アパート経営の無料インターネット導入は効果があるか?

2019年08月06日9,982

アパート経営をするにあたって、賃貸物件に無料インターネットの導入を考える人も多いのではないだろうか。

アパート経営の無料インターネット導入は一時期かなり有力な空室対策だったため、そのイメージをもっている人も多いだろう。今回は、今でも無料インターネット導入が入居者募集に効果があるのか考えていく。

アパート経営でインターネット回線導入は不要!?

いきなりだが、アパート経営において「無料インターネット」の導入はしないほうがいい場合が多い。理由は、「費用対効果がよくない」「スマートフォンの普及で固定インターネット回線のニーズが減っていく可能性が高い」の2つだ。

1つめの費用対効果については「アパート経営のインターネット導入費用対効果は?」の章でくわしく紹介する。

2つめの固定インターネット回線のニーズが減っていくという理由だが、特に家賃が安い単身用の物件については、固定のインターネット回線が不要だと考える層が年々増えてきている。そもそもパソコンをもたず、スマートフォンやタブレットなどで十分だという人が多くいるのだ。固定のインターネット回線が完全になくなるようなことは今のところ考えられないが、徐々に存在感が薄くなることが予想できる。

アパート経営用のインターネット回線導入とは?

アパート経営におけるインターネット回線導入には大きくわけて2つの方法がある。オーナー側がアパート全体にインターネット回線を導入するパターンと、入居者個人で業者と契約し導入するパターンだ。2つのパターンをくわしくみていこう。

インターネット回線をオーナー側が引いて導入する場合

まずは、オーナー側でインターネット回線を引いて導入するケースだ。

オーナー側が新築アパートにインターネット回線を導入する場合、毎月のインターネット回線使用料を家賃に上乗せした状態で賃貸募集をだすことが多い。オーナーはインターネット開設のための初期費用のみ負担し、毎月の固定費は入居者が支払うことになる。新築の場合、物件の建築工事の際に同時にインターネット回線を引いてしまえば、もろもろの工事が一度ですむため、インターネット導入工事費用の節約にもなる。かつ、入居者からすると家賃を払えばインターネットが無料で使えるお得な物件と判断してもらえる可能性があるのだ。

一方、新築でない既存アパートにインターネット回線を導入する場合は、オーナーがインターネット使用料を負担するケースが多い。既存アパートにはすでに入居者がいて、インターネット使用料分の家賃値上げは不満に繋がりやすいからだ。また、なかには自分でインターネット回線を引いている入居者もいる。

インターネット回線を入居者個人で引いて導入する場合

もう一つが、入居者側でインターネット回線を引いて導入するケースだ。

インターネット回線の導入はオーナー側がすべてやる必要はなく、入居者の意向に任せることも可能だ。入居者任せにする場合、インターネット回線の導入費用などがかからないかわりに、賃貸募集の段階で「無料インターネット導入」物件とはうたえなくなるというデメリットがある。

[関連記事] 空室対策に「守りの設備」と「攻めの設備」が必要な理由

無料インターネット導入は周辺競合物件との差別化になる?

インターネット回線の有無がアパート経営にどう影響するかということだが、インターネット設備がある物件を所有している経験上では、インターネット回線があるということは入居者募集の大きな決定打になっていないケースが圧倒的に多い。インターネット回線の工事費や毎月の通信料など費用がかかるわりに効果は限定的であり、「無料インターネット」の導入が投資アパートの空室対策に本当に効果的なのかというと微妙なところである。物件によっては導入しないほうがいいと判断することも多い。

全国賃貸住宅新聞に掲載された「この設備がなければ入居が決まらないランキング」でも、インターネット無料設備は単身者向けで5位、ファミリー向けで9位という結果だった。インターネット設備よりも生活やセキュリティ設備の方が優先度は高いということがわかる。

■この設備がなければ入居が決まらないランキングTOP10

単身者向け ファミリー向け

1位 室内洗濯機置き場

1位 追いだき機能

2位 TVモニター付きインターホン

2位 独立洗面化粧台

3位 独立洗面化粧台

3位 室内洗濯機置き場

3位 洗浄機能付き便座(3位と同票)

4位 TVモニター付きインターホン

5位 インターネット無料

5位 洗浄機能付き便座

6位 エントランスのオートロック

6位 システムキッチン

7位 備え付け照明

7位 ガスコンロ

8位 宅配ボックス

8位 エントランスのオートロック

9位 ガスコンロ

9位 インターネット無料

10位 浴室換気乾燥機

10位 エレベーター

(全国賃貸住宅新聞  2017年10月16日掲載)

ただ、同紙に掲載された「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まるランキング」では単身者・ファミリー向け物件ともにインターネット設備が1位にランクインしている。これは「インターネット設備が必須ではないが需要はある」と捉えていいだろう。この需要をうまく使えば、無料インターネット設備導入により空室対策や家賃アップへの効果が期待できる。

■この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まるランキングTOP10

単身者向け ファミリー向け

1位 インターネット無料

1位 インターネット無料

2位 エントランスのオートロック

2位 エントランスのオートロック

3位 宅配ボックス

3位 追いだき機能

4位 ホームセキュリティ

4位 宅配ボックス

5位 ウォークインクローゼット

5位 システムキッチン

5位 浴室換気乾燥機

6位 ホームセキュリティ

7位 TVモニター付きインターホン

7位 浴室換気乾燥機

7位 独立洗面化粧台

8位 ガレージ

9位 防犯カメラ

9位 ウォークインクローゼット

9位 システムキッチン

10位 エコキュート(電気)

(全国賃貸住宅新聞  2017年10月16日掲載)

アパート経営の空室対策としてインターネット回線の導入を考えるのであれば、周辺の競合物件の導入状況を調査して効果的が見込めそうな場合にのみ入れる判断をした方がいいだろう。家賃アップのために無料インターネット回線の導入を考えるのであれば、上げられる家賃額と初期費用・月額費用を比べて費用対効果が出るなら導入を検討しよう。

アパート経営でインターネット設備を導入する場合、一度設置してしまうと、あとから設備を廃止することは入居者の不満に繋がりやすいため基本的に難しい。そのため、導入は慎重に考える必要がある。

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アパート経営でインターネット導入の効果が得られる物件

自身がアパート経営を行おうと思っているエリアの周辺物件が、同じような建物や条件で募集をしていて入居付けが厳しい場合、なんらかの差別化が必要になる。他の物件を調査し、無料インターネット設備が無いのであれば導入を検討してもいいだろう。

また、2017年度の賃貸契約者動向調査(https://www.recruit-sumai.co.jp/press/2018/09/chintai-cyousa-20180905.html)の「次に引っ越す際に欲しい設備 上位20項目」では学生一人暮らしの無料インターネット設備の需要が高いため、学生用賃貸のニーズが高いエリアなどで導入すると、家賃を下げなくても入居付けの動機に繋がる可能性が見込める。

アパート経営のインターネット導入費用対効果は?

アパート経営でオーナー側がインターネット設備を導入しようと考えた際、気になるのが導入費用だ。2階建て10戸のアパートにインターネット導入をした場合のシミュレーションと導入コスト削減の方法を紹介する。

インターネット導入する場合の費用

インターネット設備を新たにオーナー側で追加する場合、収益物件専門でインターネット設置工事を行なっている業者に依頼することになる。有名な会社が数社あるが、だいたい30

かかる工事費用は業者によって振れ幅が大きいため、どの会社と契約するか相見積もりを取って検討しよう。

2階建て10戸のアパートのシミュレーション

インターネット回線の導入について、2階建て10戸のアパートでシミュレーションしてみよう。4部屋空室があり、家賃を5,000円値下げするか無料インターネット設備を導入して周辺物件との差別化をするか悩んでいたとする。周辺物件に無料インターネット設備が付いている物件はなく、エリア的に学生が多く無料インターネット設備の需要が高いと感じた。

インターネットの初期工事費用が約32万円、毎月の固定費1万円でインターネット回線を引いた場合、うまく入居が決まれば家賃を5,000円値下げしなくても1年半で初期費用分が回収できる。

1年半で費用が回収でき、4室の空室がうまるのであれば導入する価値はあるだろう。ただし、回線を引く業者や、周辺物件との兼ね合い、インターネット需要をしっかりと調査しなければコストがかさんだあげく空室もうまらないという事態に陥るため注意が必要だ。

無線Wi-Fi環境をDIYすると導入コストの削減になる?

インターネット回線導入工事には、かなりの初期費用がかかることを説明した。そこで、無線Wi-Fi環境をDIYすることで初期費用を削減することは可能かどうか調べてみた結果、コストが大幅に削減できることがわかった(初期費用は3万円程度、固定費は月々1回線分)。

しかし、各部屋に無線LANを通そうとすると回線に関する知識が必要になる。また、Wi-Fiルーターを共用部分に置く方法は簡単だが、木造にしか適応できない。さらに、自分でインターネット回線を引いて他者に提供するとなると電気通信事業者の届け出が必要だ。そのうえ、セキュリティの管理ができないので免責事項などの説明が必要である。

インターネット回線に詳しい人はチャレンジしてみてもいいかもしれないが、そうでない人が安易に手をだすとトラブルの元となるため避けたほうが無難だろう。

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アパート経営のインターネット導入は費用対効果をみて検討しよう

インターネット回線の設置には、数十万円の設備投資と月数万円の維持費がかかるため、投資アパートへの導入はかなり慎重に検討する必要がある。周辺物件の導入状況や学生ニーズなどによっては導入が効果的に働くケースもあるが、そうでないことも多いためあまりおすすめはできない。導入前に費用を回収できるか十分考慮したうえで採算が合うのなら設置するといいだろう。

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