費用対効果で考えるマンション経営・アパート経営の空室対策

2020年12月16日1,125

マンション経営・アパート経営における空室対策は、物件の種別によらず必ずやるべきことがある。

それに加えて、空室率が高く競争が激しい地域においてやるべきことについてこの記事で解説を行う。

1.空室対策で必ずやるべきこと

ライバル物件の詳細な調査

まずは、同じエリア・家賃帯で成約しているライバル物件が、どのような募集内容なのかを確認することが必要だ。

ファミリー物件であれば候補となる物件をすべて挙げて内見をさせてもらおう。

入居者の目線で確認すると、自分の物件で足りないところがわかることが多い。

半径5kmほどの地図上に、ライバル物件の情報をプロットすると、自分の物件が入居者に選ばれる物件なのかどうかが一目瞭然でわかるようになる。

これは出来れば購入前の段階でやっておくべきだ。

検索サイトの掲載

募集を依頼すれば最低一つの検索サイトには掲載されていると思うが、主要なサイト(SUUMO、HOME‘S、at home)に登録されているかどうかを確認しよう。

掲載するにはお金がかかるし、その不動産会社では契約していないサイトがあるかもしれない。その場合は、管理物件を持たない賃貸専門でやっている不動産会社に掲載を依頼するなどの方法を取ろう。

多くのサイトが、有料で「注目物件」として目立つように掲載する設定ができるようになっているので、空室が多い場合は管理会社に頼んでこれらの設定をしてもらうことが必要だ。

写りの良い写真が掲載されているか、アピールポイントは明確になっているか、などもオーナーが入居者目線で確認する必要がある

不動産会社への募集依頼

管理会社以外の不動産会社に、オーナーが直接賃貸付けを依頼することが入居者募集に効果的な場合がある。

物件周辺の不動産会社に物件の特徴や値引き可能額などを直接伝えることができれば、不動産会社も募集がしやすくなるからである。

管理会社と相談して、これらの取り組みをオーナーがやっても問題ないかを事前に確認してやってみよう。

地域内の不動産会社同士が相互の管理物件に客付けをしないような地域であっても、オーナーが間に入ることによって、物件の募集に取り組んでくれる場合がある。

どうしても空室が埋まらない場合、周辺の不動産会社への営業回りを10社、20社とやってみると結果は変わるだろう。

キックバックの設定

「キックバック」とは何かというと、成約時に不動産会社の営業マンに直接現金や商品券などを渡す行為のことである。

エリアにもよるが家賃の半月~1か月分ぐらいが一般的である。

不動産会社の売上にならないため禁止している会社もあるが、このような慣習がなく、キックバックが行われていない地域では大きな威力を発揮することもある。

営業マンへの銀行振り込みにするか、商品券にするかなど、渡し方は直接営業マンに確認しよう。

照明・テレビドアホンなど必須設備の設置

ダイニングや寝室などの照明器具、カラーテレビドアホン、温水洗浄便座(ウォッシュレット)、据え置きガスコンロ(ビルトインコンロがない場合)、独立洗面台などは、賃貸マンションでもついていて当たり前の設備である。

これらの設備の導入は、数万円程度しかかからないので、設置の費用対効果が非常に高い言える。

しかし実際に周辺の物件を見てみると、すべての設備がついていることはあまりない。

照明とガスコンロはついているが温水洗浄便座がなかったりするのだ。そのような場合は、これらの必須設備を追加するだけで容易に差別化を図ることができる。

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2.空室率の高い地域の物件でやるべきこと

 地域の空室率が2割を超えるなど、空室の割合が特に高い地域の物件を買った場合について解説を行う。

このような地域は入居者の需要よりも物件の供給量が極端に多くなっていることが多く、入居者に選ばれるためにはなんらかの差別化策を講じないと他の物件の中に埋もれてしまう。

しかしながら、大規模な間取り変更やキッチン・浴室のリフォームなどで安易にお金をたくさんかけて差別化対策を打ってしまうのは、費用対効果を常に考えるべき投資家としては失格だ。

上記「1.空室対策で必ずやるべきこと」に加えて、下記で説明するできるだけ費用対効果が高い取り組みを実施することにより、空室率が高い地域でも満室経営を行うことは可能だからである。

室内のカラーコーディネート

室内に輸入クロスをり、フローリングの配色もマッチする合わせることにより、上質なな空間を演出することができる。

壁の一面だけアクセントクロスが使われている部屋は増えたが、部屋全体がカラーコーディネートされている中古の賃貸物件はまだまだ少数である。

センスが問われるが、最初から完璧な配色を作り上げることは難しいので、まずはこれらの対応を得意としているリフォーム会社に相談しながら対応してみよう。

家具家電設備の追加

家具や家電を最初から入れている賃貸住宅も増えてきたが、まだまだ数は少なく入居者からすると選択肢が多いわけではない。

家具、家電がついていると、特に一人暮らしを始めたばかりの学生や社会人などの入居が見込める。

設備は、テレビ、コーヒーテーブル、ソファ、ベッドぐらいで十分である。

これらの設備は中古でもまったく支障がないので、ネットオークションなどを利用して安く手に入れよう

キッチン・バス・トイレの簡易リフォーム

水回りの設備を全面刷新すると、1室当たり100万円を超えるお金がすぐ飛んでしまう。

できるだけ費用対効果の高い取り組みをすることが重要なので、現在の設備を活かしつつ、キッチンにダイノックシート(光沢感のあるビニールシート)を貼ったり、バス(浴室)に鏡を設置して木目のダイノックシートを貼りホテルライクな仕上がりにすることにより、高級感を出すことが可能になる。

モデルルームの設置

空いている部屋に机やイスなどを入れてモデルルーム化し、アピールポイントを説明するための自作POPなどを置くことが、入居者募集に効果的な場合がある。

特にファミリータイプを希望する家族の場合、モデルルームを見ることにより生活空間のイメージができるので、内見の際に好印象を残すことができる。

モデルルームで使用した設備を入居者が使いたいと希望したら、そのままあげてしまおう。

ホームページの設置

保有物件の専用ホームページを自分で作って設置するが募集に効果的なこともある。

「地域名+マンション」などで検索に引っかかるようにしておくと、その地域で賃貸住宅を探している人が直接検索してホームページに訪れる場合があるからである。

ホームページには、間取り、物件の写真、家賃、アピールポイントなどを記載すると良いだろう。

最近はデザイン性の高いホームページをウェブ上で簡単に作れるサービスもあるので、入居者募集対策を完璧にやりたい場合はチャレンジしてみても良いだろう。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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