レントロールから家賃収入の現状を把握し将来を予測する方法

2020年12月17日1,534

不動産業者に物件資料を請求する際は、レントロールも同時に請求するようにしよう。

レントロールとは

「レントロール」とは、物件の現在の賃貸状況を示す一覧表であり、満室想定家賃・満室想定利回りや現況家賃・現況利回りを把握し、将来を予測するために有用なので、絶対に入手しておきたい

レントロールは以下のサンプルのような一覧表になっているのでイメージをつかんでいただきたい。

尚、サンプルでは単純化のために敷金などの一時金の記載については省略したが、不動産業者によっては現在の預かり敷金の額や月額賃料に対する月数、満室想定時に預かることが可能と思われる敷金額も合わせて記載している場合もある。

レントロールサンプル

●●マンション 賃貸条件一覧
 
号室 賃貸面積 現況 満室想定
賃料 共益費 賃料 共益費
101(店舗) 180.00㎡ 600,000円 0円 600,000円 0円
201 50.00㎡ 100,000円 5,000円 100,000円 5,000円
202 50.00㎡ 110,000円 5,000円 110,000円 5,000円
203 50.00㎡ 100,000円 5,000円 100,000円 5,000円
205 50.00㎡ 115,000円 5,000円 115,000円 5,000円
301 50.00㎡ 空室 0円 100,000円 5,000円
302 50.00㎡ 90,000円 0円 90,000円 5,000円
303 50.00㎡ 空室 0円 100,000円 5,000円
305 50.00㎡ 100,000円 5,000円 100,000円 5,000円
401 50.00㎡ 95,000円 0円 95,000円 5,000円
402 50.00㎡ 95,000円 0円 95,000円 5,000円
403 50.00㎡ 100,000円 5,000円 100,000円 5,000円
405 50.00㎡ 160,000円 5,000円 160,000円 5,000円
駐車場1 10,000円 0円 10,000円 0円
駐車場2 10,000円 0円 10,000円 0円
駐車場3 10,000円 0円 10,000円 0円
駐車場4 空き区画 0円 10,000円 0円
合計 780.00㎡ 1,695,000円 35,000円 1,905,000円 60,000円

 

物件価格 235,800,000円

現況年額賃料

(共益費込)

20,760,000円

満室想定年額賃料

共益費込

23,580,000円
現況利回り 8.8% 満室想定利回り 10.0%

レントロールから推測できることとは

サンプルのうち、302号室と405号室の現況賃料を比較していただきたい。

同じ賃貸面積なのに、302号室の賃料が90,000円、405号室の賃料が160,000円となっている。

他の区画の家賃は90,000円から115,000円の範囲となっているが、405号室の家賃だけ飛び抜けて高い。

この理由は貸主(現在の所有者・売主)と入居者の間に何らかの特殊な事情がある場合もあるが、そうでないなら405号室の入居者は恐らく新築時から入居しており、対して302号室は比較的最近入居者が入った部屋ではないかと推測ができる。

一般的に賃貸物件の家賃は新築時が一番高く、その後は建物の築年数が増加するとともに低下していくので、新しい入居者の賃料は新築時に比べて低くなる傾向がある。

一方、一度契約した賃料は一度に大きくは下げにくいので、建物が新しい時点や新築時に契約した入居者の賃料は一般的に高い傾向がある。

そのため、サンプルの例で405号室の入居者が新築時から入居しているのであれば、新築時には新築プレミアムのついた家賃設定をしたため高い賃料を取れていたが、その後他の部屋は入居者が入れ替割ったため中古マンションとしての家賃設定になり、大きく家賃が下がったのではないかとの推測もできる。

実際には現地調査をした上で推測の裏付けを取る必要があるが、現在の405号室の入居者が退去して新しく入居者を募集する場合や現在空室の部屋に入居者を入れる場合は、一番低い90,000円程度の家賃しか取れない可能性がある。

その他にも将来的に405号室の入居者からいくらかの賃料減額請求を受けるリスクもあるかもしれない。

満室想定家賃の欄に405号室の賃料は160,000円と記載されているが、不動産業者が想定家賃相場を誤っている場合や先読みが楽観的な場合もある。

満室想定家賃は周辺相場の影響などは受けるものの、基本的には不動産業者の裁量で設定して提示できるものなので、こういった検証は自分でしておくことが重要なのだ。

入居者入れ替えの際の受け取り可能家賃も推定できる

このサンプルの物件を購入したとしよう。

その後数年が経つと、当然ある程度は入居者の入れ替えが発生するだろう。

その際に仮に現在の入居者の全てが入れ替わったとする。

そうすると、入居者の家賃は全て「中古物件」としての家賃設定になるため、レントロール中で最低賃料である302号室の90,000円となる。

また、現在は共益費として大部分の部屋で月5,000円を徴収できているが、302号室を含む一部の部屋では徴収できていない。

これは共益費を徴収しないことで実質的に入居者の家賃負担を切り下げて入居者を募集する必要が出てきているためと推測できる。

そのため、入居者の入れ替えによって徴収可能な家賃・共益費の総額が下がってしまった場合の利回りも計算してキャッシュフローがプラスになるかを検証する必要がある。

この検証を怠って不動産業者の提示する満室想定利回りを鵜呑みにしてしまうと、数年後にキャッシュフローがマイナスになってしまう危険性があるのだ。

サンプルの例で1階店舗と駐車場の賃料は据え置き、201号室以下全ての住戸の賃料が月90,000円、共益費が徴収できなくなったと仮定すると、満室想定年額賃料は20,520,000円と、不動産業者の提示する23,580,000円から約13%も下がる。

この場合の満室想定利回りは8.7%となるので、これでもキャッシュフローがプラスになるかの検証が必要になるのだ。

レントロールを入手することで多少の推測を含むとしても、これらのある程度詳細な検討を実際に現地の詳細調査を行う前に机上でできる。

レントロールは有用性の高い資料なので、ぜひ入手するようにしたい。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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