定期借地権付き物件の投資はしない方がいい?メリットとデメリット

2020年12月16日3,044

定期借地権は、平成4年に新しく制定された借地権のうちのひとつで、地主から一定期間土地を借りて建物を建てられる権利のことである。不動産を購入する際、定期借地権付きの物件を購入して問題ないのだろうか?

今回は、借地権についての理解を深め、定期借地権の物件を購入するメリットとデメリット、所有権付き物件との比較をしていく。

旧法借地権の種類

定期借地権は、新借地借家法で設定された5種類の借地権のうちのひとつだ。定期借地権のほかに、どのような借地権があるのか紹介していく。

旧法借地権

平成4年(1992年)8月以前に交わされた借地権の契約は、旧借地権とされる。旧借地権は借りる側の権利が強く、一度土地を貸すと返してもらえないなど地主に不利な問題が起きた。

地主が貸した土地を返してもらうには、正当な理由をもって借地権更新の拒絶をしなければならない。正当な理由とは、「土地を必要とする事情」や「地上の建物の状態が著しく悪い」などである。やむを得ない理由がなければ更新を拒否することはできず、自分の土地であるにも関わらず貸し続けるしかない状況が続いたため、現在の新法借地権に改正された。

新法借地権

平成4年に新法借地権に改正されると、借地権の種類が5つにわけられた。

新法借地権の種類と特徴はつぎの5種類である。

 

期間

詳細

普通借地権

構造関係なく当初30年、1回目の更新は20年、以降10年ごとの更新

合意の上の更新であれば半永久的に更新可能

定期借地権

50年以上

更新なし・住宅用・更地返還

事業用定期借地権

10年以上50年未満

更新なし・事業用・更地返還

建物譲渡特約付借地権

30年以上

更新は特約の内容による

満期後に土地所有者が物件を買い取る

一時利用目的の借地権

一時的

仮説工事やプレハブ倉庫などで一時的に土地を借りる場合

 

普通借地権

普通借地権は、地主の合意が得られれば、半永久的に借り続けられる借地権だ。初回契約で30年借りることができ、1回目の更新でさらに20年、以降10年ごとに更新して借り続けることができる。

定期借地権

定期借地権は、住居用として土地を賃借する権利だ。土地を借りる期間は、50年以上であれば期限の上限は定められていない。しかし、期間の延長や更新はできない。契約期間終了後は、地上部分の建物を解体し、更地にして地主に返還しなければならない。

事業用定期借地権

事業用定期借地権は、店舗や商業施設など事業用として土地を賃借するための権利だ。契約期間は10年以上50年未満で更新不可。契約期間終了後は、定期借地権同様、地上部分の建物を解体し、更地にして返還しなければならない。

建物譲渡特約付借地権

建物譲渡特約付借地権は、満期後に土地所有者が物件を買い取る前提で土地を賃借するための権利だ。契約期間は30年以上であれば期限は定められていない。更新可否については、契約時に特約などが組まれているかどうかによって変わってくる。

一時利用目的の借地権

一時利用目的の借地権は、仮説工事やプレハブ倉庫などで一時的に土地を借りる目的で使用される。臨時設備の設置や取り壊しが予定されている建物用など、一時的な使用目的であることが明らかでなければならない。契約期間は、地主と賃借人の合意となるが、おおむね10年以下と考えられている。

定期借地権とは?所有権付き物件との違い

定期借地権とは、土地を借りて建物を建てられる権利のことだ。

土地の所有者に毎月地代を支払い、土地を借りる。所有権付き物件と比べて20%程度安い価格で購入できるケースが多いほか、固定資産税や都市計画税の支払いが不要だ。土地を借りる期間をあらかじめ設定し、期間が終われば地上部分は更地で返還しなくてはならない。

一方、所有権付き物件は物件価格に土地の値段が含まれているため、定期借地権付き物件よりも高額である。地代を支払わなくてもいい代わりに、固定資産税や都市計画税を自分で支払わなければならない。

物件を所有し続けると経過年数ごとに建物は劣化し、価値は下がっていく。しかし、土地は経年劣化という概念がなく、大幅に価値が減ることはない。そのため、定期借地権付き物件を30年後に売却しようとした場合、ほとんど資産としての評価がつきにくい。一方、所有権付き物件を30年後に売却する場合、建物部分の価値は出にくいが土地の価値はほぼ購入時と変わらず算出されやすく、資産としての価値が十分残る。

定期借地権付き物件を投資用に購入するメリットとデメリット

定期借地権付き物件を購入した場合、土地部分は自分の物にはならず、建物部分のみが自分の所有物になる。一方で、所有権付き物件を購入した場合は、土地と建物の両方が自分の所有物になる。

たとえば、購入を考えている物件が、定期借地権付きの物件だったとする。所有権付きの物件と比較した際に、定期借地権付き物件を購入するメリットとデメリットをみていこう。

高利回り?定期借地権付き物件を投資用に購入するメリット

定期借地権付き物件を投資用に購入するメリットとしては、つぎの点があげられる。

・利回りが高い
・所有権付き物件と比べて価格が80%程度になる
・土地の固定資産税や都市計画税の負担がない

定期借地権付き物件を投資用に購入する最大のメリットは、所有権付きマンションと比べて購入価格が安くなる点だ。定期借地権付きの物件を購入した場合、土地代が安くなるほか登録免許税なども削減できるため、購入価格が80%程度におさえられる。賃貸価格は変わらないため、自然と利回りがあがるのだ。

また、定期借地権付き物件では、固定資産税や都市計画税は建物部分にはかかるものの、土地の部分にはかからないため固定費もおさえられる。

定期借地権付き物件は年月が経つほど売れない?購入するデメリット

定期借地権付き物件を投資用に購入するデメリットは、つぎの点があげられる。

・土地を返還しなければならない
・地代を毎月支払わなければならない
・満期まで中途解約できない
・期間満了後は更地で返却のため、解体積立金が必要
・売却しにくいため出口が見えない
・融資がでにくい(現金購入になる)

定期借地権付きの物件を購入すると、地主に対して毎月地代を支払う必要がある。地代は少なくとも2~3万円かかり、50年間(600ヶ月)支払うと「3万円×600ヶ月=1,800万円」となるにもかかわらず、土地(資産)は手に入らない。さらに、契約期間終了後は建物をとり壊し更地で返還しなければならず、解体積立金が必要になる。

また、資産として評価されるのは建物部分のみのため、銀行から融資がおりにくいというデメリットもある。もし融資がでて物件を購入できたとしても、数年後に高額な解体費用を支払わなければならない物件となると買い手がつかず、売却しにくい。仮に、売却できるとしても、譲渡価格の10%程度の譲渡承諾料を地主に支払わなければならない。

定期借地の契約期間中はうまくキャッシュフローがでていても、うまい出口戦略をとれなければ、結果的に投資としてマイナスになる可能性が高いだろう。

定期借地権付き物件は投資としておすすめではない

定期借地権付きマンションのメリットやデメリットの比較を総括すると、あくまで投資用としての観点だが、定期借地権付きマンションの購入は不動産投資初心者にはおすすめできない。

定期借地権付きの物件は、建物部分しか資産としての価値手にはいらない不動産のため、銀行によっては評価が悪く、融資がでにくいのが現状だ。もし、融資がでて購入できたとしても、次の物件を買い足す際に足かせになる可能性が高く、以降の物件を購入しづらい。そうすると、これ以上資産を増やすことが困難になる。

後々のことを考えると不動産投資の初心者が1棟目に定期借地権付き物件を購入するのは避けたほうがいいだろう。目先の利益だけを考えるのではなく、売却まで見据えた長期的な戦略を立てるのも不動産投資を成功させるうえで重要なポイントとなる。

 

不動産投資の上級者で、「定期借地権付き物件でも気にしない」という人はたしかに存在する。しかし、そういった人の多くは、物件を多数所有しているなかでの1棟にすぎない。純粋にキャッシュフロー目当てではなく減価償却目当てだったり、リフォームをしてすぐに売却することを前提に売却益目当てだったりと、上級者ならではの戦略があるケースがほとんどだ。

不動産投資の初心者は、テクニックや潤沢な資金が手元にあるわけではないため、定期借地権付き物件は避けたほうが無難だろう。わざわざ難しい物件を選ばずとも、もっと広いエリアと視点で物件を探せば、必ずいい物件が見つかるため、根気強く納得のいく物件を探したほうがいい。

定期借地権付き物件より資産になる物件を購入しよう

定期借地権付き物件は、土地を借りられる期間が満期をむかえれば、土地を更地にして地主に返さなくてはならず、建物を取り壊す必要がある。築年数が経過するごとに資産価値が低くなるうえに、物件を解体する費用がかかるとなると売却しにくくなり、うまい出口戦略をとるのが難しい。

わざわざ投資難易度の高い定期借地権付き物件を購入するよりも、もう少し幅広いエリアで物件を探したほうが、良い物件に出会える可能性は高いだろう。不動産投資ユニバーシティでは、物件選定に必要な知識を「無料メール講座」で配信している。1日1通のメールを読むだけで、良い物件を見極める目を養えるほか、メルマガ会員限定で非公開物件の配信も行っている。ぜひ登録してほしい。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
詳細プロフィール

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