イールドギャップを計算する目的とは?適正な水準とキャッシュフローとの違い

2020年12月13日1,000

イールドギャップは物件の収益性を測るための指標で、家賃収入(利回り)から返済にかかるコスト(金利)を引いて計算される

イールドギャップ = 利回り – 金利

賃貸経営にかかる経費が一定水準だとすると、収益性が高いかどうかは「家賃収入」「金利」の高低によって決まる。この水準を「%」で表したのが「イールドギャップ」だ。

この記事ではイールドギャップの利用場面や適正水準について解説しながら、同じく収益性を測る指標である「キャッシュフロー」との違いについても説明を行う。

イールドギャップは何のために使うもの?

収益物件の購入を行う場合、ほとんどの人が金融機関から融資を引いて物件を買う。

その際にA銀行B銀行で、融資する物件のエリア、築年、金利水準が異なるケースは往々にしてある。

例えば、東京にある「物件1」A銀行からしか融資を受けられず、大阪にある「物件2」B銀行でしか融資を受けられないとする。

この場合、物件1と物件2の収益性を比べる際は利回りの比較だけでは足りず、A銀行とB銀行の金利についても考慮しないといけない。

物件の利回りだけを比べていても実際に購入した後の収益性が高いか低いかはわからず、融資金融機関と物件をセットで比較しないといけないことがわかるだろう。

そこで登場するのが「物件の利回り」「金融機関の金利」の組み合わせに着目して算出するイールドギャップだ。

イールドギャップを使うことにより借り入れを行う際の金利を加味した収益性を比較することが可能となり、単に利回りだけで比べるよりも高い精度で物件の収益性を比較することができるようになる。

イールドギャップの数値が高い場合、利益とコストの差を大きく取れていることを意味するため、収益性が高い状態であることがわかる。

反対にイールドギャップの数値が低い場合、利回りと比べて金利水準が高いことになり、そのまま購入すると収益性の低い状態で運営を余儀なくれることになる。

以下の表で実際のイールドギャップの数値比較について解説する。

  物件A 物件B 物件C
物件価格 6,000万円 6,000万円 6,000万円
年間収入 450万円 540万円 600万円
利回り 7.5% 9% 10%
金利 2% 4.5% 5%
イールドギャップ (利回り – 金利) 5.5% 4.5% 5%

上の表の例では、価格は同一(6,000万円)で利回りと金利の異なる3つの物件を横並びで比較している。

利回りだけを比較すると、物件A>物件B>物件Cの順で収益性が高いように思える。

しかし、イールドギャップに注目するとそれぞれの物件の収益性が利回りの水準とはまったく異なることがわかる。

金利を加味して計算すると、利回りが一番低い物件Aの収益性が実際はもっとも高くなるのだ。

不動産投資では必ず物件と金融機関はセットで考えます。物件の利回りが良くても金利がそれ以上に高くイールドギャップが低ければ、少しの空室で収益がマイナスになるというケースも最悪の場合あり得ます。

イールドギャップは利回りと金利水準のバランスに着目する

先述の表のようにイールドギャップに着目すると利回りの高さだけを見てもいけないし、逆に金利の低さだけに着目しても意味がないことがわかる。

例え利回りが10%以上の高利回物件があったとしても金利が5%以上の金融機関からでしか融資を受けられないとすると家賃の大半は金利の支払いでなくなってしまう可能性がある。

同じく、金利を0%台や1%台など低い水準で金融機関から借りていたとしても、利回りが4%など低い物件を購入している場合は収益性が低く危険な投資をしている可能性が高い。

実際の投資の現場では、高利回りな中古木造物件などに融資する金融機関は金利が高いことが多く、利回りが低いが立地に優れている都心部の新築物件など融資をする金融機関は金利が低いことが多い。

しかしながら、購入者が資産を多く持っていたり収入水準が高い場合、高い金利で借りて低い利回りの物件を購入するようなバランスが悪い投資も実際は出来てしまうので注意が必要だ。

イールドギャップに足りない「融資期間」の概念

このように物件の収益性の正確性を高めるのに有用なイールドギャップだが、決して万能という訳ではない。なぜかというと融資期間の概念が含まれていないからだ。

融資期間が長いか短いかによって月々の返済額に大きな差が出てくるので、毎月の「短期的な収益」(キャッシュフロー)には大きな影響が出てくる。

たとえば1億の借り入れを15年で完済するのと30年で完済するのでは毎月の返済額は2倍以上の差が出てくる場合もある。

ただし、融資期間が30年など長ければ返済額は少ないものの残債全体の減りは遅くなる。

それゆえ「融資期間の長さ」は短期的なキャッシュフローを考える際は重要だが、イールドギャップで売却まで考えた際の収益を測る場合はそれほど重視しなくても問題ない。

売却まで考えた長期的な視野で収益性を検討する際は融資期間ではなくイールドギャップで利用する金利水準の方にむしろ着目するべきだと言える。

とは言えイールドギャップとキャッシュフローは両方とも重要な指標なのでその違いについて次項で述べたいと思う。

イールドギャップを語るうえでキャッシュフローの存在について理解することは重要です。このまま次項以降も読み進めてください!

イールドギャップとキャッシュフローの違いとは?

イールドギャップでは毎月の返済額を考慮しないため、物件購入から売却までの収益性を対象とした指標だと言える。

イールドギャップは長期的な目線での収益予測には有効な指標だが、毎月の返済を加味した月単位の収支計算には利用できないという欠点もある。

それゆえ、毎月の収支の大小を調べたい場合は返済額を組み入れた指標である「キャッシュフロー」を使う必要がある。

キャッシュフロー計算式との違い

イールドギャップの計算式とキャッシュフローと計算式を比較すると下記の通りとなる。

イールドギャップ = 利回り – 金利
キャッシュフロー = (1)家賃 - (2)経費 - (3)返済額

キャッシュフローは毎月の家賃収入から必要経費と返済額を差し引いた手残りの金額を算出する。

上記のうち「(2)経費」の部分は管理費、水道光熱費、清掃費、固都税などとなるため固定的に掛かる費用となる。

「(2)経費」の割合は大抵の物件は家賃の2割程度の一定水準で収まると考えて問題ない。それゆえ「(2)経費」の割合は物件によって変わらないという前提を置き「(1)家賃」とイールドギャップの「利回り」は同じ概念なのでこれらについても同じ物件であれば数値は変わらない。

とすると両者を比較する上で必要なのは、残っている「金利」と「(3)返済」となる。

両者を比較する上で重要なのは、イールドギャップで使う「金利」の高低とキャッシュフローで使う「(3)返済額」の大小が必ずしも一致しない場合があるという点だ。

例えば、金利が1%台など低くても返済期間が10年など短ければ毎月の返済額は多くなるし、金利が4%台でも返済期間が30年など長ければ毎月の返済額は少なくなる。

後者の例のように金利が4%と高く返済期間が長くなると実際は返済がなかなか進まず期間が長い分の利子の支払いが多くなるため、長期間で見ると収益性は低くなる。

キャッシュフローは売却まで含めた長期の収益性を測る指標として用いるのは適切でなく、長期の収益性指標はイールドギャップを用いるべきだ。

しかしながらキャッシュフローを計算することも無駄ではなく、毎月の収支がどれだけ黒字になるかを測ることにより「手元に資金がなくなる状態」を避けることが可能となる。

キャッシュフローとイールドギャップの比較例

以下の表で、価格が同じでイールドギャップと融資期間に差のある2つの物件を比べてみる。

  物件D 物件E
物件価格 6,000万円 6,000万円
利回り 8% 10%
金利 2% 2%
イールドギャップ 6% 8%
融資期間 30年 15年
返済額(年) 268万円 467万円
総返済額 8,037万円 7,004万円
キャッシュフロー 212万円 133万円

利回りが高くイールドギャップが大きくとれている「物件E」は返済額が7,004万円であるが、「物件D」は利回りが2%ほど低いため総額で8,037万円ほど返済する必要があり、金利の支払いの差は1,000万円以上となる。

しかし、キャッシュフローに注目するとこれが逆転する。

物件Dは年間で212万円のキャッフローが手元に残るところ、物件Eはハイペースで返済が進むものの年間133万円ほどしか手元に残らないのだ。

イールドギャップに着目し、物件購入から売却までの長期的な目で見たときは返済額が小さく済む物件Eのほうが物件Dよりも優れていると言える。

一方で、毎月の収益として得られる金額となるキャッシュフローの面からは物件Dのほうが優良であるということになる。

融資期間が返済額に大きな影響を及ぼすため、このような現象はよく起こる。

イールドギャップが取れて「総利益が大きい物件」と「キャッシュフローが大きい物件」どちらが投資物件として優良かは一概には言えない。

本業で十分な収入があり当面大きな資金が必要がない人は長期的な目線に立った投資をしても良いので、キャッシュフローよりもイールドギャップを重視した投資をしても問題ない。

反対に、自己資金が少なく、突発的な出費や次の物件購入に備えつつ早い段階からなるべく多くの収益を手にしたい人はイールドギャップを意識しながらキャッシュフローも重視する投資を行うべきだと言える。

近年、毎月のキャッシュフローが出るかどうかだけに着目して物件を購入している人が多いですが、この風潮は悪い面もあります。イールドギャップも考慮し「売却まで含めて利益が出るのか?」という観点も入れて投資をしましょう!

イールドギャップの適正水準は「4.5%」

ここまで読んでいただき、キャッシュフローが大きく注目されがちな不動産投資において、イールドギャップにも着目して売却時まで含めた総利益を重視した投資を行うことが非常に重要だということが分かったと思う。

イールドギャップの適正値は購入物件のエリアなどによって異なってくるものの、会社員が資産形成目的で投資を行うのであれば4.5%以上のイールドギャップを確保しておくと十分な収益が確保できる可能性が高いと言える。

利回り7%の新築物件を買うなら金利は2.5%以内に収める必要があると言うことだ。

物件を検討する際はイールドギャップとキャッシュフローの両方を用いて収益性を計算し、「長期的な利益と毎月の利益の両立が実現出来るような物件選び」をぜひ実現して欲しい。

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イールドギャップは計算式自体は簡単ですが実は非常に奥が深い指標です。ここまで読んで物件の収益性計算の本質が理解できたのであれば不動産投資にかなり精通していると言えます。長期的利益であるイールドギャップと短期的利益であるキャッシュフローの両方を備えた物件の購入をぜひ目指してください!

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(1)第98838号)を経営。
詳細プロフィール

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