収益物件を複数同時に買うとローンが通りやすくなるのは本当かウソか

2020年12月17日2,812

物件を複数同時に買えば融資が降りやすいという提案を、不動産会社から受けたことはないだろうか?

どのような仕組みで融資が降りやすくなるのか、疑問に思う人もいると思う。

一言で言うと、融資する銀行がCICなどの個人信用情報に残債の情報を登録する前に、違う物件の融資を他の銀行に申し込むという簡単な仕組みだ。

同時に二行から借りた場合、双方の銀行の残債はまだ信用情報に登録されていない状態で決済を迎えるので、借りやすくなるというわけだ。

信用情報に載ると融資残高がわかってしまう

信用情報(CIC)について補足しよう。

CICとは信用指定情報機関のことで、信用情報機関はその他にJICC(日本信用情報機構)と銀行のネットワークである全国銀行個人信用情報センターがある。

消費者金融から借り入れを行った際や、クレジットカードの延滞があった場合は、これらの信用情報機関にその情報が一定期間載ってしまうため、ローンが降りにくくなりクレジットカードなども作れなくなる。

ローンなどの借り入れを行った場合もこれらの機関に登録され、各社からの残債などがわかる仕組みになっているのだ。

このように、個人の信用情報の情報連携を行えるようにして、返せない可能性がある人には貸さないようにしているのである。

金融機関は、審査の際に個人の与信がどうなっているかを知る必要があるため、融資実行前に必ずこれらの情報を確認する。

この仕組みを厳格に運用している欧米では、貸出額や貸出先だけでなくレーティング(信用度)が数値で付く。

日本ではこのような格付け的な運用までは至っていない。

残債を隠してもいずれ必ず金融機関にバレる

同時に複数棟購入するのは、信用情報に載る前に決済して、あたかも残債がないような状態で複数の金融機関から融資を引くことを目的としている。

この同時に複数の金融機関から融資を受ける手法の最大の難点は、いずれ必ず銀行にバレるという点だ。

何故かと言うと、期末になれば確定申告書を作る必要があり、保有不動産の情報は必ず掲載しなくてはならないからだ。

年度末を過ぎると、確定申告書の提出を融資銀行から求められるので、そこに記載されている不動産の取得年月日を見て、同時購入していたことがわかってしまうだろう。

しかし銀行に対して本人に申告義務があったのかというと微妙な問題だ。

申し込みの時点では買っていなかったが、融資が進んだ段階で同時並行となってしまい言いそびれてしまったという言い訳は、一応出来るかもしれない。

その言い訳がどの程度受け入れられるかはわからないが、銀行への確実に信用は損ねる。

よほどやむを得ない場合を除き、同時購入は慎重に進めた方が良いだろう。

そもそも、このようなことを提案してくる不動産会社は、新築やワンルームをノンバンクを使って提案してくる会社に多い。

扱っている物件の評価が非常に低いので、同時購入を行わないと何戸も買い増すことが出来ないのだ。

そのような会社は割安な物件を提案してくることがあまりないので、よほど良い条件の提案でない限り、安易に乗らない方が賢明だ。

ちなみに新設法人で融資を受けるのであれば、他の金融機関からはその法人の存在がわからない場合が多い。

給与所得をその法人から得ない限りバレようがないのだ。その場合はそもそも同時に融資を受けることの意味があまりない。

同時購入よりも、新設法人のスキームを使う方が賢い選択だと言えるだろう。

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この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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