ファミリー物件は単身向けよりいいのか

2020年12月17日1,547

「ファミリー向けの物件に絞って探しています」という人が、意外と多くいる。

このような人が多く見受けられるのは、ある有名投資家の著書に、

「ファミリーの方が単身用よりも安定している」

記述がされていたことが、大きく影響しているのだと思う。

この考えを持っている人に実際に聞いてみたら、そのように答える人の割合が高かったからだ。

ファミリー物件にはデメリットもある

ファミリー向けの方を良いとする論拠は以下の通りだ。

・ファミリーは平均6年、単身は平均4年で退去するので、ファミリー向けは一度入居すれば安定している。

・小学生以上の子供がいる場合は、引っ越しで学区を変えたくないので長く住む傾向にある。

これらの話は、物件を持っていない人でも「あぁなるほど」と思えるわかりやすい話だ。

しかし私の経験から言うと、必ずしも単身用の物件がファミリーより劣るわけではない。

ファミリー用の物件には以下のデメリットがあるのだ。

・建物の面積が広いので、家賃収入と比べて固定資産税の割合が単身用物件より高い

・リフォーム費用が、単身用物件よりも多く掛かる

上記のデメリットは、家賃収入の㎡あたりの単価が、単身用よりもファミリー用の方が劣っていることが原因だ。

具体例を挙げると良くわかると思う。

単身用(25㎡)の物件と、同じグレードで広さが3倍(75㎡)のファミリー物件があったとする。

ファミリー用は単身用のちょうど3倍の面積になる計算だ。

単身用の家賃が4.5万円/月だとしても、同じようなグレードであれば、ファミリー物件の家賃は4.5万円×3倍=13.5万円にはならない。

単身用が4.5万円の地域で、それと同じ築年・同じ構造のファミリー物件あれば、おそらく高くても10万円/月ぐらいだろう。

この例では、家賃と部屋の面積との関係を表す1㎡あたりの家賃単価は、以下の通りとなる。

単身用     1,800円/㎡

ファミリー用  1,333円/㎡

建物の固定資産税は、基本的には建物の広さにより決まるので、単身用かファミリー用かは考慮されない。

家賃収入比で考えると、単身用よりもファミリーの方が固都税が割高になることが、上記の家賃単価からもわかると思う。

当然ながら、リフォーム費用も平米数に比例して増える。

キッチンやバス・トイレは、部屋の面積広くても普通は1つずつしか付いていない。キッチンやバスの大きさは異なるが、単身用でもファミリー用でもそれほど変わらないと言える。

しかし、居室の面積が広ければ、その分だけクロスやフローリングを取り換えるための費用は多くかかる。

決して一次関数的に㎡数に応じてリフォーム費用が増えるわけではないが、やはりリフォーム費用はファミリーの方が割高だ。

単身用だと20万円もあればクロス全交換、クッションフロア全交換、巾木全交換、室内クリーニングまで出来るが、ファミリー用の場合は40万円~50万円掛かるケースもある。

このような入退去によるリフォーム費用や固都税は、単身用物件よりもファミリー物件の方がはるかに割高なのだ。

ファミリー物件の方が長く住み続けるのは本当か

ファミリー物件を単身用物件と比較した場合にメリットだと言われる「なかなか退去しない」というデータは本当だろうか。

一般的には、入居してから退去するまでの期間は、単身用物件が4年、ファミリー用物件が6年だと昔から言われていた。

しかsh、敷金・礼金を入居者から取ることのハードルは年々上がっており、敷金礼金がゼロゼロまたはゼロイチ物件は、どの地域にも沢山ある。

引っ越し費用の総額はどんどん下がっており、それに伴って引っ越し自体のハードルも下がってきている状況だ。

この傾向は今後も続いていくだろう。

また、新築物件の建築ラッシュも各地域で発生している。

近隣に新しくて良い物件があれば、引っ越したり買ったりといったことが頻繁に起こることは、容易に想像が出来る。

また、マイホーム減税の期限が近づくと、購入を急ぐ人も多く出て来る。

ファミリー用物件だから長く住み続けるだろうというは、一昔前の話だ。

物件ごとに地域事情を確認して、その物件にどの程度長く住んでいるかを地域の不動産会社などに確認する必要があるのだ。

物件情報を限定しないことが一番重要な理由

ここまで、ファミリー物件のネガティブな面ばかりを述べてきたが、私がファミリー物件にもの凄く否定的なのかというとそうではない。

単身用は少子化により苦戦している地域が多くある。特にバストイレが一緒となっている3点ユニットは、入居付けが厳しいことが多い。

「ファミリー向けに絞って物件を探しています」と言っていた人の何が一番の問題なのかというと、単身用の物件情報というだけで最初から検討から外してしますと、得られる物件情報の数がかなり減ってしまうのだ。

自分で考えた投資方針に沿って行動していること自体は素晴らしいが、こういう人は戦略の方向性そのものが間違っていると思わざるを得ない。

多くの不動産情報が巷には溢れているが、単身用物件の売り情報はそれらの半分程度を占めるだろう。

最初から半数を占める単身用物件の情報を遮断してしまっては、間違いなくいい物件を買える確率は下がる。

「私はファミリー向けしか買いません」ということを不動産会社に伝えていたりすると、単身用物件でいい情報があっても教えてくれないかもしれない。

非常に安い単身用の物件が出たとしても、情報をもらえないのだ。

これは非常にもったいない。

そもそもの話として、不動産物件が抱える大抵のデメリットは、物件が安ければカバー出来ることが多い。

津波が起きるかもしれない沿岸部でも、最近火事が起きたマンションでも、原子力発電所が近くにある物件でも、家賃が極端に安ければ住みたい人は居る可能性が高いからだ。

そして、家賃の安さ以上に物件の価格が安かったらどうだろうか?例えば利回り20%や30%なら、事故物件でも検討する価値はあるかもしれない。

リスクよりもリターンの割合の方が高いと判断すれば、買うことの検討を行うべきだろう。

東北の震災以降、沿岸部の物件を避けているという人が多くなったが、私はそういう人に次のことを聞きたい。

「それが利回り30%で満室の物件でも買わないんですか?」

私なら、かなり前向きに購入の検討をすると思う。

利回りが30%あれば、例え半分空室になっても、キャッシュフローが十分出る可能性が高いからだ。

どんな悪条件の物件だろうと、その物件の価格が安ければ何でも検討の土台に乗るのだ。

それは、ファミリーで入退去の回転が早い地域でも、単身用で3点ユニットが厳しい地域でも同じだ。

この考えを念頭に、出来るだけ最初の間口は広く取って物件情報を得る努力をする必要があるのだ。

常日頃から、不動産会社に対してそのようなスタンスで接していれば、良い物件情報を貰える確率が可能性が高まるだろう。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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