住居系不動産と店舗・事務所(商業系)不動産の違いとは
不動産投資を行う際には投資対象となる物件の選定が重要になる。
この項では、物件の用途を住居(レジデンス)系と商業系(店舗事務所)からみた物件の種類について見ていこうと思う。
用途からみた不動産の分類
不動産を用途で大分類すると、居住用不動産である「住居系」と、店舗・事務所などの事業用となる不動産である「商業系」に分類されるが、これらの用途が混在している物件もある。
具体的なイメージは以下のとおりだ。
(1)一棟全体が住居として利用されている不動産
これは店舗部分などがない住居系として純化された不動産で、一棟全体がマンションとして利用されているものをイメージすると良い。
(2)一棟全体が店舗・事務所(商業系)として利用されている不動産
オフィス街にある事務所ビル、または繁華街などの一棟全体が飲食店として利用されているビルや雑居ビルなどが商業系として純化された不動産だ。
(3)住居系と商業樹が混在している不動産
例えば低層階、特に1階部分をコンビニエンスストアや事務所、上層階をマンションとして利用している、いわゆる下駄履きマンションがこれに当たる。
住居系・商業系のメリット・デメリット
住居系不動産のメリットとしては、まず店舗と違って流行り廃りの波があまりないため、入退去の頻度が低いことが挙げられる。
店舗であれば、景気が後退して売上が低くなると撤退(退去)のリスクは比較的大きい。
反対に住居系不動産では景気変動に入退去が影響されにくく入居率が安定しており、その結果家賃収入が変動しにくく安定しているのだ。
この点は金融機関から見ても返済原資が安定しているという評価になるため、住居系不動産は比較的融資を受けやすいと言えるだろう。
一方、住居系不動産のデメリットとしては店舗・事務所などと比較すると貸室面積当たりの家賃(平米単価、坪単価)が低くなり勝ちとなる点だ。
つまり、投資のリターンである利回りが商業系不動産と比較した場合低くなる傾向があることが挙げられる。
一方、商業系不動産のメリット・デメリットは一般的に住居系不動産と真逆になる。
商業系不動産のメリットは、貸室面積当たりの家賃が住居系不動産と比較して高い傾向にあり、高い利回りを期待できることである。
また、貸室内の内装・維持管理は特に店舗の場合は賃借人であるテナントの負担で行うことが多いので、維持管理コストが比較的安くなる場合もある。
一方、商業系不動産は景気変動の影響を受けやすく、景気が後退するとテナント側のコストカット意識が強くなるため、退去リスクも住居系に比較して大きくなる傾向が強い。
また、店舗・事務所ともに、交通利便性や周辺環境などの立地条件がテナント側が入居する際の大きな意思決定要素となる。
その他にも、店舗であれば建物のデザイン性、事務所であればOAフロア対応や空調などの設備面からみた機能性なども意思決定要素となり、これらは不動産毎に個別性が強いため、入居率の維持が住居系に比較すると難しい。
つまり、一度退去されてしまうと家賃を下げてテナントを募集しても、次のテナントがすぐ入居するかどうかはわからないケースが多くあるのだ。
求める条件が合わない限り、商業系不動産の主な賃借人となる企業が事務所を借りたり店舗を構えたりすることがないからだ。
こういった観点からみると、商業系不動産は住居系不動産と比較して高いリターンを期待できるが、その分家賃収入が上下しやすくリスクが高いと言える。
金融機関から見ても、家賃収入が住居系より不安定とみなされる場合が多く、住居系と比較して融資が受けにくいのである。
住居系・商業系どちらに投資すべきか?
不動産投資の経験が豊富で資金的にも余裕がある場合は、ある程度のリスクを取って投資ができる。
その場合は、ハイリターンを狙って商業系の物件や住居系・商業系の混在不動産でも商業系の割合が大きい物件を選んでもよいだろう。
逆に投資経験が少ない場合や余りリスクを取れないときは、住居系不動産や、住居系・商業系混在不動産のうち住居系の割合が多い物件に投資する方が良いと言える。
一般的にリスクが高い商業系は利回りが高く、リスクが低い住居系は利回りが低い。
つまり期待収益率とリスクは表裏一体であることは、投資対象となる不動産を選ぶときには常に念頭に置いて判断してほしいと思う。
この記事の監修者
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