【駐車場経営】月極駐車場やコインパーキングは儲かるのか?

2020年12月16日2,802

不動産の投資対象として見た場合、駐車場経営は魅力的と言えるだろうか?

地方と都心部では状況が大きく異なり、また月極駐車場とコインパーキングでも収益は変わってくる。

今回は駐車場経営のメリットとデメリットを洗い出し、アパート経営との収益比較も含めて駐車場経営の魅力は何かを確認していこう。

そして本当に儲かるのかを検証していくこととしよう。

たくさん並んだカラフルなミニカー

不動産投資として見た場合の駐車場のメリットとは

まず不動産投資としての駐車場経営の代表的なメリットを確認しておこう。

  1. 災害に強い
  2. 転用しやすい
  3. 管理が容易
  4. アパートやマンションよりも価格帯が低め
  5. 融資の利用で自己資金よりも大きな投資が出来る
  6. 狭い土地や変形地の有効活用が出来る

1.災害に強い

地震などの災害によりアパートやマンションが被災して修繕が必要になる場合でも、青空駐車場や単純なコインパーキングの場合は被災による影響は軽微で済む場合が多い。

被災地のコインパーキングであっても、被災地支援に来ている車の需要で被災後も収益を上げ続けてくれるという実例もある。

基本的に駐車場経営は「災害に強い」と言えるだろう。

2.転用しやすい

土地にアパートやマンションを建てた場合、「借地借家法」により他の用途への転用は困難になってしまう。

アパートやマンションの賃借人は借地借家法により守られているため強制退去は難しく、他用途への転用はそう簡単ではないのだ。

しかし駐車場であれば事前の通告のみで利用者に立ち退いて貰うことが出来る。

また駐車場は他の用途の土地からの転用もしやすいので、住宅地の空き地の有効活用としても使われる。

駐車場は用途地域制限などの規制がゆるやかなので、住宅地でも低層住居専用地域以外なら専用駐車場に転用することはある程度可能なのである。

3.管理が容易

賃貸住宅との圧倒的な違いは管理の容易さだ。

機械式の駐車場であってもガス・水道設備は不要であるし、トラブルやクレームも少なくアパートやマンション経営と比べると手間が殆どかからない。

4.アパートやマンションよりも価格帯が低め

収益不動産として探してみると規模の小さな駐車場であれば都内でも数百万円から見つける事が出来る。

それらの中にはマンション内の駐車場部分だけを売りに出している場合もあるが、利回りは比較的高めの物件が多い。

また地方などでも車2台ほどのスペースしかない駐車場もあるが、低価格でも高利回りになる青空駐車場もあるため、低価格で取り組める不動産投資対象として見る事も出来る。

5.融資の利用で自己資金よりも大きな投資が出来る

アパート購入と同様に融資を利用する事が出来るので、自己資金の何倍もの投資をする事が出来る。

建物の付属物になっている駐車場など融資付けが難しい物件もあるが、立地などの条件や個人の属性が良ければフルローンが出る可能性もある。

6.狭い土地や変形地の有効活用が出来る

アパートや戸建てを建てるには適さないような狭い土地や変形地でも駐車場としてなら収益を上げる事が可能であり、土地の有効活用をすることが出来る。

不動産投資として見た場合の駐車場のデメリット

メリットと同様にデメリットを挙げると代表的なものは以下である。

  1. 利回りはアパート経営よりも低め
  2. 固定資産税が割高
  3. 相続時評価額が高い

1.利回りはアパート経営よりも低め

一般的なアパート経営よりも管理運営に手間はかからないが、敷地面積における利回りとしては低くなりがちだ。

また投資額に対する利回りもアパート経営と比べると特に月極駐車場の場合は低くなっている。

2.固定資産税が割高

土地にアパートなどの住宅がある場合は固定資産税が1/3 から1/6程度になる軽減措置があるが、駐車場の場合は軽減措置の対象外になる。

よって同じ土地でアパート経営をした場合と比べると固定資産税は6倍になってしまう可能性がある。

3.相続時評価額が高い

駐車場の土地は相続税の評価において更地と同じ評価になるので、「貸宅地」や「貸家建付地」に適用されるような評価減を受ける事が出来ない。

よって上物の賃貸住宅がある場合に比べるとどうしても相続税は高くなりがちだ。

コインパーキング

月極駐車場 vs コインパーキング vs アパート経営の収支は?

以上、メリットとデメリットを確認する事で駐車場経営を新たな不動産投資対象とする場合の判断材料になるだろう。

しかし駐車場経営の形態は大きく月極駐車場とコインパーキングに分かれるので、ここでアパート経営とも比較してその首都圏での収支例を見てみよう。

月極駐車場収支例

  • 場所:岐阜県岐阜市
  • 月極駐車場:駐車8台分
  • 土地購入代金:2,680万円
  • 月極駐車料金:13万円/月
  • 年間収支:156万
  • 利回り:5.23%(満車時)

コインパーキング収支例

  • 場所:千葉県内の住宅地
  • コインパーキング:駐車8台分
  • 土地購入代金+機器設備費など:2,720万円
  • コインパーキング料金:100円/30分(平日日中)
  • 年間収支:365万
  • 利回り:13.4%(平均約30%稼働時)

アパート経営収支例

  • 場所:千葉県市川市
  • 木造一棟アパート(築33年):1R×6戸
  • 物件代金:2,680万円
  • 家賃:3万7,500円/戸
  • 年間収支:270万
  • 利回り:10.07%(満室時)

同じ敷地面積当たりの収支で見ると月極駐車場よりもコインパーキングの方が効率的である。

可能であれば月極駐車場代金相当を借地料として支払って土地を借り、コインパーキングを運営するという方法も有効だ。

立地などの条件さえよければ、アパート経営よりもコインパーキングの方が「手間が掛からないという駐車場経営のメリット」を享受しつつ「利回りの良い投資対象」にもなり得ると言える。

まとめ

結論として不動産投資として見た場合の駐車場経営は、従来の月極駐車場方式での運営では儲かるとは言いがたいだろう。

月極の場合は利回りがさほど高くなく、アパート経営と比べると魅力が乏しいようにも見えるのだ。

しかし運営の手間はあまり掛らず融資を使って自己資金が少なくても運用できることなどのメリットも大きい。

単純に儲からないからと言って駐車場経営の可能性を排除するのではなく、そのメリットとデメリットの特徴を踏まえた上で投資対象として見る事で不動産投資の間口も広がるのだ。

また立地によってはコインパーキングで上手く運営すれば効率よい投資先となり「儲ける」事も可能だ。

アパートやマンションの物件を探すのと同様に日頃からコインパーキングの候補地も含めて物件探しのアンテナを貼っておこう。

複数の投資対象を持つことで投資の幅が広がり、リスクヘッジにもなるだろう。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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