不動産投資において突発的なリフォーム費用はどの位見積もっておくべきか

2020年12月17日361

収益物件を保有していると、突発的な出費が発生する場面に必ず遭遇する。

地震や火事など損害保険が効く要因以外で、突発的に大きな出費が発生する可能性があるのは、大別すると次の3つが挙げられる。

・外壁塗装・屋上防水の劣化

・配管、受水槽など水回りの不具合

・退去に伴う室内リフォーム

一つ目の「外壁塗装・屋上防水の劣化対応」を、急いでやらなくてはならない場面があるとすると、それは水漏れを伴った場合である。

外壁や屋上防水を全面的に実施すると間違いなく数百万円以上(物件の規模によっては1,000万円以上)のお金が飛んでしまう。

しかし、応急処置の部分補修であれば、安ければ数万円で対応可能な場合も多くある。

水漏れが1~2か所発生したぐらいであれば、外壁全体を急いで塗り直さなくてはならないということはないと思うので、応急処置を施してから、全面補修をやるかどうかをゆっくり考える形で大丈夫だろう。

次の「配管、受水槽など水回りの不具合」は、築20年以上の物件では年1、2回程度発生する場合もある。

これらのトラブルが発生すると数万円から数十万円の出費を伴うこともある。

しかも、トラブルの性質上、入居者全体へ影響することも多く、そうなると待ったなしの状態になる。

オーナーは管理会社・リフォーム会社と相談し、即断即決で対応方針を決める必要があるのである。

複数社に相見積りをしているヒマがないことも、費用がかかる理由の一因になっている。

最後の室内リフォームは、退去に伴って定期的に発生するものである。

ファミリータイプの物件の場合、1室当たり30万~50万円の原状回復費用がかかる場合もある。

特に、長く入居していた人が退去すると、室内の大幅な補修が必要な場合も多く、こうした人の退去が一気に_ 3部屋すると、100万円以上のリフォーム費用が一度に掛かってくる場合もある。

また、敷金の返却を伴う場合があり、キャッシュフローをさらに悪化させる要因になる。

対応策としては、既存入居者が長く住んでいて、リフォームを長らく実施していない部屋が何部屋ぐらいあるのかを購入時に確認し、十分な現金を積み立てておく必要がある。

何百万円も準備しなくてよいが、常に2~3部屋分のリフォーム費用は確保しておいたほうがよいだろう。

ここまでの説明で、突発的な出費の多くは高くても数十万円単位であることが理解できたと思う。

不動産投資をしていて、500万円や1,000万円など多額の出費がある日突然発生するようなことはあまり起こらないのである。

仮に起きたとしても、地震や災害による被害は損害保険を使うことができるので、一時的に立て替える必要もない。

もちろん、いろいろなトラブルが運悪く同じ時期に重なることはあるかもしれない。

そのような最悪なケースに備えて、ある程度現金は手元に置いておく必要がある。

現金が枯渇している場合は、万が一に備えて運転資金の融資を金融機関から追加で受けるなどの対応をしておいたほうが良いでだろう。

資金調達枠を作る簡便な方法として、クレジットカードなどでキャッシングができる枠をあらかじめ用意しておくとより安心である。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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