「一物四価」を利用して不動産会社は不当に安く売りに出させる

2020年12月18日1,080

不動産には4つの価格があると言われている。これを「一物四価」(読み:いちぶつよんか)と言う。

一物四価という用語を知っていると思っている人の中には、一つの不動産に四つの価格があるような間違った認識でいる人も居るかもしれない。

不動産を売買する際に、その中かから都合のいい価格を使い、適切な価格の認識が出来ていないことが多々あるのだ。

また、仲介を行う不動産会社が、意図的に低い見積もりを出すのにこれらの価格が利用されることもある。

まず「四価」についてだが、以下の価格のことを指す。

  • 実勢価格

実際に売買されている価格。

  • 公示価格

地価公示法に基づいて、国交省が発表している価格(土地のみ)。

  • 相続税評価額

国税庁が毎年発表し、主に市街地において道路(路線)に付けられた価格。路線価。

  • 固定資産税評価額

固定資産税、都市計画税を賦課するための基準となる評価額。土地の固定資産税評価額は、公示価格の7割が目安。

各価格の説明は上記の通りだが、分類をすると実勢価格以外の公示価格、相続税評価額、固定資産税評価額は、税金の計算や不動産鑑定で用いられる指標だ。銀行が融資をする際に、机上計算する際の項目としても利用される。

重要なのは「実勢価格」のみ

しかし、我々投資家や、実需(自分が住む家として買う)目的の人は、実勢価格を鑑みて売買を行う。

実勢価格とは時価のことだ。

時価は、計算方法がしっかり確立されているわけではないが、近隣の成約事例とその物件の特性(プラス要因・マイナス要因)を加味して妥当性が判断される。

「不動産は2つと同じものがない」と言われているが、こういうことを言う人は多くの場合都合のいい詭弁としてこの文句を使うのだ。

2つと同じものがなくても、同じような条件の物件は必ずある。

これらの物件の売買を通じて、不動産市場にも実勢価格・市場価格というものが形成されるのだ。

不動産は相対取引であり、株式や為替のように株式市場や為替市場があるわけではない。

しかし、価格決定プロセスは基本的に一緒で、その時の色々な売買を通じて、大体の実勢価格というものが作られる。

路線価や固定資産税評価額がいくら高くても、その地域や物件に魅力がないと感じる人が多ければ、路線価などと比べて実勢価格が割安となる場合もある。

例を挙げると、

・隣に川が流れていて湿気が凄い上がってくる

・右翼団体や暴力団が住んでいる

・過去に殺人事件が発生した

などの物件を、路線価や固定資産税評価額を参考にして買う人は皆無だろう。

「一物四価」という言葉が、あたかも価格が4つあるかのような印象を与えているのだと思うが、これは間違いだ。

実勢価格が以外の3つ(公示価格、相続税評価額、固定資産税評価額)は、税金や机上での評価額を算出するための金額であり、それ以上でもそれ以下でもない。

価格が4つあるわけでは決してないのだ。価格は1つのみであり、実勢価格だけが市場が形成した価格なのだ。

しかし何故か物件や土地を売却する際は、この目線が忘れられ勝ちだ。

自分が慣れ親しんだ家や土地を売る際などの場合、それが更に顕著だ。

売却希望者から良く聞くのが、

「路線価はこの30万円/㎡だから、30坪(100㎡)の土地は3,000万円ぐらいで売れるはず」

「固定資産税評価額と同水準であれば売れるのではないか」

という意見だ。

急な坂道の途中にある土地や、接道が悪い土地、日陰になってしまう土地は、路線価がいくら高かろうとやはり人気が落ちる。

そんなことは購入者の視点に立てば当たり前だ。

しかし、売却希望者にとっては、利便性が悪い場所だろうと、そこは慣れ親しんでいる場所だ。良い点ばかりに目が行ってしまうのはしょうがない部分もある。

また、そもそも近隣の実勢価格に関する知識ないので、それらのマイナス点を割り引いた値段設定をしようとしても、妥当な金額がわからないという事情もあるだろう。

結局、設定した金額では売れないのでその時点で気づくことになるが、事情はもう少し複雑だ。

ここに不動産会社がいいように絡んでくるのだ。

一物四価を利用して安い価格で売買させる不動産会社

例えば実勢価格が2,000万円の物件があったとする。この物件を路線価通りの3,000万円で売りたいという相談を仲介会社にした場合、

「確かに路線価からしても3000万円が妥当ですね」

と同調し、ひとまず一社で媒介するための専任媒介契約を売主からもらうことを優先するのだ。

結局3,000万円では売れないので、売主は不安になる。そこで、仲介会社は、

「近隣の制約事例からすると、実勢価格は1,700万円ぐらいなのでこの金額まで下げましょう!」

と言葉巧みに誘導するのだ。その結果、当初からすると信じられないぐらいの値引きにも応じてしまう人がいるのだ。

仲介会社からすると、最初は売却希望者の意のまま3,000万円で売却することを条件に、一社にしか依頼できない「専任媒介契約」をまず取ることを優先しているのだ。

そして、予想通り3,000万円では決まらないので、不安がる売却希望者を煽って値段を下げさせ、最終的には売りやすい価格でさっさと売り抜けさせることを行う。

そうすれば、2,000万円の売り出し価格で一般媒介の一社として入るよりも、格段に成約率は上がる。

しかし売主としては、2,000万円で売れるはずの土地が、結局1,700万円でしか売れなかったことになる。あとから気付くかどうかはわからないが、適切な価格で売却することには失敗したことになる。

不動産売買を行うときの適切な価格を算出するには、実勢価格を参考にするしか方法はないのだ。

不動産売買に絡む営業マンなどから、実勢価格以外の価格を、妥当性の根拠として言われた場合は、「それはおかしいのではないか」と考えるようにしないといけない。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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