不動産価格の変動要因と買いタイミングを計る方法について

2020年12月17日1,097

不動産市場は自由相場なので、一定ではなく常に変動している。

不動産流通標準情報システム(レインズ)の成約情報を利用した、東京証券取引所が公表している「東証住宅価格指数」など不動産価格の推移を知るための情報は数多くある。

このような不動産の価格変動に影響を与える要素は、景気や需要、住宅ローンの金利、人口動態など数多く存在する。

その中で最も影響を及ぼすと考えられているのが国の政策である。

不動産取引の90%以上が金融機関の融資によって成立している。

融資が出やすい状況になれば不動産取引は活発になり、融資が渋られれば取引は減少することとなる。

では、金融機関が融資について判断する基準は何か?それは政府や日本銀行の政策や考えを重要視している。

言い換えれば、国が不動産価格を決めているとも言えるであろう。

そのような根拠により、不動産投資を行う上で日本銀行の金融政策は見逃すことができない判断材料となる。

1980年代後半から91年のバブル景気は政府や日本銀行の財政・金融政策により景気が過熱となることによりもたされた。

円高不況の問題を抱えていた政府は、金融緩和政策を行い株価や地価の急激な高騰につながる事となった。

その結果、不動産価格を沈静化させるための方法として、1990年に政府は不動産向け融資を抑制するための「総量規制」を金融機関に通達した。

そうなると、融資を利用して不動産を購入することができなくなるので不動産価格は大幅に下落して、バブル経済が崩壊した。

その後「失われた20年」と言われる時代の幕開けである。

近年では長期間続いたデフレーションを脱却するために数多くの経済政策を打ち出しており、その1つが大規模な金融政策である。

日本銀行は2%の物価上昇率を目標として無期限の量的緩和策を用いている。

このような政策の影響もあり、バブル時代の経験を忘れていない金融機関は、不動産に関する融資姿勢が変わり、積極的な融資姿勢とりはじめたのである。

数字的にも、不動産価格は2012年半ばを底に、値上げに転じてきている。

不動産価格上昇を味方にする

不動産価格が政府や日本銀行の政策に大きな影響を受けるというとうことが理解できた所で、自分自身の不動産投資への活用法を考えていこう。

理想的な方法は、景気が最も悪くなったと思われるタイミング、近年言えば世界同時不況の直後に割安となった物件を取得する方法である。

しかし、現実的には難しい方法である。その理由としては、不動産価格全体が下落する状況で金融機関の融資姿勢がとる方向性を考えればすぐにわかる。

当然、融資には積極的な姿勢で取り組むとは考えにくい。

そうなると、手元に現金のある投資家しか理想的なタイミングで不動産は取得できないと考えるべきであろう。

反対に、金融緩和の中で積極的な融資が受けれる場合はどうか?

おそらく不動産取引は活発になり投資用の割安物件が少ない状況となり、安易に不動産投資をすべきでないであろう。

では、一体どのようなタイミングが良いのか?

それは、日々マーケットの動きを観察して、不動産価格が底値から上昇に転じたと判断できる状況となり、金融機関が融資に前向きな姿勢となり始めた時と言える。

不動産価格の変動は数ヶ月単位や1年単位で観察していても完全に波に乗り遅れる。

毎日不動産情報をチェックする意気込みと、不動産を取得する予定がなくとも、金融機関の融資担当者と定期的に世間話でも行い融資姿勢の情報を聞くという地道な作業が投資のチャンスをつかむ方法であろう。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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