「不動産投資で自己破産」は避けられる?失敗する2つの決定的理由
レオパレス問題にかぼちゃの馬車事件…、不動産投資で破産に追い込まれる人のニュースが世間をにぎわせている。投資として動かす金額が大きいだけに「不動産投資で失敗=自己破産」を思い浮かべる人も多いだろう。
たしかに、不動産投資で破産する人は存在する。だが、失敗する理由を知れば破産は確実に避けられる。今回は、不動産投資で破産する2つの理由と防ぎ方、実際に破産したらどんな末路をたどるのか紹介していこう。
目次
不動産投資の自己破産率は「0.2%」
不動産投資というと、大損や破産のイメージがつきまとう。しかし、実際に不動産投資で破産する人は少なく、収益目的のマンションやアパートの融資で有名なスルガ銀行の顧客で破産した人の割合(2016年)はわずか0.2%だ。
ただし、サラリーマン大家など不動産投資以外の収入がある場合、破産とまではいかなくても破産寸前のぎりぎりで踏みとどまっているケースはかなり多い。
不動産投資ででた赤字を会社からの給与で補填しながら首の皮一枚繋がっているような状態だが、副業で豊かな生活を手に入れようとして不動産投資を始めたのに、そんな状態に陥ってしまっては本末転倒だ。
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不動産投資で自己破産する人の2つの失敗理由とは?
では、不動産投資で自己破産するような人たちは具体的にどんな失敗をしているのか。代表的な2つの失敗理由を紹介しよう。
破産理由1:キャッシュ不足で困窮…資金繰りに失敗してしまう
不動産投資で破産してしまう理由として第一にあげられるのが「資金繰りの失敗」だ。資金(現金)が足りなくて修繕費などの必要な費用が払えなくなり破産にまでいたるケースは多い。
たとえば、ローンを組んで築古の木造アパートを1棟購入したとしよう。築古物件は利回りが高いというメリットがあるが、建物が古いだけに修繕費用もかさみがちだ。
また、賃借人の退去時には、原状回復費用やあらたな入居者募集のために広告費などがかかる。原状回復費用は賃借人からクリーニング費程度しか徴収できないうえに、部屋の状況によってはリフォームが必要になることもある。
それなのに、手持ち資金を物件購入時の頭金や諸費用などで使い果たしてしまっていたらどうなるか。原状回復にあてる資金もなく放置された部屋ではあらたな客付けをするのは難しいだろう。
荒れた部屋で広告費も十分かけられない状態では、退去者がでるごとに空室は増えていく。空室が増え家賃収入が得られなくなりローンの支払いが不能になると、いよいよ物件を手放さざるを得なくなってしまう。
しかし、空室が多い収益不動産は、物件の値段を極端に下げないとなかなか買い手がつかない。結果として、組んだローンの残債以下の値段でしか物件が売れずに、大きな借金だけが残ることになる。
利回りの良い不動産をみつけたと思って舞いあがり、無理してローンを組んで物件を購入した結果、運営資金が足りなくなって不動産経営が破綻してしまうのだ。
具体的には、次のような物件で失敗することが多い。
- 物件:築18年の一棟アパート
- 価格:3,000万円
- 家賃:350万円/年(利回り11.67%)
- 経費(光熱費・管理費など):70万円/年
- 融資期間:15年(フルローン)
- 金利:3.0%
- 構造:木造(1LDK35平米)
上記物件はなかなかの高利回りのため、フルローンで融資がひけたなら多少無理をしてでも手に入れたいと思うかもしれない。
しかし、融資期間が15年と短く毎月の返済比率が高くなっているため、この条件では手残りとなるキャッシュフローはほとんどでない。
いくら高利回りであってもキャッシュフローがでない物件の場合、予想外の修繕費用が発生した時や入退去時のリフォーム費用を家賃収入でまかなうことができないので、別途自己資金としてキャッシュを用意しておかなくてはならない。
手持ち資金が少ない状態で入退去が頻発して、その都度リフォームに1室30万円もかかってしまっていたらどうなるか。
高利回り物件を手に入れることができたと思っていたのに、たびかさなる修繕費やリフォーム費用が重くのしかかり、資金繰りが厳しくなって物件を手放さざるを得なくなってしまう。
物件を購入する際に、その後の運営資金を考慮せず手持ち資金を全部使い果たしてしまうと、こういった破産ケースに陥りやすくなるのだ。
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破産理由2:利益はマイナス…? 収益性の低い物件を買ってしまう
不動産投資で破産してしまう理由でつぎに多いのは、収益性の低い物件を購入してしまっているケースだ。
1.物件購入後に利回りが激減するケース
不動産を購入する時には、少しでも条件の良い物件を探すだろう。しかし、当初は条件の良い物件だと思って購入したのに、じつは収益性の低い物件で破産に追い込まれてしまうということもある。たとえば、次のような物件だ。
- 物件:1棟アパート
- 購入時物件価格:12,000万円
- 満室時利回り:8%
- 満室時家賃収入:960万円/年
- 家賃8万円/月×10戸
上記の物件は、とある一流企業の社員寮として一括借り上げされていた。企業が物件を借り上げている間は、なにもしなくても満室状態が続き、利回りも入居者の質もよかった。まさに安定経営の好条件物件に思える。
しかし、企業との契約期間が過ぎたらどうなるか。企業の社員たちはいっせいに退去し、空室が発生する。
企業が新築の時から長期にわたり一括借り上げを続けていてくれたとしたら、新築プレミアムの高い賃料を継続していた可能性が高い。
あらたな入居者を募集する際には、家賃を大きく下げる必要があり、物件の利回りは大幅に低下することになる。退去後の収益はつぎのようなイメージだ。
- 購入時物件価格:12,000万円
- 満室時利回り:6%
- 満室時家賃収入:720万円/年
- 家賃6万円/月×10戸
物件購入時には毎年960万円の安定収入があると思ってローンを組んだのに、数年後には満室時でも720万円にしかならず、想定よりも240万円も低い年間収入になってしまう。想定利回りも8%から6%にまで下がってしまっている。
利回りの良い物件を買ったつもりが、収益性の低い物件に変わってしまうのだ。
この物件を一般的なスルガ銀行の4.5%のフルローンで購入していたとしたら・・・。満室状態でやっと必要経費がまかなえる程度の利益にしかならないだろう。
しかも、入居者が一斉退去したあと、すぐに物件を満室にするのはかなり困難だ。採算があわなくなり、泣く泣く多額の売却損をだして物件を手放すはめになるケースも多い。
収益性が低い物件で空室が続いてしまうと、結果的に破産という言葉が現実味をおびてきてしまうのだ。
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2.新築ワンルームマンションを買ってしまケース
新築ワンルームマンションのしつこい営業電話をうけて辟易した経験のある人も多いだろう。「新築ワンルームマンション」は収益性の低い物件の代表格である。
良い物件は営業をしなくてもすぐに買い手がつくので、しつこく営業電話をかけて売り込むようなことはしない。営業電話がよくかかってくる新築ワンルームマンションは、そうでもしないと売れない物件ということだ。
そもそも新築ワンルームマンションは、本来の物件価値よりかなり割高である。新築の物件は、デベロッパーが土地を探し購入して、建物を建築、販売する。当然、そこにはデベロッパーの取り分となる利益が上乗せされている。
新築物件を購入するということは、土地購入から建築、販売にいたるまでの費用が含まれた状態の価格で物件を手に入れるということなのだ。新築ワンルームマンションは、買う前から損することが確定している物件といっても過言ではない。
節税になる、ローンを払い終わったら資産になる、などの甘い言葉に惑わされて、新築ワンルームマンションをローンで購入するのはかなりリスクが高い。
新築ワンルームマンションは、家賃収入があってやっとローンが返せる程度の収益しかでないことが多く、空室がでた時の赤字分は本業の給与から補填しなければならなくなる。そんな時に万が一本業でリストラにでもあってしまったらどうなるか。
ローンの支払いが不能になって物件を手放すことになったとしても、新築での購入時より大幅に値段の下がる中古価格での売却になる。また、空室が続いている状態であれば、買い叩かれてローンの残債以下の安値でしか売却できなくなる可能性が高い。
そうなれば、本業でリストラにあって職を失ったうえに、副業ではじめた不動産投資では借金だけが残り破産という最悪の事態になりかねないのだ。
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破産を防ぐには? 2つの失敗の共通原因
上の不動産投資で失敗して破産する2つの理由に共通する原因とはなにか。それは「事前調査を怠った」ことである。
もちろん事前に何の調査もしなかったわけではないだろうが、調査が十分ではなかったのだ。
築古物件であれば、築浅よりも修繕やリフォームに費用がかかることを事前に予測しておくべきだし、どの程度の修繕が必要か、過去にどういった修繕が行われてきたかなども購入前に調査し確認する必要がある。
そして、突発的な故障やトラブルなど、想定外の事態がおきたときの備えとして、相応の自己資金は用意しておかなくてはならない。それを怠ると、資金繰りに行きづまり破産しかねなくなるのだ。
理由2の場合でも、購入当初の利回りなどを鵜吞みにせず、事前に市場調査をしておけばなんらかの対処ができる。
賃貸中の中古物件であれば、物件のある地域の家賃相場を調査しておくことで、その物件の賃貸価格が適正であるか、割高になっていないかどうかがわかる。
割高であることがわかっても、現況の相場価格で計算し直して十分採算に合うような物件であれば購入を検討するのもよいだろう。そうでなければ物件購入を見送ったり、採算に合うような価格での指値で買い付けを入れたりなどの対処をしよう。
また、投資用ワンルームマンションを購入するのであれば、いきなりかかってくる営業電話の甘言を鵜吞みにせず、事前に市場調査をしたうえで自ら物件を探すべきである。
物件購入前にしっかりと調査を行い、収益性の見込める物件を厳選して購入し、余裕をもった運営資金を保って入れば、破産にまで追い込まれるような最悪の事態は回避できるのだ。
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不動産投資で破産したらどうなる? 失敗者の末路
不動産投資での破産は避けられると紹介したが、もしも実際に失敗してしまった場合どうなるのか。自己破産して困窮した生活を送るしかないのだろうか?ここでは、不動産投資で失敗した人の末路をみていこう。
借金の取り立ては本当にくる?
不動産投資では、多くの人が融資を受けて物件を買っている。融資を使えることが、不動産投資の唯一無二のメリットでもある。
しかし、その銀行から借りたお金が返せなくなったらどうなるのか。漫画やドラマのように、怖い人に自宅のドアをドンドン叩かれるようなことや、勤務先の会社まで取り立てにくるようなことが起きるのだろうか?
結論から言うと、このように追い立てられる事態は、銀行から借り入れをしている限り絶対に起こらない。
借りている先は金融庁から認可を受けている金融機関であり、暴力団排除の傾向が久しい昨今において、このような乱暴な取り立て措置をとることはあり得ないのだ。
しかし、貸し手が闇金や個人の場合は別だ。もしかしたら漫画やドラマのような事態になるかもしれないが、ここでは金融機関(金融商品取引業者)から借りているという前提で話を進めていこう。
銀行は後まわしでOK? 返済不能になったらすべきこと
家賃収入が途絶え返済が滞るようになると、まず金融機関から問い合わせがくるようになる。それを無視して3か月くらい支払いが延滞されると、金融機関内でも貸し倒れの懸念が強まり、回収できないことを前提に動き始める。
本当に返済が難しければ、この段階で融資条件の緩和の相談を銀行に対して行おう。融資年数をのばしたり、金利引き下げの交渉をするのだ。
地域密着で営業を行っている信用金庫や信用組合は、地域での評判が悪くなることを気にするのでかなり柔軟な対応をしてくれることもある。貸しはがしなどの乱暴なことはせず、いきなり差し押さえを行うようなことも絶対にしない。
逆に、ノンバンクや規模の大きい銀行は淡々と処理を進める場合が多い。
ローンを返せないことが決定的になった場合、まずは手元にいくらキャッシュがあるのかを正確に把握することが重要だ。その後、優先順位をつけてお金を返す算段を立てることになる。
この時の返済優先順位は、小口の個人や企業を優先しよう。意外に思うかもしれないが、銀行は後まわしでいい。
銀行などの金融機関では、初めからある程度の確率で融資資金が回収できないことを会社として見込んでいる。
銀行として不良債権が回収できないと困ることはたしかだが、銀行の貸し倒れ比率は2%前後のことが多い。回収できないことは想定内の事態であり、融資先の倒産や破産はよくあることなのだ。
融資した銀行員個人の評価は下がるが、会社員なのであくまで仕事の中での話だ。貸し倒れによって、銀行員が個人的に困窮したりすることは絶対にない。
しかし、投資家個人を信用してお金を貸してくれた、企業や個人は違う。物件購入にあたり金融機関以外の個人や企業からお金を借りていた場合、そういった人をないがしろにすると、周りからの信用は一気になくなることになる。
彼らは身銭を切って貸しているため、回収のためであれば手段はいとわない可能性もある。債権者が複数いる場合は、まず小口の人に返却し、関係者の数をできるだけ少なくした方が賢明だろう。
つぎに優先すべきは、税金の支払いだ。不動産投資では、所得の絶対額が多くなるため、所得税や住民税が高水準になっている場合がある。
知らない人も多いが、自己破産をしても税金は免責にならない。
「税務署は暴力団よりも恐ろしい」などと都市伝説的に語られたりするが、金銭面だけを考えればじつはその通りだ。ローンや借金は自己破産すれば支払いを免れるが、税金は対象外なのだ。
今後、再起をはかる時に税金が重くのしかかるような事態を避けるために、破綻時も税金は優先して払ったほうがよいだろう。
税金は免責にならないものの、5年経てば時効になる。実際にこのやり方を推奨する人もいるようだ。しかし、免責になるまでの5年もの間、所得をとらないでやり過ごすのは完全に時間のムダだ。残ったお金で納税してさっさと自己破産したほうがいい。
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不良債権を買い取る「サービサー」
融資返済がどうしてもできなくなったら、投資家は破産という道を選ぶことになるだろう。では、不利益を被った銀行はどんな対応をするのか。
銀行が回収不可能になった借金は、不良債権として「サービサー」とよばれる業者に格安で売却される。
たとえば、債権額(借金額)が1億円だった場合、その1割以下(ものによっては数万円などもっと安い)でサービサーが買取を行うのだ。
不動産は現物資産があるため、サービサーにとってある程度の回収益が見込める。不良債権のなかでは、価値がある案件だとみなされる。これが中小企業の運転資金のための融資であれば、売却可能な資産が残っていない可能性が高いので、ゼロに近い評価になるだろう。
銀行は、複数の不良債権案件をバルク(束)にして、サービサーに合計●千万円のような形で売却する。
不動産の案件はそのなかでも回収の可能性がある不良債権として扱われるため、回収の見込みがほぼなく100円や1,000円など安価な値段がつけられた事業投資の案件などと一緒に売られることが多い。
このように、サービサーは金融機関から安価で債権の買取を行っているため、サービサーに対して借金額を値引く交渉ができる可能性もある。
処理が決まったのちに、不動産を売却して返済にあてる措置をとることになる。この時点で、個人の自己破産処理も同時に進めるケースが多い。
不動産投資で破産しても生活に困窮しない方法もある
こうして、いわゆる「破綻物件」が世にでてくることになるわけだが、いくらで売れようと売主の手元にお金が残るわけではない。そのため、やや投げやりな値段で売りにだされていることも多い。
また、破産する投資家は、当面の生活資金がほしいため、優先的に売買契約を進めるかわりに、売買金額のほかに現金300万円をくださいなどという交渉をする人もいる。
いくら高値で物件が売れようとも、破産した個人にお金は入ってこないため、売買金額に含めない別口としてこのような要求をもちかけるのだ。
破産は避けられなくても、このようにして現金を得られれば当面の生活には困らない。
また、不動産を複数の資産管理法人にわけて所有していれば、仮にA法人が破綻してもB法人は通常どおり業務を継続できる。B法人から直接給与所得を得ることは難しいかもしれないが、家族を雇用して給与を支払うことや、法人の経費を使うことは問題なくできるだろう。
破産の仕方によっては、お金に困ることなく暮らせている人も多いのが実状なのだ。
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「不動産投資で破産」は理由を知れば防げる
不動産投資で破産に追い込まれる人というのは一定数存在する。経験したことがなければ、自己破産なんてしたら人生が終わりのようなイメージをもってしまうのも仕方ないだろう。
しかし、破産にまで陥るような不動産投資の失敗は、「事前にしっかり調べる」ことで避けることができる。また、金融機関から融資をうけている限りは、返済ができないからといって借金取りが家までおしかけてきて脅されるようなことはない。
万が一、破産してしまっても最低限の生活には困らないような方法もないわけではない。とはいえ、失敗し破産しないにこしたことはない。
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この記事の監修者
37歳の会社員が
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