訴訟や破綻も…サブリースのトラブル事例

2020年12月14日1,854

サブリース契約は、「家賃保証」という表面上は魅了的な仕組みにみえるため、裏側を考えず契約してしまう人が多い。

その結果、本来なら利益をだせるはずの物件を買って失敗してしまったり、管理会社との訴訟問題などトラブルに巻き込まれてしまう。

実際にサブリース契約でどんなトラブルや問題が起こっているのか事例をまじえて紹介しよう。

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資産家も会社員もハマった!サブリース契約のトラブル体験談

トラブル1:営業マンの押しに負けサブリース契約をした資産家のAさん

Aさんは、駐車場などの経営をしている土地持ちの資産家だ。

Aさんのもとには、大手建築メーカーの営業マンがアパート経営の話を頻繁にもちかけてきていた。

「土地を駐車場にしたままではもったいないですよ。アパート経営をしたら利回りは8%にもなるんです。アパート経営の経験がなく不安だとしても、サブリース契約で6%の家賃保証を30年つけられますから安心ですよ」

そんな営業マンの話を信じ、Aさんは契約期間30年でサブリースをつけたアパート経営をすることにした。

ところが、契約期間30年であっても、実態は5年ごとに家賃保証額の見直しがあり、当初の収支計画とは程遠い結果になってしまった。

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トラブル2:サブリース契約をつけるといわれ不動産を高値で買った会社員大家のBさん

Bさんは、企業勤めの会社員で土地は所有していない。次の条件で物件を買い、サラリーマン大家として華々しいスタートをきったつもりでいた。

場所:三重県内

物件:鉄骨造り、築25年、表面利回り9%、総戸数20戸

融資:スルガ銀行で金利4.5%

物件価格:1億円

地方の物件で空室が5戸あったが、購入先の不動産会社が空室分に1年間のサブリースを付けるという条件だったため、Bさんはサブリースを受けている期間中に入居者が決まればよいと思っていた。

ところが、サブリース契約が切れる1年経っても入居者は決まらず、それ以降のキャッシュフローが悪化してしまう結果となった。

このようなことが起こった背景には、不動産会社の思惑がはたらいている。

不動産会社は、8,000万円で仕入れた物件を1億円で売りたいと思ったが、空室が5/20もあると金融機関は融資をださない。

金融期間から融資がでるよう、見せかけの満室状態を作るために短期間のサブリース契約をつけたのだ。

不動産会社が物件を高く売るために家賃設定を高めにして利回りをよく見せていただけだったため、実際はサブリース契約終了後も入居者が決まらず収支が悪化してしまったのだ。

世間をにぎわすサブリース問題

紹介したのは、サブリース契約を結び失敗した個人の事例だが、こういった失敗をしているオーナーはかなり多い。近年、サブリースは社会問題にすら発展している。

オーナー数十人が集団訴訟に踏み切る

大手サブリース会社L社は、サブリース契約をめぐって100人規模の集団訴訟を何度も起こされている。

オーナーたちは当初、L社から「30年間は賃料が減少しない」「絶対に損はしない」などと説明を受け、サブリース契約を結んだ。

しかし、リーマンショックによりL社の経営は悪化。10年未満で家賃は減額され、オーナーたちには借り上げ契約の解除が求められた。

同じように、L社から家賃保証を減額されたオーナーの数は、推定で1万人以上いるとされている。

賃貸物件を建築した際のローンが残っているオーナーも多く、家賃増額に応じないのは不当として集団起訴が相次いでいる。

シェアハウスを運営するサブリース会社の破綻

女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開していたS社が破綻した事件も世間に大きな波紋をよんだ。

同社は「頭金なしでシェアハウスのオーナーになれる」「30年間の安定した家賃保証」という謳い文句で、シェアハウスを販売。同社のコンセプトに惹かれた多くのサラリーマン投資家たちが億単位のローンを組んで物件を購入し、シェアハウスのオーナーになった。

しかし、入居者不足などで赤字が続き、S社が経営破綻。保証されていたはずの賃料は支払われなくなり、オーナー達は多額の借金を背負うことになった。

消費者庁や国土交通省もトラブル防止の注意喚起!

サブリースはトラブルが続出し、全国で次々と訴えがおこっているため、国土交通省も消費者庁と連携してトラブル防止の注意喚起をしている。

サブリース契約をする場合は、契約の相手方から説明を受け、契約内容や賃料減額などのリスクを十分理解してから契約してください。

消費者庁や国土交通省のホームページでは、賃貸住宅オーナーからの相談を受け付ける公的な相談窓口やサブリース契約の注意点をはじめ、消費者ホットラインによせられた相談事例なども掲載している。

サブリース契約を結ぶ前にしっかり考えるべき

かぼちゃの馬車・スルガ騒動」により訴訟問題や破産といったトラブルに巻き込まれている人のニュースが連日とりあげられ、サブリースによるトラブルは社会問題として広く認識されてきている。

それでもなお、サブリースで失敗してしまう人がいるのだ。

サブリース契約は決して、オーナーにとっておいしい契約ではないということを認識しておこう。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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