大家は家賃・敷金・礼金・広告費をどのように決定するべきか

2020年12月17日3,999

大家は家賃・敷金・礼金・広告費の水準を、最終的には自分で決めて設定する必要がある。

その際に重要なのは、周辺物件の相場に合わせて設定することだ。

ある地域で単身用のワンルームの一棟物件を購入しようとしている場合、同じエリアのワンルーム物件の価格水準がどの程度なのかを調べる必要がある。

入居希望者数に比べて物件の供給数が多い場合は、平均的な価格設定では決まらないことが往々にして起きる。

どのぐらいの家賃設定が妥当なのかは物件検索サイトなどを見てもわからないので、「いくらなら決まるのか?」を、賃貸付けを行う不動産会社に直接聞こう。

購入を決める前に複数の不動産会社に聞いてあらかじめ確認しておきたいところだ。

空室をなくすことを第一に考える

1.家賃の価格設定

家賃はその物件に住んでいる限り毎月支払うため、入居希望者は家賃を最も重視する。

しかし、オーナーは入居希望者以上に家賃と共益費の価格設定には気をつけないといけない。

なぜなら収益物件は家賃+共益費を分子として算出する利回りによって価値が決定づけられるからである。

安易に家賃を下げてしまうことを続けていると、収益物件としての価値が下がっていってしまう。

これを避けるために、家賃は一定水準を維持しつつ、敷金・礼金・仲介手数料など、入居時に一時的にかかる費用の負担を減らすやり方を選ぶほうが賢明である。

2.敷金・礼金の価格設定

敷金は、解約時に入居者に全額戻さなくてはいけないものである。

しかし、家賃の滞納が発生していたり、普通に生活していれば発生しないような破損などがあったりした場合は、敷金返却時に精算を行う。

以前は敷金を返却しないオーナーが多く、入居者とオーナーが揉めることも多かったが、平成10年に国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を制定してからは、経年劣化に加えて通常の生活で発生した損耗もオーナーが負担することが明示された。

その結果、解約時の原状回復については敷金精算が発生しないことも多くなっている。

更に東京都では俗に「東京ルール」と呼ばれる条例(「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」)が設けられ、どの項目が入居者負担で直すべきかがより明確になっている。

東京ルールでは、例えばクロスについた冷蔵庫の電気ヤケや画びょうの穴の原状回復などはオーナー負担となっており、結果的に入居者の権利保護を強める内容となっている。

このような経緯があることから、敷金は取らずにクリーニング費用として数万円程度を退去時に受領するような契約にする例も増えている。

関西では保証金として償却される「敷引」と呼ばれる費用があり、敷金から家賃1か月分など一定の金額を差し引くことを契約書であらかじめ定めている。

このような地域差は東京や大阪以外にも若干あるものの、全国的な傾向として敷金も礼金も減少している。

敷金・礼金を最初からとらない、いわゆる「ゼロゼロ」にする取り組みが広がってきているのである。

敷金・礼金の金額設定をどのようにするかは物件周辺の賃貸不動産会社にヒアリングして決めるべきだが、できるだけ家賃は下げないほうがベターであることは前述したとおりだ。

敷金や礼金を減らすことで家賃が維持できるのであれば、そちらを選んだほうがいいだろう。

3.広告費の設定

広告費とは、成約時にオーナーが賃貸付けを行った不動産会社に払う費用だ。賃貸を行っている不動産会社は、入居者からは仲介手数料を受領し、オーナーからは広告費を貰うことになるのである。

これは、仲介会社が負担する広告宣伝費や営業マンの人件費などのコストをオーナーが払うといった性格の費用である。

広告費は通常、家賃の1か月分程度と設定されている物件が多いが、金額には地域差がある。

広告費が多いか少ないかは、その地域の慣習というよりも需給のバランスによって決まっており、放っておいても入居者が決まるような物件(新築のタワーマンションなど)については広告費がないものもある。

需要が少ないエリアは広告費を1・5か月や2か月分など大目に設定する場合がある。

物件の供給数が多い札幌などは、広告費を2か月分・3か月分と払うのが当たり前になっており、このことからも札幌市内は賃貸激戦区であることが窺える

広告費は入居者との間でやり取りする費用ではなく、成約した際にオーナーから不動産会社に渡すお金である。

多く積めば「決め物件」として積極的に募集してくれることもあるかもしれないが、そもそも家賃が高過ぎたり礼金を多く取っていたりする物件は、いくら営業マンから勧められたところで入居者は選ばない。

昨今は、7割以上の人がインターネットで直接物件を指定して不動産会社を訪れる状況になっているので、昔のように「〇駅の近くに住みたいのでおススメの物件を出してください」というような形で不動産会社を訪れる人はむしろ少数派である。

広告費を2カ月以上積めば来訪者が他の物件を希望していても自分の物件を勧めてくれる場合もあるが、物件本来の魅力が平凡だと成約は難しいだろう。

私は地方の物件を主たる投資先にしていることもあり、実質的に管理会社1社に募集を専任させることが多い。

その場合は、管理を任せてから3か月以内など期限を区切って満室にするよう依頼している。

購入した物件の空室が多い場合は満室になるまで広告費を2か月分にして何よりも早く埋めることを優先するが、入居者が設備の追加や敷金の減額を申し入れてきた場合は、多めにしてある広告費を使って対応するよう伝えている。

このように入居者に合わせて柔軟に使えるお金があると、営業マンはいちいちオーナーに電話して確認しなくて済むので、募集活動がやりやすくなる。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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