不動産を相続したら10か月以内に売却することが必要な理由

2020年12月16日1,363

多くの人にとって、不動産を購入したり売却したりすることは一生のうちにそう多く経験することではない。

そのため不動産の売却というと、ほとんどの人があまり自分には関係ないと思っているのではないだろうか。

しかし、突然不動産を売却しなければならない状況になることは十分に考えられる。

親や配偶者など、家族の誰かが亡くなって不動産を相続すると、「相続税」を支払わなければならなくなるからである。

なぜ相続した不動産を売却しなければならなくなるのか

相続税は被相続人(亡くなった人)の死亡から10ヶ月以内に支払わなければならないため、相続時から支払いまでの期間はわずかしかない。

加えて、上記の例とは異なって、相続した不動産を誰が持つのかという遺産分割協議の問題でももめる可能性がある。

現金や預金等であれば簡単に分けることができるため、遺産分割で誰がどれだけの額を相続するかということさえ決まれば特段問題はない。

しかし、不動産を相続した場合は特有の問題がついて回る。

不動産は現金等と違い「分けることが難しい」からだ。

例えば以下の図のように、父はすでに他界して、残された母親が亡くなり、子供3人が親の財産を相続した場合を考えてみよう。

  親(被相続人)  
長男(相続人) 長女(相続人) 次男(相続人)

上の図のような場合、法律上の規定に従うと、長男・長女・次男がそれぞれ母親の財産額の3 分の1ずつ相続することになる。

しかし、現在住んでいる場所も異なり、それぞれの配偶者や子供等もいる3人の相続人が、150㎡の土地を相続したとして、

「その土地を50㎡ずつ3分割して相続しましょう」

というようなことを実現させるのはなかなか難しい。

土地を分割せずそのままの広さの状態で、相続人が共有して持つという方法もあるが、その場合は

  • 将来的に長男が売却したいが長女・次男は反対してうまくいかなくなる
  • 長男が土地を管理しているが管理のやり方について他の2人と意見が合わない

といったトラブルが生じる可能性もある。

そのために、不動産を相続した場合は売却してしまって、分割しやすい現金に変えるということが多く行われている。

相続税改正によって相続税の税率は上昇、納税義務者は拡大

更に、平成27年以降は以下の表のとおり相続税が増税されている。

例えば、平成27年以前の相続税率は3億円超の取得金額の場合の最高50%であったが、平成27年以降は6億円超の取得金額の場合で55%に引き上げられている。

また、3億円から6億円までの取得金額の場合でも、相続税率が軽減されているわけではない。

【平成26年12月31日まで】 【平成27年1月1日以降】

法定相続分に

応ずる取得金額

税率 控除額

法定相続分に

応ずる取得金額

税率 控除額
1,000万円以下 10% なし 1,000万円以下 10% なし
3,000万円以下 15% 50万円 3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円 5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円 1億円以下 30% 700万円
3億円以下 40% 1,700万円 2億円以下 40% 1,700万円
3億円超 50% 4,700万円 3億円以下 45% 2,700万円
  6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

更に、相続税には

「相続した財産が一定額内であれば相続税を納めなくてもよい」

とする基礎控除が以下の通り大幅に下げられた。


【改正前の基礎控除額】5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)


【改正後の基礎控除額】3,000万円+(600万円×法定相続人の数)


そのため、これまでは相続税を支払わなくて良かった人も、平成27年以降は相続税の納税義務が生じる可能性がある。

先に出した例で、親の財産を子供3人で相続した場合の例で計算してみよう。


【改正前の基礎控除額】5,000万円+(1,000万円×法定相続人3人)=8,000万円


【改正後の基礎控除額】3,000万円+(600万円×法定相続人3人)=4,800万円


以上が改正前と改正後の基礎控除額の比較となる。

つまり、改正前は8,000万円までの財産ならば相続しても相続税を支払わなくてよかったのが、改正後は大幅に下がって4,800万円以上の財産を相続すると相続税の支払義務が生じるのだ。

特に相続財産額が大きい場合は最高税率も引き上げられているので、大きな負担となる。

この相続税を被相続人の死亡時から10カ月以内という短い期間に支払う義務が生じるのであるが、この短い期間に多額の納税費用を現金で準備できる人は少ない。

一般的には、売却できる財産は売却して現金化した上で納税することになる。

不動産の場合、相続税額は国税局が定める相続税路線価を、建物は固定資産税評価額を基準として算定されるが、これらの価格はその不動産の市場価格のことではない。

つまり、不動産の市場価格が下がっていても、相続税を算出する上での土地・建物の価格が連動して下がっているわけではない場合があるのだ。

その結果、不動産の売却がうまくいかないと、不動産を売っても相続税を納めるのに十分な額を得られない場合すらあるのである。

そのようなケースに備えて、予め十分な時間的余裕をもって不動産に関する相談を不動産会社にした方が良いと言えるだろう。


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この記事の執筆者の志村もしくは相続に伴う不動産売却活動を豊富に経験している専任のコンサルタントが、相続税対策を踏まえてどうするべきかのアドバイスを行います。

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この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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