収益物件の概要資料・レントロールの目利き7(新潟鉄骨物件)

2020年12月17日3,486

新潟の鉄骨物件の資料を見ながら、概要資料とレントロールを見る練習をしよう。

学生をターゲットにしている物件だ。

平成8年築の鉄骨造で、利回りは11.82%だ。しかも満室で稼働している。

2014年以降は物件価格が高騰している傾向にあるので、このような物件も購入対象にしている人が大勢いる。

あなたは欲しいと思うだろうか?

この物件は鉄骨だが、鉄骨の耐用年数は34年だ。築20年程度のこの物件の残耐用年数は14年しかない。

利回りが11.82%で融資期間が14年だと、キャッシュフローは恐らく出ないだろう。

金利2%の元利均等返済・融資期間14年で試しに計算してみよう。

以下が銀行の収益評価の簡便的な計算方法になる。

現況家賃 × 0.85(空室リスク) × 0.8(管理費・固都税)

この計算に当てはめると、年間キャッシュフローはマイナス66万円だ。

銀行が融資する際は更にストレスを掛けて金利は4%で計算する。融資審査は通らないだろう。

積算評価も厳しいことが、詳細な計算をしなくてもわかる。

建物は970㎡あるが、鉄骨物件だ。再調達価格を18万円で計算すると、建物の評価額は約7,000万円になる。

土地は568㎡あるが、地目は畑だ。

売価の1.3億円には6,000万円足りないが、調べるまでもなくこの土地が10万円/㎡未満の価値しかないことは明らかなので、大きく積算評価割れしていることになる。

収益面からも積算評価面からも厳しい物件だということが分かる。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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