投資マンション購入後に失敗しないための管理会社の選び方

2020年12月18日3,739

物件を購入後の管理をどのようにするのかが、その後の物件運営に大きな影響を与えることになる。

会社員であれば、ほとんどの人が自主管理ではなく管理会社を使うことが多いだろう。

変な会社を選んでしまい、空室が全然埋まらない状況になってしまうと、本当に目も当てられないことになる。

せっかくいい物件を購入しても、賃貸付けに弱い管理会社を選んで苦労してしまう人は少なくない。

知り合いの会社や売買時の仲介会社にそのまま任せてしまったりして、失敗するケースも多い。

一回変な会社に任せてしまうと、リカバリーに時間が掛かるので気を付けて欲しい。

私は管理会社の変更をしたことがある。

切り替え自体はすぐに出来るものの、営業マンが物件の特性を知り、募集活動が上手く回り始めるまで3ヶ月程度は掛かる。

管理会社を変更すると、大きな時間のロスが発生してしまうのだ。

自主管理をするか?それとも管理会社を使うべきか?

管理方法は大きく分けて「自主管理」と「管理会社利用」の2つがある。

自主管理とは何かというと、集金管理、募集、クレーム受付など、管理会社がやるべき仕事を全て大家であるオーナーが行う管理形態だ。

メリットとしては、管理会社に任せた場合払うことになる、月額家賃の2%-5%を削減できることだ。更新料も自分で受け取ることが出来る。

私自身は、遠方の物件を所有しているので、管理会社に任せる方法を採用している。

例え、自宅近辺に物件を所有していても、自主管理を選択することはないだろう。

管理会社に管理費用を払い、既存物件の「守り」の部分を任せるのは、費用対効果が高い投資だと考えている。

何故かと言うと、私がやりたいのは物件の管理ではなく、物件を増やすことだからだ。

物件の管理業務は意外と大変だ。

黙っていれば勝手に家賃が振り込まれて、たまに更新手続きやリフォームの手配をするだけというわけではない。

入居者からの問い合わせにもいちいち対応しなくてはならないし、それこそ1年365日常に連絡が取れる状態でないといけない。

私は、投資規模を大きくすることを念頭に不動産投資を行っているので、管理や清掃などアウトソース出来ることは任せ、物件数を増やすことに注力しているのだ。

部屋数が100を超えると、管理会社からの問い合わせや、各種郵送物の開封と確認だけで結構な時間を使う。

本業が別にあるので、そもそも使える時間も少ない。多少のお金を払って済むなら、これ以上の手間は掛けたくないのだ。

ただし、例外もある。1部屋あたりで15万円を超すような都心部の高級マンションを貸すような投資であれば、費用対効果的に自主管理の方が良いだろう。

この位のグレードの賃貸マンションなら、入居者の質も良い場合が多いので手間はあまりかからない場合が多い。

絶対に失敗しない管理会社の選定方法

管理会社を使う場合の会社の選定の方法についてだが、考えるべきことはたった一つだけだ。

「賃貸付けが強い会社」という一点だけに集中して選ぶのだ。

特に、賃貸専門の会社が少なく、管理と賃貸を併用している会社が多い地方エリアにおいては、この基準を外すと痛い目に合うだろう。

管理会社の仕事は多岐に渡る。入居者募集、入居者からのクレーム対応、集金管理、入居希望者の審査、リフォーム手配、物件の管理状況報告などだ。

しかしながら、入居者募集以外の業務は、多少やり方に問題があっても後からリカバリーをすることが出来る。

入居者募集以外の管理業務は、不動産に関連する業務の中では「簡単な仕事」に分類される。

何故かと言うと、やるべきことが決まっているからだ。しかも一つずつの仕事は決して難しくない。

部屋が多い管理会社だと、社員一人当たりで600-700部屋ぐらいを見るケースもあり、仕事自体は結構大変だ。

しかし、それは並行して膨大な業務を行うことによる難しさだ。一つ一つの仕事は、確実にやれば誰でもこなせるぐらいの難易度でしかない。

管理業務は、よほど担当者の適性がない場合を除き、成果に大きな違いは出ないし大きな失敗をすることも少ない業務なのだ。

ところが、入居者募集・賃貸付け業務は全く違う。

営業マンがどのように物件の長所を内見者に伝えるかで、成果は大きく変わってくる。

会社として賃貸に力を入れている営業力が強い会社は、入居付けのノウハウを全員で共有している場合が多い。

そのような会社は、賃貸付けにおいて結果を出すことが、不動産管理業務において最重要課題だと考えている。

こういう会社の管理物件は、空室率が高い地域でも高い入居率を維持している場合が多い。

私が物件を複数所有している山梨県は、福井県と並び空室率が30%を超える日本で一番の激戦区だ。

そこで私が管理を依頼している会社は、入居率平均95%の地元の会社だ。私自身も色々と工夫をしているが、この管理会社の努力もあり、問題なく満室経営が出来ている。

地元に昔からあり管理物件も多い会社でも、入居率が相当悪いところはいくらでもある。

こういう会社は、昔からの地主が顧客となっており、そもそも入居率が50%を切っていても「古いからしょうがない」、「人口が減っているからしょうがない」と諦めている地主たちを相手にしている。

当然ながら賃貸付けのノウハウもなく、外部から知識を仕入れて勉強するという気も全然ない。このような会社には、間違っても管理を依頼しないことだ。

管理会社選びの具体的なステップ

では、どのように賃貸付けが強い管理会社を選ぶのかというと、以下のステップで進めるのがいいだろう。

1.リサーチ
物件周辺の主要交通機関を調べ、ターミナル駅周辺の会社を3社以上目星をつける。

それらの会社に必ず事前にアポを取り、店長クラスの応対を依頼する。

2.ヒアリング
往訪する会社に管理の査定依頼を出す。どの位の家賃帯なら満室に出来るかを確認する。

3.比較検討
各社の比較を行い、一番賃貸付けが強いと判断した選定する。

非常にシンプルな行程だが、それ故に見極めが出来なかったときのダメージは計り知れない。

ここで重要なのは、複数の会社を選んでヒアリングを行うことだ。

ビジネスの基本だが、複数社から相見積を取り、いくらで何が出来るかを比べることが重要なのだ。

間違っても、最初に行った会社だけしか見ずに決めてはいけない。

管理の査定依頼を出した際には、家賃いくらであれば3か月以内に満室に出来るかを確認しよう。合わせて、管理物件の入居率なども確認すると良いだろう。

その他、こんなリフォーム技術がある(建築系管理会社に多い)、管理手数料が安いなどをメリットとして挙げてくる会社もあると思うが、それは無視しよう。

リフォームはいざとなれば自分で手配できるし、管理手数料の少しだけの差よりも入居率の方が断然重要だ。

管理会社の方から断られる場合もある

管理会社の選定を実際にやったことがなければ、どの会社も

「とりあえずうちに管理を任せれば大丈夫です!」

と言ってくるので、差が出ないのではないかと思うかもしれない。

しかし、実際に管理会社に打診を掛けるとこのように、何でも受けると言うスタンスではないことも多いことが分かる。

「この家賃だと弊社では埋めることが出来ません」

と、正直に言ってくるのだ。

管理会社からしても、出来ないことを出来ると言って後から大家にドヤされるのは嫌なのだ。

必ず満室にしてくれと強く伝えれば、それを実現できるかどうかをちゃんと返答してくれる場合が多いのだ。

管理会社からすると、管理費用数%のために無理な管理を受託してしまっては、手間や労力ばかりが掛かってしまうからだ。

潜在的に埋まらない要素を持っている物件には、誰も手を出したくない。

入居付けに自信がない場合は「うちで満室にするのは難しいと思います」と素直に回答をしてくれるだろう。

感覚的な話になるが、自信を持って「任せてください、大丈夫です」と言い切れる会社に依頼するのが良いケースが多いと私は思う。

結局は、賃貸付けも入居希望者への営業行為なので、「任せて下さい」と誠実に言える担当者がいる会社を入居希望者も選ぶからだ。

もう一点気を付けるべきなのは、物件から遠方の管理会社は極力選ばないことだ。

いくらその会社の管理物件の入居率が高くとも、地域性は市町村によって大きく異なるからだ。

遠方の管理会社ではきめ細かい対応が出来ないし、賃貸付けも結局は物件周辺の不動産会社に頼むことになる。

これでは、わざわざその会社に管理を依頼している意味がなくなってしまう。最初から物件周辺の不動産会社に管理を依頼すればいいのだ。

最近は、投資家相手に収益物件専門で管理をやる会社もあり、それらの会社の評判を聞く機会も多くなった。

このような会社に所有物件を一括で任せると、かなり楽をすることが出来る。

一人の担当者とだけ話していればいいからだ。

しかし、結局は地域で営業力が一番強い会社に任せるのが、いつの時代でも間違いなく確実な選択だと言えるだろう。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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