の共有者からの同意は必要ないのが原則である。

上の図の例で言うと、Bの買主はそれ以外のA〜Fの所有者の同意がなくても、売主から持分を売却してもらえば同様に私道を使えるのが原則だと言うことだ。

しかし、上の図のような分譲地で、ある土地の所有者(例えばEの所有者)が大きな発言権や影響力を持っていて、他の私道共有者に対して「第三者には私道の持分を売らせない」といった影響を及ぼす可能性もある。

例えば前所有者が近隣とのトラブルを抱えていた場合などは、持分売却は近隣の同意なくなされるのが原則であっても、私道持分を持つ他の近隣住民から様々に干渉される可能性は大いに有り得るということだ。

また、先に述べた「私道通行許可」や「掘削同意」を得ようとしても、2の私道所有者がどこにいるのかわからない場合、連絡自体が取れないということも起こり得る。

もし私道持分が得られなかった場合は、私道の所有者が遠方にいても、場合によっては海外にいるような時でも、何とかして見つけ出して同意を得なければ私道の利用自体ができない。

また、そのようにどこにいるか分からない共有者が一人ではなく複数いた場合、それぞれの居場所を突き止めて探し出さなければ、私道の利用の同意が得られないことになる。

さらに複雑なのは、私道の土地の登記簿を取得して権利者の住所を調べたところで、必ずしも登記簿謄本に記載されている住所は現在の居場所とは一致しないということだ。

役所で調べるにも個人の住所や居所は個人情報に当たるので特定するのは難しい。

何とか私道の所有者の居所を突き止めたとしても、すでに亡くなっていて複数の相続人に私道の持分が相続された後だったとなると、さらにその相続人から同意を取らなければならなくなる。

これらの通り、私道に関するトラブルは様々なケースがあり、時としてとてつもなく複雑な問題に発展する可能性を秘めている。

そのため、私道を含む土地の購入を検討する際には、売主に「私道の使用や通行に関して何らかのトラブルがないか」を早い段階で確認する必要がある。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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