レインズに極秘物件はあるのか

2020年12月17日5,648

レインズとは、Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)の略だ。

国土交通省から特命を受けている社団法人である「不動産流通機構」が、会員制のウェブシステムとして運営している。

不動産流通機構の会員である宅建業者にしかIDが発行されないため、一般の不動産投資家が直接アクセスすることは出来ない。

簡単に言うと、不動産業者同士が情報交換するための物件情報サイトなのだ。

レインズはどのように使われているのか

レインズには賃貸と売買両方の情報があり、物件も土地、区分、一棟、ホテル、など様々なものがある。

売り物件の場合、まずは元付となる宅建業者が物件の情報をレインズにアップロードする。

客付けを行う仲介会社が、その情報を見て元付会社に問い合わせを行う仕組みだ。

賃貸の仕組みも基本的には変わらない。

レインズを利用しない場合は物件情報を不動産会社同士が直接紹介し合う形になる。

レインズを利用するメリットをプレイヤーごとにまとめると以下のようになる。

【物件の売主】
多くの不動産会社に買い手を探してもらえるので、適切価格で早期の売却が期待できる。

【不動産仲介会社(売り側・貸し側)】
他社の扱っている幅広い物件を購入・賃貸希望者に紹介できるため、仲介のチャンスが広がる

【不動産仲介会社(買い側・借り側)】
情報交換をしていない不動産会社からも、賃貸・売買物件の情報を得られる

また、媒介契約ごとに以下の登録義務がある。

媒介契約の種類 契約の概要とレインズへの登録義務
一般媒介契約 複数の不動産仲介会社と媒介契約が可能で、自分で買主を見つけることも出来る。レインズの登録義務はない。
専任媒介契約 契約した1社以外の他の不動産仲介会社との媒介契約は不可。自分で買主を見つけることが出来る。
不動産仲介会社は、売主に2週間に1回以上の業務状況の報告義務があり、レインズの登録義務がある(媒介契約日から7日以内)。
専属専任媒介契約 専任媒介契約と同じく、他の不動産仲介会社との媒介契約は不可で、自分で買主を見つけられない。
不動産仲介会社は、売主に1週間に1回以上の業務状況の報告義務があり、レインズの登録義務がある(媒介契約日から5日以内)。

上記の表のとおり、専任媒介契約と専属専任媒介契約では物件情報をレインズに載せないといけない。しかし多くの不動産会社はそれを行っていないのが実態だ。

レインズに全ての売買情報が載っているわけではない理由

正確な数は誰もわからないが、流通している不動産情報のうちレインズに載っているのはどんなに多く見積もっても3割はいかないだろう。

なぜ取り決めがあるに関わらずこのような状況になるのかというと、レインズに載せるとデメリットが沢山あるからだ。

勝手に自社のホームページに物件情報を上げてしまう業者や、「飛ばし」を目論み登記簿から売主を見つけて媒介契約の交渉をしだす業者が最たる例だ。

これらはたまに発生するという程度の頻度ではなく、レインズに売買物件の情報を載せると必ず発生する。
(もちろん物件の情報にもよる。100万円など低額の売り物件情報だと見向きもされないだろう。)

このようにレインズに掲載すると問い合わせも増えるがデメリットも多くあるのだ。

これは不特定多数の不動産会社の目に晒されることになるのでどうしようもない。

もう一つ、不動産会社側がレインズに掲載しないことの理由として、出来るだけ自分の顧客の同士で売買を成立させたい欲しいという思惑があることが挙げられる。

これがレインズに物件を載せないことの一番大きな理由だ。

何故なら、自社が売り買い両方の仲介を一つの物件で同時に行えば、3%の仲介手数料を売主からも買主からももらえるからだ。

そうすると手数料は合計6%になる。5億円の物件を売れば3,000万円も手に入るのだ。

レインズで買主を見つけた場合は、買主側の仲介手数料3%は買主側の仲介会社が得ることになる。

5億円の物件を売っても1,500万円しか手に入らない。

手間はさほど変わらないにも関わらず、得られる手数料は半額だ。

売却の検討をする際には、このような不動産会社の思惑をよく理解して、自分自身でどのような販売戦略を取るかの適切な判断をする必要がある。

レインズにお宝物件は載っているのか?

ここまでの説明で、レインズの大体の位置づけや使われ方は理解できたと思う。

しかし実際に、どのような物件が掲載されているのかというのが気になる人もいると思う。

結論を言ってしまうと、レインズはお宝物件が沢山掲載されているサイトではない。

物件の検索サイトには出ていない情報も当然ながら存在するが、だからと言って割安なものがたくさん転がっているわけではないのだ。

先述したとおり、良い物件は自社内の顧客同士で売買をして欲しいので、不動産会社はまず自社の顧客へ情報を流す。

そこで決まらない場合は、懇意にしていて仲がいい会社に物件の情報を出すことになる。

物件を買いたい場合、ネットやレインズに載っている物件から探すことも必要だと思うが、不動産会社から優良顧客として扱われた方がいい情報を流してもらえる可能性は高まる。

レインズに掲載してネット公開まで許可するのは、最後の手段だからだ。

そう考えると、物件を売りたいと思っているマンションオーナーにとっては、レインズに掲載して広く募集した方がいいように思える。

しかし実態はそんなに単純ではない。レインズに掲載して物件が出回ってしまうと、情報の秘匿性がなくなってしまう。

「ここだけの非公開物件です」という言い方で売り抜けることが出来なくなるのだ。

我々は騙されてはいけないが、この決め言葉は買主に意外と響く場合が多い。

広く出回っている出がらし物件は、誰も買いたくないのだ。

売却する際にどういう戦略を取るかの判断は仲介会社と相談する必要がある。

早く売りたい場合はレインズに掲載するのも手だが、高く売りたいのであればレインズへの掲載は必ずしも得策ではない場合も多いだろう。

レインズに限らず、いい情報だけが掲載されている秘密のサイトのようなものは、残念ながら存在しない。

不動産会社と地道なコミュニケーションを取り続けることが、良い物件を購入するための唯一の方法なのだ。


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この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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