借地物件を検討するべきか

2020年12月17日516

不動産投資をやっていると借地物件を良く見かける。

利回りが高い場合が多いので購入したいと考える人も多いと思うが、基本的には見送った方がいい場合が多い。

借地物件とは何なのか?

借地物件が適用されている法律には、「旧法借地」と「借地借家」の二種類がある。

平成4年7月31日以前の「旧法借地」は借主の権利が非常に強い。地主はやむ得ない程の正当な事由が無い限り更新を拒絶できないのだ。

ここで平成4年7月31日までの旧法借地と、それ以降の借地借家法について少々説明を加えよう。

借地法(旧法借地)は大正の時代からあった法律だ。戦後間もない時期までは土地価格も安く、土地を貸すことにより現金収入(地代収入)が入ってきたので、地主は借地をするメリットは十分あった。

しかし、高度経済成長期を経て土地価格が高騰してくると事態は一変する。割安な地代で半永久的に返ってこない借地は地主さんから好まれなくなり、全国的に借地の供給量が大幅に減少してしまったのだ。

そこで平成4年に借地法等が廃止され、新しく「借地借家法」が制定された。契約期間の延長を拒める「定期借地権」制度等が施行され、借地に関する法制度は大幅に変わった。

しかし、法改正によりそれまで土地を借りていた方にとっては不利になってしまう恐れがある。法の不遡及の原則より、平成4年8月時点で土地を借りていた借地人は、更新などの借地人に有利な事項に関しては引き続き廃止された借地法が適用されることなった。

借地法は実質存在したまま「旧法借地」として現在に至るのだ。

借地物件のメリットは利回りが高いことだ。

借地代が別途必要となるので、その分を収入から引かないと表明利回りが計算できないが、それでも通常の物件よりは高い利回り設定になっているはずだ。

また、土地の固定資産税・都市計画税もかからない。

通常は一定期間を定めて契約を行い、更新時は別途費用を更新料として所有者に払うことになる。この分の費用も計算に入れる必要があるだろう。

旧法借地であれば更新も出来るので借地のメリットは大きいと考えるかもしれない。しかし問題点もある。

借地物件は融資付けが難しい

借地物件は建物の価値しかない不動産なので、銀行の評価が著しく悪いのだ。

高い割合での融資を受けることは不可能となり、現金の手出しが必要なケースが多い。

それではそもそも購入する人がいないのではないか?と考えると思うが、実際は融資がついてしまう場合もある。

一棟目の購入にこういう物件を持ち込んだケースだ。

ノンバンクなどで、最初にこういった評価の低い借地物件を購入してしまうと、2棟目以降の展開が大変困難になる。

すなわち、1棟目は個人の属性だけで評価の低い借地物件を購入できてしまったわけだが、2棟目以降は1棟目の積算評価を銀行は確認する。

その時に、5,000万円で購入した借地物件の評価が2,000万円しかないと判断されると、追加の融資は大変難しくなるだろう。

借地物件は、返済が進んだとしても出口戦略が描きにくく、初心者には難しい投資だ。

相場観も測りづらく、果たして売買金額が割安なのかの判断もしにくいケースが多い。

購入の目安となる基準は、良い立地で利回り15%-20%だ。このような物件でない限り、見送った方が無難だろう。

そもそも、借地の物件には手を出さないという基準を持っていても良いと思う。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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