日本の不動産取引の不透明さは世界中から非難されている

2020年12月18日2,082

日本の不動産流通は、不透明・不公正な部分が多いと言われている。

これを裏付けるデータとして、総合不動産サービスの米国企業であるジョーンズ ラング ラサールとラサール インベストメント マネージメントが、2年に1度実施している「グローバル不動産透明度調査」が参考になる。

この調査は、2社が独自に集めたアンケートデータを基に結果を検証しており、「パフォーマンス測定」「マーケットファンダメンタルズ」「上場法人のガバナンス」「規制と法制度」「取引プロセス」という5つの観点から、各国の不動産取引の透明度を調査している。

2014年度の調査結果によると、日本は26位となっている。

日本の不動産市場の経済規模や成熟度からすると、この順位はかなり低いと言えるだろう。

他国では、不動産売買における情報の蓄積がずっと進んでいる。法制度自体も日本よりかなり厳格なのだ。

不動産の流通が大変活発な米国では、取引の際に仲介会社の他に取引自体をまとめるエスクローを設け、取引の履行を保証する保証会社を利用するのが一般的だ。

建物の劣化も、専門会社であるインスペクターを使って定量的に評価することが一般的に行われており、現地に見行かなくてもかなり正確に物件の状態を把握することが出来る。

専門家の情報を客観的な視点から得られる意味では、自分が現地に行って見るよりも確かな情報を得られるとも言える。

外国籍の企業や個人も、現地の人と変わらない条件で不動産を購入出来ることに加えて、そもそもアメリカは西海岸と東海岸で地理的に大きく離れていることも、取引が活発化している要因として挙げられる。

また、日本のように契約時や決済時に一堂に介して取引を行う習慣はなく、プロキシ―(代理者)が介在する仕組みが完全に出来上がっている。

ご存知の通り日本にこのような仕組みはなく、辛うじてREINSが取引の流動化を不完全ながら担っているに過ぎない。

外国籍の人が日本の中古不動産を買うのにもハードルがあるだろう。

不動産鑑定士なども一応存在するが、不動産取引市場を鑑みて評価する仕組みは未熟なままだ。

不動産流通機構は、2018年より取引事例の蓄積と開示をお試験的に行うことを発表しており、この動きに拍車がかかることを期待したい。

これらの取引プロセスの不透明さに加えて、米国などでは利益相反として禁止されている、売り手と買い手の「両手仲介」が日本では認められている。

買い手と売り手の仲介が同じ会社であることは日本では一般的だが、これは世界の常識からすると大変奇異なことだ。

諸処の条件において、買い手と売り手の利益が一致しない場合が多いことは、不動産以外のビジネスでも一緒だ。

例えば、企業買収において買収する側と買収される側の企業のM&Aアドバイザーが両社とも同じ会社が仕切ることなどは、絶対にあり得ない。

これは法律うんぬんではなく、職業倫理の問題だ。

しかしながら、何故か不動産売買では疑問を挟む人が少なく、有価証券報告書によると、三井不動産・住友不動産などの大手仲介会社の取引額に対する手数料収入比率は5%を超えている。

片手仲介だけなら、手数料収入は3%を超えることは絶対にない。

これらの大手不動産会社は、ほとんど全ての取引で、諸外国では非常識だと言われている「両手仲介」をしているということになる。

これらの仕組みを根本的に解決しない限り、投資家は常に不利益を被る可能性が高いままになってしまうだろう。

この問題を解消しない限り、海外などから新しいプレイヤーが参加することも進まず、日本の中古マーケットが活性化することはあり得ないと言える。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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